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NEET 人界が統一された日

俺は頭を下げるチャールズに聞いた。


「それが「魔族」への要請ですか?」

その問いにチャールズは頷いたので、俺はノワールに念話で聞いてみた。


「ノワール…少しいいかな?」

そう聞くと場に転移の光が輝いた。


そこにはノワールの姿が現れて、少年が横たわるソファーに目を向けると言った。


「トーヤ…私は嫌よ……何故このような非道を平気で行える種族に力を貸さなければならないの?」

そう言って少年に手をかざすと、彼の身体は淡い光の粒子となって消えていった。


そして俺に目を向けると…ノワールは言った。


「私は絶対に嫌よ。例えトーヤの願いでもこれだけは譲らない」

そう言って俺を見るノワールにエトワールが声を掛けた。


「ノワールが嫌ならボクがサクッと消してあげるよ!一応はボクの管理する世界の話だからね!」

ノワールにそう言うと、今度はチャールズに確認した。


「冒険者連合?とか君の言う「敵」ならボクが存在ごと消滅してあげるよ。そうすれば人界は君達がしっかり管理出来るんだよね?」

その問いかけにチャールズが答えた。


「お任せ下さい。必ず統治してみせます!」

その答えに笑顔を見せると、エトワールは俺の手元にあった書類を一枚ずつめくりながら言った。


「こいつはバン!こいつもバン!まとめてバン!」

そう言いながらペラペラ書類をめくるエトワールの様子に、ノワールは溜息を漏らすと言った。


「トーヤ、エトワール姉様。私は庭園に戻るわね…」

そう言って転移するとチャールズが俺に聞いた。


「今お見えになられたのは魔神様でしょうか!?そして先程から創造神様は何をされているのでしょうか?」

矢継ぎ早に質問するチャールズに答えた。


「さっきまで居たのは魔神です。そしてエトワールが何をしてるかについては…分かりません。終わったら聞いてみましょう」

俺はそう答えると丁度エトワールの手が止まった。


「うん!これで良いかな!」

そう言って書類の束を投げ捨てるエトワールに聞いてみた。


「お疲れ様。何をしてたか聞いて良いか?」

そう聞くとエトワールは背伸びをしながら言った。


「そこに名前がある人とか冒険者連合?を消滅させたんだよ。今頃大騒ぎになってるはずだから、しっかり管理してもらわなきゃね!」

エトワールは唖然とするチャールズを見ると言った。


「だから君達がしっかり管理するんだよ!」

その言葉にチャールズが力強く答えた。


「確かに承りました。人界の統一と併せて虐げられていた獣人の保護を開始致します」

俺とエトワールは笑顔で頷くとその場から転移した。


そして1人になったチャールズは早速動き出した。




それから半年後。

人界は6人の統治者によって無事に統一が完了した。


冒険者連合の崩壊や、各国首脳の消滅によって人界は混乱したが、チャールズ達の尽力によって平穏を取り戻した。


その最中、チャールズの勅令によって奴隷として扱われていた獣人達は手厚く保護された。

獣人達はベルシュタイン王国に送り届けられると、そこで治療を受けながらゆっくり生活し始めた。


人間に対して激しい憎しみを抱く獣人も少なくなかったけど、ベルから「正当な裁き」を下したと言う話を聞くと溜飲を下げてくれた。


しかし…


人界の片隅…深い森の中を未だに逃げ回る少女がいた。

狐の耳と尻尾…狐族の少女「ツバキ」は追いかけてくる兵隊から無我夢中で逃げていた。

兵隊達はツバキを保護するために追いかけているのだが、ツバキは恐怖で逃げ回っていた。


「お嬢ちゃん!俺達は君を保護しに来たんだ!お願いだから一緒に来てくれないかな?」

兵隊達はそう呼びかけるがツバキは信じなかった。そうやって自分を騙して捕まえるつもりだと疑っていた。


すると身を隠すツバキに兵隊の1人が言った。


「俺達は一度帰らなきゃいけない。だからここに「食べ物」を置いておくよ!また来るから、良かったら食べてくれ!」

そう言ってバスケットを置くと兵隊達は引き上げていった。


ツバキは辺りを伺うと、そのバスケットを手にとって一目散に走り出した。

そして大きな木の下でバスケットを開けると、中に入っていた木の実やビスケットを食べた。


するとツバキは涙を流し始めた。

あいつら人間は私達を散々な目に合わせたくせに、今になって「保護」するなんて嘘だ。


それなのに自身の空腹を満たす為、あいつらが置いていったものを食べる自分が情けなくて…悔しかった。


ツバキは涙を拭ってビスケットを口に入れた時…


ガサガサと茂みが動いた。

驚いて立ち上がろうとしたら、ビスケットのカケラが気管に入ってむせ返ってしまった。


ガサガサ音は次第に近付くと、音の正体がツバキの前に姿を現した。


その姿を見たツバキは驚いた。


綺麗な銀髪に狐の耳…そして大きな胸の女性が全裸で立っていたからだ。


女性はツバキを見つめると、四つん這いで近付いて言った。



「どうかビスケットをお恵みください!」


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