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第1章 NEET 異世界に転移する

真っ暗な部屋


唯一の光源であるパソコンのモニターを眺める男がいた。


部屋の主である俺…谷山 宗治(26歳 NEET)だ。


大学を卒業してすぐ両親が交通事故で他界。

多額の賠償金を手に入れたが…突然両親を亡くしたショックが大きく、会社は試用期間が終わってすぐに退職した。


無職になってしまったけど

幸い両親が残してくれた遺産があった俺は

働かなくても生活することが出来ていた。


この2年は眠くなったら寝て

他の時間は暇つぶしにネトゲをしたり

テレビを見たりと一般社会とはかけ離れた生活を送っている。


ただ…引きこもりではない。


たまに街を散策したり

日用品を買い出しに出たりはしている。

ご近所さんからは宝くじを当てて

悠々自適の生活を送っていると思われているみたいだ。


ショックから立ち直った俺は再就職活動を頑張ったけど…どの会社の面接でも空白期間が長い事を面接官に突っ込まれ、理由を説明すると憐憫の目を向けられた。


俺にはそれが苦痛でたまらなかった。


どうせ働かなくても

俺1人なら死ぬまで生きていけるだけの財があったので

就活をやめた俺は自由気ままな生活を続けている。


既に、コンビニで晩飯を確保した俺は

今日ものんびりネトゲを楽しむつもりだ。


「さてと、PCを起動して……っと」

いつも通りPCを起動する。


すると起動してすぐ異音に気付いた。


何だこの音?

ファンにホコリでも詰まってるのか?



!?


その音が急激に音が激しくなった!


甲高い金切り音と、ズンと響く重低音が混ざった

気持ちの悪い音に耐えられず、俺は耳を塞ぎしゃがみこんだ。



「何だこれっ⁈」


音は一層激しさを増すと

不快感に耐えきれなくなった俺は意識を手放し倒れた。




どれくらいの時間が経ったのだろう。


目を覚ました俺は

未だ痛みが残る頭を抑えながら起き上がった。


夢でも見ていたのだろうか?

それにしては耳に残る残響と頭痛に違和感を感じるけど…水でも飲んで落ち着こう。


そう考えた俺はリビングへと向か……ってあれ?


「何だここ⁈」


パソコン以外何もない

…あたり一帯が薄暗い空間に包まれていた。


ふと、夢の中でも自由に考えたり動ける人がいる話を思い出した俺は試しに腕をつまんでみた。


…うん、普通に痛い。

…うん、夢じゃない。


さて、どうしたものか。

と言っても今できることは1つしかない。


そう…PCだ。

俺は近付くとモニターを恐る恐る覗きこんだ。


モニターには…


「歓迎!異世界からの転移者様!」


「touch me」

と…おそらく次ページへのリンクボタンが表示されていた。


怪しすぎるが押さなきゃ先に進みそうもないのでtouch meしてみると、予想通りに次のページへと進んでくれた。


そこに表示されたのは某ネットショップをパクったようなページだった。


「えーっと、転移ショップ アンジェ…か。なになに、☆転移前にはこのショップで後悔のないお買い物を☆だと?」


どうやらこのサイトで今持っている所持金や資産を買え…という事らしい。


……え、俺って転生するの?

いや…死んではいないから転移か…って違う!


何を冷静に考えてるんだ。

訳が分からず時間だけが進んでいた。




この空間に来てどの位の時間が経っただろう。

不思議なことに腹は減らないし、眠くなったら眠れた。


あれ?

ここはある意味楽園では?とも思えるくらいには心に余裕も出来た。


ただそんな生活も長くは続かなかった。


そう…する事がないのだ。

ネトゲもネットサーフィンも出来ない、ただゴロゴロする生活に飽きるまでそう時間は掛からなかった。


…仕方ない。


転移ショップ(怪)でも見てみるか。

俺はモニターを久しぶりに覗いた。


すると画面左上の「変換」の項目が点滅していた。

気になったのでさっそくクリックしてみると

やたら長ったるい説明文が記載されていた。


要約すると…

俺が所有している財産を

このショップで使用できるポイントに変換してくれるらしい。


どんどんスクロールしていくと

「変換はこちら」と書かれたボタンにたどり着いた。


考えても仕方ない。


変換ボタンにタッチすると

数秒経ったらトップページに戻る。


すると今度は画面右上が点滅しだした。


恐らく先ほどの変換でポイントが加算されたんだろ。

俺はそこに表示されているポイントを確認する。


「えっと、いち、じゅうひゃく、せん、まん、じゅーまん…………………おく……って、億⁈」


そこに表示されていたのは

1億3750万というとんでもないポイント数であった……


この数年、様々なネトゲをプレイしていたけど

スタート時に億越えのポイント所持からスタートするなんて

見たことがなかった。


これはもしかして凄いことではないのか?


…いや、もしかしたら商品価格がインフレしていて

とんでもない値段がついているのかもしれない。


そもそも商品を見た事がなかった事に気付いた俺は

表示されたページをガン見した。


どうやらS級からD級までの

カテゴリーに分類されているようだ。


それと「おすすめセット」なるカテゴリーも表示されていた。


とりあえずおすすめを見てみるか。

俺はさっそくタッチしてみた。


すると

「今だけ限定!!異世界移住の方におすすめ!」とドーンと書かれたキャッチコピーの下に


「異世界言語理解」

「アイテムボックス∞」

「獲得経験値??倍」


「この3点が通常価格5000万Pのところ今ならなんと3000万P!!この価格で買えるのは表示されてから30分以内、限定3セット!!」

と書かれていて画面にはカウントダウンのポップアップが表示されていた。


……高いか安いかは分からないけど必要な気がする。


「異世界言語理解」は間違いなく必要だ。

「経験値??倍」という謎項目は許容範囲だろ…多分。


考えてるうちに購入期限が2分を切っていたので

俺は深く息を吸い呼吸を整えると購入ボタンをタッチした。


無事に購入出来たらしく

少し待ったらサイトのトップページに戻った。


ポイントはかなり消費したけど

安く買えたみたいだし良かったんじゃないかな。


……ってあれ、俺もしかして騙されてる?


この販売形式、何処かで見たような。

TVショッピング?

ジャパ●ット?




……いやいや深く考えちゃダメだ。

気を取り直して別の項目を見てみる事にした。




……Dから順にAまで見てみたが、めぼしい商品は見当たらなかった。

「料理の達人」とか「お掃除マイスター」など

くだらない商品ばかりで

しかも軒並み1000万ポイント越えの

かなり高額商品ばかりだ。


残るはS級の商品。

俺は期待と願いを込めてタッチした。


表示された商品は………1つだけだった。だが、その商品名と金額に驚愕した。


……その商品名は

「花嫁召喚キットex/pkg〜運命」


金額は1億Pだった。



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