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キキョウ 2人の旅路

「どこに向かうか当てはあるの?」


隣を歩くヤヨイにそう尋ねると、わっちの肩をポンポンと叩いて答えた。


「この旅に目的地なんてないわ。だからキキョウも行ってみたい所があったら私に教えてね」

ヤヨイはそう言ってくれたけど、人界に何があるか知らないわっちは特に行きたい場所なんて無かった。


だからわっちはヤヨイに行きたい場所はあるのか聞いてみた。


「ヤヨイに行ってみたい場所があるなら、わっちもそこに行ってみたいな」

そう答えると、ヤヨイは月夜に目を輝かせながら言った。


「ほんと?なら最初は「常世の森」に行きましょ!前から行ってみたかったの!それから「悠久の森」を目指して……「久遠の町」にも行ってみたいな!」

そう言って楽しそうに話を続けるヤヨイと一緒に歩き続けると、次第に朝日が昇り始めた。


わっちとヤヨイは足を止めて眺めていると、朝日に照らされた白い翼の一団が目に映った。


……天族!


拳を握りしめて臨戦態勢に入ると、ヤヨイがわっちの腕に抱きついて言った。


「ダメよ!今、キキョウは私と「旅」をしてるのよ?絶対に戦っちゃダメ!」

そう言ってわっちを引き留めると、天族は次第に遠くへと飛び去っていった。


「……ヤヨイ……ごめんなさい」

わっちは未だ腕に抱きつくヤヨイに謝ると、その言葉に安心したヤヨイは腕を離して言った。


「私と一緒に旅をする間、戦うのは禁止よ!」

そう言って笑顔を見せるヤヨイに頷くと、また2人で歩き始めた。


それから少し歩くと、わっち達は道端の木陰に腰を下ろして休憩を取った。

するとヤヨイはリュックからビスケットが入った小さい包みを出してくれた。それを2人で食べていると、ヤヨイは地図を広げて道順を考え始めた。


わっちはその様子に笑みを浮かべていると、地図から目を離してわっちを見たヤヨイが驚いた。


「キキョウ……今笑ってた?」

そう言って顔を近付けるヤヨイから目を逸らすしたわっちは、顔を赤らめながら答えた。


「何を言ってるの?そんな訳でないじゃない!」

否定するわっちにヤヨイは笑顔を見せてこれからの道順について話し始めたので、わっちは話を聞き終えるとさっそく「常世の森」を目指して2人で歩き始めた。


その道中では、崩壊した街や腐臭など戦いの痕跡が生々しく残る場所も通り過ぎた。

ヤヨイは目にする度に胸を痛めていたので、掛ける言葉がないわっちは震えるヤヨイと手を繋いで歩いた。


そんな旅を続けていると最初の目的地「常世の森」を目前にしたわっちとヤヨイは、その光景を暫く呆然と眺めた。


森は焼け焦げた木々で禿山となっていて、至る所から煙が立ち上っていた。

ここでも激しい衝突があったんだろう……わっちはそんな事を考えながらふとヤヨイに目を向けると、ヤヨイは呟くように言った。


「本当に良い森だったのよ……緑豊かで、綺麗な景色が広がってたの。キキョウにも見せてあげたかったな……」

ヤヨイの悲しそうな言葉を聞いたわっちは、下手くそな笑顔を作ってヤヨイに言った。


「ここは残念だったけど……まだ「悠久の森」があるじゃない!さっそく向かいましょ?」

そう言ってヤヨイの手を握ると2人で歩き始めた。


落ち込んでるヤヨイを励ましながら歩き続けると、次第に元気を取り戻す姿に安心したわっちは休憩しようと提案した。ヤヨイは頷くと、近くの原っぱにリュックを下ろして座った。


次第に茜色に染まっていく空を眺めながらビスケットを食べるわっちに、ヤヨイが話しかけてきた。


「ねぇキキョウ……「魔界」ってどんな所?」

そう聞くヤヨイにわっちは魔界の話を始めると、興味深げに耳を傾けるヤヨイが聞いてきた。


「私も魔界に行ってみたいな!キキョウと一緒なら行けるかな?」

ヤヨイの言葉にわっちは首を横に振ると言った。


「今の魔界は人族や天族を「仇敵」って認識してるから……」

わっちがそう答えると、ヤヨイは溜息を漏らしながら言った。


「そうだよね……でも、いつか魔界と人界が仲良くなれる日が来たら……その時は魔界に一緒に行こうね!」

ヤヨイはそう言って笑みを浮かべると、リュックからブランケットを取り出して寝転んだ。

わっちもその隣に寝転ぶと、空に輝く星を眺めながら2人で眠りについた。



翌朝


目を覚ましたわっちとキキョウは準備を終えると「悠久の森」を目指して歩き始めた。


相変わらず争いの爪痕が残る場所を目にしながら歩いていたけど、1つ大きく変化した事があった。


わっちはヤヨイからフードがついた外套を羽織らされた。


「この先は多くの人族と遭遇するから変装しましょ!」

そう言って渡された外套のフードをバツが悪そうに被るわっちに、ヤヨイは笑顔を見せると手を繋いで歩き続けた。



すると廃れた村に辿り着いたわっちにヤヨイが言った。



「キキョウ!これからの長旅に備えて、この辺で少し休まない?」



久々にブクマが増えました!

ありがとうございます!


まだまだ話は続いていきますが、

末永くよろしくお願いします!


感想はいつも参考にさせて頂いてます。

先日はありがとうございました。


レビューについては……

飛び跳ねて読ませて頂きました!


本当に

ありがとうございます!


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