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NEET デートを楽しむ

「美味しいディナー」から一夜明けた今朝


目を覚ますと手早く朝食を済ませた俺とセリナは、領主さんの館を目指して歩いていた。


用事が済んだらそのままデートの約束をしているから、セリナはとても機嫌が良いよかった。


セリナのご機嫌な様子を見ていたら写真が撮りたくて仕方がない。

こんな時にデジカメが手元にあればいいのに……

しかし無いものはしょうがない。俺はデジカメの代わりに心のシャッターを連打していた。


するとセリナは前方に領主の屋敷を見つけると言った。


「もしかしてあのお屋敷ですか?」

俺は「そうだよ」と答えるとセリナは「大きいですねぇ」と呟いた。

確かにでかい屋敷だけど、あんな屋敷に1人で住むのは嫌だな……そんな事を考えながら屋敷に近付くと、門番さんが俺達に一礼した。


そして門が開かれたので俺達が中に入ると、既に屋敷の入り口には領主さんが待っていた。


「トーヤ殿!お待ちしていたぞ。奥方!よくぞいらして下さいました。何も無い屋敷ですがどうぞ中へ」

そう言って俺とセリナを歓迎すると、領主の案内で屋敷の中へと入った。


ふとセリナを見ると、心なしか少し緊張した表情を見せていた。


……カシャ。セリナの緊張するひょうじょうの撮影完了。そっと心のアルバムに保存した。


そして屋敷に入ると執務室への案内を始める領主に、俺は声を掛けた。


「すみません。今日は融資するGを持ってきただけですので、さっそく保管場所に向かいたいのですが……」

俺の言葉を聞いた領主は少し驚くと言った。


「おぉ。そうだったか!では此方だ。」

そう言うと地下へと続く階段へと進み出したので、俺達も後に続いた。

すると階段を降りて少し歩くと大きな扉の前に着いた。


到着してすぐ領主が何かを呟き始めた。扉に魔法で鍵でも掛かっているのだろうか?

疑問があったけど俺達はその様子を静かに見ていた。


すると突如扉が光り始めた。

そして光りが収まると同時にゆっくり扉が開いたので、領主さんに続いて中に入ると……何もない巨大な空洞が目に入った。


これだけすっきりした地下の空洞なら、多少重くても大丈夫と判断した俺は、ナビに250億Gを出すように頼んだ。


すると次の瞬間には空洞の半分以上を満たす量のGが出現した。

その光景に唖然とする領主さんに一礼すると、俺達は屋敷を後にした。


後日…領主から、あの日礼も言えず申し訳なかったとの謝罪を受けた。


屋敷を出るとすぐにセリナが……腕を組んできた。

俺はびっくりしてセリナを見ると、上目遣いで恥ずかしそうに言った。


「……駄目、ですか?」

ダメな訳ないじゃないか!?

あ、やばい!びっくりしてシャッターチャンスを逃してしまった!痛恨のミス!


俺は気を取り直すとセリナに聞いた。


「そうだ、どっか行きたい所はある?」

セリナは少し考えると笑みを浮かべて答えた。


「特にココって場所はないのですが…色々と見て回りたいです!」

その答えを聞いた俺は、セリナの望みを完全に理解すると言った。


「じゃあ久々に散策しよっか。」

セリナは頷くと俺達のデートが始まった。


「ねぇ旦那様?これが今流行ってるデザインだそうですよ!私に似合いますか?」

見るまでもなく素晴らしいデザインだ……。

店主……頂こう!!


「あっ!この髪留め可愛い!」

確かによく似合ってる……。

店員さん……頂こう!!


「旦那様は黒い服が好きだから……あ、これかっこいい!試しに着てみてくれませんか?」

おk!

店員さん試着します!

そしてそのまま着て帰りますので会計もお願いします!


買い物って楽しいなぁ。

セリナも楽しんでくれてるみたいだし……あれ?セリナさん?何故不機嫌そうなんだ?


「旦那様。たくさんプレゼントしてくれるのは嬉しいです。だけど、旦那様が選んでくれたらもっと……嬉しいです……」

しまった!

セリナが選んだものをプレゼントすれば喜んでくれると思っていたけど、セリナは「俺が選んだもの」が欲しかったのか!


その事にようやく気付いた俺は何か挽回する手立てはないか考えると、一軒の店が目に入ってきた。

……あの店ならセリナに似合うものを選べるはず。そう考えた俺はセリナに提案した。


「セリナ!行きたい店があるんだけど付き合ってくれないかな?」

そう聞くと、少し不機嫌な様子のセリナは答えた。


「構いませんけど……どこのお店ですか?」

そう言って俺を見るセリナに、俺は店の方に顔を向けると答えた。


「ほら?そこだよ。」

そこは俺達が永遠の誓いを立てる為の耳環を買った店…もふもふ長耳宝飾店だ。


するとセリナがチラチラ目を向けながら言った。


「旦那様が見たいなら私もついていきますけど……」

セリナはまだ若干ツンケンしながらも、急激に機嫌を直す様子が見て分かった。


さっそくセリナと店に入るとすぐにうさ耳の店員さんが駆けつけてきた。


「いらっしゃいませ!さっそく耳環をお付けになられたのですね!お2人とも大変良く似合ってます!それで本日は何をお求めでしょうか?」

うさ耳の店員さんはそう言って話しかけてきたので、俺は相談してみた。


「ありがとうございます。今日は指輪が見たいんだけど、サイズ計測を頼めますか?」

俺がそう尋ねると、うさ耳の店員さんは俊速で俺達のサイズ計測を終えた。

そして奥のテーブルに案内すると、少し経って数ペアの指輪を持ってやってきた。


「お待たせ致しました。こちらが当店おすすめの指輪達でございます」

店員さんが用意してくれた指輪を1つずつ確認してみると、目に留まる指輪があった。

装飾の細かさもら埋め込まれた宝石も耳環とよく似ている。何より他を寄せ付けない魅力を感じた。


「セリナ。左手を出して」

セリナは戸惑いながらも左手を差し出した。

俺は薬指に指輪を差し込むと……カチッと音がした。


前にも聞いた音に首を傾げながらセリナを見ると……耳環の時と同じ表情を浮かべて指輪を眺めていた。


俺も左手を出すと、意図を汲み取ったセリナは指輪を差し込んでくれた。購入する事がきまったので、俺は様子を眺めていたうさ耳の店員さんに言った。


「店員さん。そういう訳で…」


「お買い上げありがとうございます!」

前回のこともあり今回はスムーズに手続きが進んだ。値段は…耳環と同じだった。


今回も店員総出での支払い確認を終えると、やはり店員総出でお見送りをしてくれた。

何度経験しても慣れないけど……まぁ、セリナが喜んでくれたならいいか。


店を出た俺達は、ぴったり寄り添いながら帰路についた。


1000PVありがとうございます!

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