ドラゴン様との出会い
ドラゴン様はお待ちかね
「お待たせしましたー!」
急いで馬車を降りる。ドラゴン様を待たせているから教会の前まで全力疾走。まあ、ちょっとドレスとか髪とか乱れるけどしょうがないよね。
「…あれ?」
教会の前にドラゴン様はいなかった。いるのは綺麗な黒髪に赤い瞳の、タキシードを着たすごく綺麗な男の子。この国では黒髪も赤い瞳も珍しい。背も高くて、肩のちょっと上くらいまである黒髪と白い肌が綺麗。年は私と同じくらいに見える。…だれ?ドラゴン様はどこ?
「やあ!はじめまして!」
男の子に声をかけられる。
「はじめまして…?あのー、ドラゴン様を知りませんか?ここで待っていてくださっているはずなんですが…あ、私、ドラゴン様の花嫁になる予定なんですけど、えっと…」
私がそこまでいうと、何故か男の子は肩を震わせる。…笑ってる?
「…っ。ふふっ。ご、ごめんね。そのドラゴン様、多分僕のことだよ。」
えっ…、と思わず口に出してしまう。ドラゴン?この子が?
「ほら、人間の姿に変化出来ないと番になれないでしょ?」
…ああ!確かに!
「し、失礼しました!てっきりドラゴンの姿のままお会いするものだと思ってて!」
「いいよいいよ。僕の花嫁の可愛い姿を見られて嬉しいくらいだし。」
ニコニコと綺麗に笑うこの子がドラゴンだなんて信じられないけど、どんなドラゴンなんだろう。
「改めまして、僕はリュカ・リュウフワ。ドラゴンの王子だよ。よろしくね」
…ドラゴンの、王子?王子!?え、待って聞いてない!
「お、王子様なのですか!?」
いきなり焦り出してあたふたする私を見るとまたリュカ様が笑い出す。
「ふ、ふふふ。僕の花嫁は本当に可愛いなぁ」
楽しそうで何よりです。
「さ、僕の花嫁。名前を教えて?」
「あ、し、失礼しました!この国の男爵令嬢、サラ・ルナールと申します」
急いでカーテシーをする。
「サラ…素敵な名前だね。愛らしい君にぴったりだ」
…一応言っておくと、私の容姿は並である。この国ではありふれた金髪と緑の瞳。顔もスタイルも良くも悪くも普通だ。私のことを可愛いと言ってくださるのは、ドラゴン様は一途だと聞くので、多分ドラゴン様の欲目だろう。
「花嫁衣装は教会の方で用意してあるのは聞いてるかな?」
「は、はい」
「じゃあ、着替えておいで。その後二人きりの結婚式をあげよう」
花嫁姿を楽しみにしているね、と言って私を教会に連れて行ってくださるドラゴン様。緊張したけど、ドラゴン様がいい人でよかった。
さて、いざ!花嫁衣装に着替えるぞ!
ドラゴン姿もかっこいいはず