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NEET 力を授かる

「え?」


突然のことに驚いた俺は言葉が出せず……呆然とノワールさんを見続けた。すると視線に耐えきれなくなったのか……先にノワールは俺から目を逸らした。


「そんなに見つめられると……恥ずかしいわ」

そう言って伏し目がちに俺から視線を逸らすと、その様子に気付いたシアは俺に注意した。


「ん?ヴァレンタイン!お前まさかノワール姉様と目を合わせとったのか?ダメじゃ!!ノワール姉様の目は「不可視」なのじゃ!不可視っていうのは………そう!見てはならぬのじゃ!!」

……そんな話聞いてないぞ!?と叫びたい気持ちを抑えると、俺はノワールに謝罪した。


「ノワールさん…すみません。目を見てはいけないという話を知りませんでした。処罰があるなら甘んじて受け入れます」

そう謝る俺はまた目を見てしまった。俺は慌てて視線を外すとノワールが口を開いた。


「トーヤ……気にしないで。シアが「不可視」と言ったのは、目を合わせた者が私の瞳力に耐えられずに壊れてしまう。それを防ぐために「不可視」と決めただけだから……」

……今、とてつもなく怖い話を聞いたような?

目を合わせると壊れる……だと?

幸いにも俺には効かなかったけど、もし効いていたら……


俺はシアを睨むとすかさず目を逸らした。

そして小声でボソッと「話すの忘れてた……許すのじゃ!」と言って明後日の方向へと顔を向けた。するとその様子を見ていたノワールさんが再び言った。


「それで、トーヤは私を……妻にする気はあるの?」

え?

あぁ……なんか最初にそんな話もあったな。ノワールを妻に迎えるとかなんとか。


俺はシアを激しく睨みながらノワールさんの話を聞い……今なんて言った?


明後日の方向を見ていたシアもゆっくり俺へと顔を向けると……案の定、目を丸くしていたが……それは俺も同じだった。

俺とシアはノワールに顔を向けると……若干頰が色付いたノワールは話を続けた。


「トーヤは嫌なの?」

そう言って眉をひそめるノワールに言った。


「嫌……と言う訳ではないのですが……実は俺もう結婚してるんです。なので申し訳ないですが……」

そう、俺にはセリナがいる!これで諦めてくれるだろう……そう思っていたらノワールが言った。


「トーヤに妻がいるのはシアから聞いたから知っていたわ。でもまだ1人目でしょ?あと4枠は残ってる」


どゆこと?あと4枠?

この世界では5人まで娶る事ができるという意味だろうか?

だが俺にはノワールさんを妻にする気はなかったので、はっきりと断った。


「すみませんノワールさん。俺は妻が大切なので裏切るような真似は出来ません」

その言葉を聞いたノワールは少し考えると「なら、トーヤの妻が許可すれば良いのね?」と言った。


あのセリナが許可なんてする訳がない!

そう確信した俺は「それなら構いませんよ」と言うと……ノワールさんは嬉しそうに微笑んだ。

すると、その様子を見ていたシアがノワールに聞いた。


「ノワール姉様……トーヤと結婚するのか?」

シアがそう聞くとノワールは少し考えて答えた。


「そうね。……でも……」

するとシアはノワールの話の途中で「大ニュースじゃ〜!!みんなに教えてくるのじゃ!!」と叫ぶと、止める間もなくどこかへ転移していった。


場には冷や汗を流す俺と、涼しい顔で紅茶を注ぐノワールの2人きりとなった。するとノワールは俺に紅茶を出してくれたので、受け取って一口飲んでみた。


さっそく飲んでみると……うまい!

それに紅茶は俺の騒ついた心を落ち着かせてくれた。


その様子を見た見たノワールは静かに微笑んだ。

……改めて見ると本当に美人だ。そんなことを考えているとノワールが話を始めた。


「そういえばトーヤは私に挨拶をしに来てくれたのよね……話が大きく逸れていたわ。私からも真なる魔王へと至ったトーヤに渡すものがあるの。」

そう言うとノワールが俺の前に左手を差し出した。


俺はその手を握ると次第に体が熱くなっていくのを感じた。しばらくして熱が次第に収まっていくと「これで終わりよ」と言うノワールの言葉に俺は手を離した。

するとノワールは名残惜しそうに手を引っ込めると言った。


「トーヤ……あなたに「反転」の力を与えたわ。あらゆる「事象」や「結果」を反転させる事が出来る力よ」

そう言って紅茶を飲むノワールに聞いた。


「ありがとうございます。ちなみにどんな場面で使用すればいいのですか?」


「……知らないわ。使ったことないもの。」

そう静かに答えるノワールに言いたい事があったけど、グッと堪えて考えた。


反転か……もしかして!

俺は使い道を思いついたけど失敗したら非常にまずい。いや……物は試しだ!俺はノワールに提案してみた。


「ノワールの瞳力を反転させる事って出来ますか?」

俺がそう尋ねると、ノワールは少し驚きながら答えてくれた。


「私の瞳力を?考えた事もなかったけど…可能じゃないかしら?結果がどう出るかは分からないけど」

そう答えるノワールに提案した。


「じゃあ試してみましょう!」

俺の提案に同意するとノワールは俺の目を見据えた。俺もしっかりとノワールの瞳を見ると「反転」を発動した。


あれ?

ノワールの瞳に特に変化はなかった……。

やっぱり無理だったか?


そう思っていたら……

ノワールの紫の瞳が次第に変化していき、しばらく経つとその瞳は金色になった。


「ノワールさん。うまくいったか分かりませんが…瞳が金色に変化しました!」

ノワールは俺の言葉に少し驚くそぶりを見せるがすぐに落ち着きを取り戻して言った。


「そう。目の色が金に……それは良かったわ。」

あまり興味がなかったみたいだ。するとノワールさんは紅茶を一飲みすると立ち上がった。


「そんな事より早速行きましょう」

そう言って立ち上がると傍まで来たので、俺は確認の意味も込めて聞いた。


「え……どちらにですか?」

突然の提案に首をかしげる俺にノワールは静かに微笑むと……言った。



「トーヤの妻がいる場所に」


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