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NEET 魔王としての初仕事 後編

「どうしてここに?」

ジークは突如姿を見せたシアに聞くと、シアは笑いながら答えた。


「ノワール姉様に頼まれたのじゃ!ヴァレンタインの様子を見てきてとな!」

シアはジークにそう答えると、俺にウインクして前方の少年に問いかけた。


「だいぶ暴れたようじゃな!まだまだ暴れたりぬか?」

シアがそう聞くと少年は答えた。


「そうだね…まだ足りないよ」

その答えを聞いたシアが更に聞いた。


「ところで…お前はまだ「自分の名前」を覚えておるか?あたしはシアじゃ!」

シアはそう聞くと少年の答えを待った。


…シアは何を考えてるんだ?

俺はシアの質問の意図が分からず考えていると、少年が頭を抑えて苦しがった。

その様子を見たシアが俺に言った。


「あやつはあの「声」に支配されてしまったのじゃ…ヴァレンタインも聞いたじゃろ?あの声じゃ…」

シアはそう言って話を続けた。


「あいつはもう戻っては来れぬ…人を滅ぼしたら、次は我等に牙を向けるじゃろう。世界を憎みすぎて、自身が何を憎んでいるか分からなくなったら終わりじゃ。この意味が分かるか?ヴァレンタイン…」

悲しそうに話すシアに俺は聞いた。


「本当にもう駄目なのか?」

俺の問いかけにシアは首を横に振ると言った。


「あやつはもう「自我」を無くしとるのじゃ。もはや「声」に従い世界に憎しみをぶつける怪物じゃ…名前を忘れてしまっとるのが根拠じゃ…」

シアの話を聞いた俺は…肚を決めると2人に言った。


「シア、ジーク…俺が彼を止めるよ」

そう言って少年を見ると、彼は涙を流しながら聞いてきた。


「お兄ちゃんも僕を否定するの?」

そう聞く少年に俺は言った。


「いや…俺は君を否定しないよ。ただ君は長い間「悪い夢」を見ているんだ。だから俺が夢から醒ましてあげるよ…」

そう言って少年を抱きしめると…「魔威」を最大出力で発動した。


そして少年を抱きかかえると、エトワールに念話で話しかけた。


「エトワール…聞こえるか?」

俺が呼びかけるとエトワールはすぐに答えてくれた。


「聞こえてるし見てるよ!ボクはどうすれば良い?」


「人界の管理者の所に連れていってくれないか?」

そう頼むとエトワールはすぐにやって来て言った。


「いいよ!」

その返事を聞いた俺はシアとジークに言った。


「ちょっと人界の管理者に説教してくる。2人は先に戻ってくれ」

そう言ってエトワールと転移すると、シアがジークに言った。


「ジーク…まずいのじゃ!トーヤが激怒してるのじゃ…」

その言葉にジークは頷くと2人で空中庭園へと転移した。


その頃…

俺とエトワールはチャールズの執務室に来ていた。チャールズは俺たちに気付くと手を止めていった。


「創造神様!今日はどのようなご用件でしょうか?」

そう言って俺達に近付くチャールズにエトワールが言った。


「やぁ!ボクは君に用事はないよ。用事があるのは隣にいる「トーヤ」だよ!」

エトワールの言葉にチャールズは俺を見ると…抱きかかえる少年に気付いた。

そして「トーヤ」という名前を思い出して青ざめると、俺に聞いてきた。


「ま…まさか痴れ者がその少年に手を掛けたのですか?」

そう聞くチャールズに俺は言った。


「違う…この子は俺が殺した。貴様等人間に奴隷として扱われ…その後は街から追放された哀れな子だ…」

チャールズは頭を抱える中、俺はエトワールに聞いた。


「エトワール…人界から人間全てを消したら君は困る?」

俺の問いかけにエトワールは笑顔で即答した。


「ボクは別に困らないよ!むしろ管理する必要が無くなるから有難いかも!」

そう言って笑顔を見せるエトワールにチャールズが懇願した。


「待ってください!それは無慈……」


「知らないよ…君達が招いた結果でしょ?そんな些事よりボクはトーヤとおしゃべりしたいんだ!」

言葉を遮ってエトワールが答えると、チャールズは膝から崩れ落ちた。


苛めすぎたか?

膝をつくチャールズが不憫になった俺は、少年をソファーにおろすと声を掛けた。


「王様…この少年の体をよく見てください…」

チャールズは口調が穏やかになった俺に驚きながら立ち上がると、ソファーに横たわる彼の体を見た。


少年は…

全身の至る所に古い火傷の痕が残り、やせ細った手は爪が剥がれ傷だらけだった。

その体を見たチャールズは絶句すると涙を流した。そして優しく少年の頬に触れると俺に言った。


「私が責任を持って人界の風紀を改めます…こんな蛮行が許されていい筈がない…」

チャールズはそう言って立ち上がると、机から書類の束を取り俺に差し出すと言った。


「その書類は獣人を奴隷として扱っていた国と、人界の新体制に反発する勢力のリストです」

俺は渡された書類に目をしていると、チャールズは話を続けた。


「およそ人界の20%が私達の「敵」という事になります。中でも「冒険者連合」と呼ばれる組織がかなりの難敵です」


「冒険者連合とは世界各地に残される遺跡の調査や、優れた兵士を各国に派遣して国防を担う事で莫大な利益をあげている組織です」


「各地に散っていた冒険者や兵士が本拠地に引き上げました。そして先日、私達に「聖戦」と称した事実上の宣戦布告を発表したのです」

するとチャールズは頭を下げて言った。



「どうか力を貸して頂けませんか?」


もうすぐ4万PV!


初日が13PVだった事を考えると

ずいぶん遠くまで来れました!


数少ない読者様のおかげです!

ありがとうございます!

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