表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小品

花粉

作者: 星野☆明美

サイザード星から珍しい植物が地球へ持ち込まれた。

結晶ガラスでコーティングされた観賞用の植物は、持ち込まれたときにすでに蕾をつけていて、どんな花が咲くのか注目の的だった。

「淡いピンクですね。小ぶりの蕾が無数についてます。地球の花に例えたら梅とか桜みたいな感じに咲くかもしれません」

テレビの女性リポーターが報告した。

みんなが見守る中、蕾は次々と開花していった。

結晶ガラスの中で夢のように美しい花が開いていた。

「宇宙開発事業団から、民間のテレビ局へ移動しましょう!」

誰かがそう言って、みんなが賛成した。

エアカーに結晶ガラスの花を大量に載せて走行していたら、逆走車と衝突してしまった。

「みんな、怪我はないか?」

「大丈夫です。ですが…」

結晶ガラスが割れていた。サイザード星の空気が漏れて、花の甘ったるい香りがエアカー内に充満した。

「気分が…」

みんなエアカーの外へ出た。

「うっくしょん!」

「はくしょん!」

折しも、ロード沿いに杉林があって、花粉を撒き散らしていた。

「黄色い悪魔め!」

誰かが悪態をついた。

「地球の植物とサイザード星の植物には親和性はあるんでしょうか?」

「どうして?」

「サイザード星の花に杉花粉が受粉したら…」

「そんなまさか」

懸念だと笑い飛ばされた。


しかし、数日後。

新しい結晶ガラスの中へ移したサイザード星の花が実をつけ始めた。

熟した果実はとても魅力的で、人々は「あの実は食べられるんだろうか」と口々に言った。

「実験用のマウスに食べさせてみましょう」

数匹のマウスが用意されたが、じつにうまそうに実を食べて、けろっとしていた。

「私が食べてみます」

有志が名乗り出た。

「おおっこれは!」

「どうですか、美味しい?」

「うまい。味はイチジクみたいで甘い。それよりも…」

「それよりも?」

「長年悩まされてきた杉花粉症が治ったぞ!」

「ええっ!」

その後、サイザード星の花の実に杉花粉を受粉させると杉花粉症の特効薬になることが判明して、それらは重宝されることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おお、その特効薬ほしい!
2019/06/02 08:12 退会済み
管理
[良い点] 明るい未来ですね! 他の星の花と受粉がうまくいけば、花粉症も怖くないですね。 [一言] 面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ