25話・召喚
俺たちが帰っている途中、森を抜け広いところに出たらなにか騒がしかった。
「なにがあったんでしょう......? 騒がしいですね」
「まあ、私たちはファイアスネークの牙とったんだし関係ないんじゃない?」
そういうことで、俺たちがその場をスルーしようとすると、
「おいマサヤ! 大変だ! 魔物召喚なんてことしやがった奴がいる!!」
バークパーティが俺たちに気づいて叫んできた。
なるほど、魔物召喚は禁止ルールだったはずだ。それをした人がいるから喧騒になっていたのか。
と俺は考え、そーなのか、まあ、がんばれよーと言いその場を離れようとしたら、
「違う! 魔物召喚は監視スキルに一瞬で見破られる! そうじゃなくて......」
バークの後ろが爆発した。
「にげろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
周りにいた野次馬が一斉に逃げていく。
え?なんなの?召喚した魔物放置しちゃダメじゃないの?え?まじで逃げるの?
俺が状況がやばいということしかわからず困惑していると、
「マサヤ.......あれって......」
アリアが恐る恐る指をさした方向を見ると
俺たちがとってきたファイアスネークなど雑魚当然と言わんばかりのヘビがいた。
「あれって、グローツラングじゃないですか?! あの魔物は魔界にある大洞窟の番人で、魔界に行った王族一団が壊滅させられたという話を持っている魔物ですよ?!」
グローツラングは自分の下で腰を抜かしているパーティの周りに小爆発を起こしていたぶっているようだ。
「グローツラングはまだあのパーティを殺す気はないようですが、魔物は夜になったら凶暴化してしまいます、時間はあるんですが、助けないといづれ殺されますね、小爆発がどんどんパーティに近づいて行ってます、しかし、あの魔物は私たちが今まで戦ってきた魔物とはレベルが違います、倒すには伝説級を5人は必要です」
「え、そんなやばいやつがここにいるってだいぶやばいですよね、逃げた人が王族を呼んだとしても町破壊される方が速いだろうし.....」
「アナどーなるの?」
アナにすらこの状況のやばさが伝わったようだ。
「これは、逃げるしかないでしょう、あのパーティには申し訳ないですが、自分たちの命が最優先です」
冷酷だけどルルカさんにとっても苦肉の策なのだろう。顔が悔しさの表情で満ちている。
そうして、俺たちがその場を離れようとした時
「あの......すみません、あなた、ルルカさんですよね?」
と気弱そうな女性が話しかけてきた。
まだ人がいたことに俺は結構びっくりしたが、ルルカさんは、そうですが、あなたは?と冷静に返した。
「私はサリスと言います、お願いですから私のパーティを助けてください!」
そう言って泣きついてきた。
「申し訳ないですが、グローツラングを倒すのは、この状況の私たちには不可能です、本当に申し訳ありません」
「いえ、倒さなくて結構です、あの魔物を召喚したのは......私です」
なんですと。
「つまり、あの魔物を元に戻す手段を持っていると、そういうことですか」
「そういうことです......しかし、私1人だったら戻すためのスキルを使ってる間に攻撃の標的にされてしまい......」
とサリスが話していると
「......バカじゃないですか? あなたたちが自分たちで勝手にルール違反をして勝手に死にそうになっている状況で私たちに命がけで時間稼ぎをしてほしい? それで私たちのパーティから1人でも死んだら私はあなた方を殺しますよ?」
ルルカさんは冷酷にそう答える。
「そこをなんとか! お願いします! お金ならいくらでも払います! 本当に......お願いします......」
そう懇願するサリスの姿は見てられないほど痛々しく、アリアは後ろに目をそらし俺もだいぶきつくなっていた。
ルルカさんの表情にはいつもの温かみがなく、こちらへ振り返って、急ぎましょう。と言った。
「ね、ルルカ? あの人たち死んじゃうの? ......助けないの?」
アナが不安そうにルルカにそう言った。
「!!」
ルルカさんはここで気づいたようだ。
ここであの人たちを見捨てると、幼いアナの心にはこれから殺される人を見捨てたという事実が永遠に引きづられてしまうことに。
「......マサヤさん、アリアさん、もし私があのパーティを助けると言ったらどうしますか?」
ルルカさんは疑問系で俺たちにそう投げかけてきた。
「私は前に出るわけでもないし、別に大丈夫だけど......マサヤはどーなの?」
アリアは俺を心配してくれているようだが、俺はルルカさんの心配に気づいている。というより、
「アナちゃんがこれから心に傷をおって生きていくとか、死んでも嫌なんで、いいですよ」
と、かっこよく答えた。怖いけど。
ルルカさんは俺たちにありがとうございますっ......と言い、サリスのほうを振り返らずに聞いた。
「どのくらい時間がいるんですか?」
「!!2分あれば行けます! 本当に......ありがとうございます......」
ルルカさんは感謝の言葉は無視してこちらへきた。
「2分だそうです、自分の命を最優先にして、少しでもやばいと思ったらすぐに逃げてください」
ルルカさんは俺たちの命を最優先に考えてくれているようだ。
サリスが召喚技巧でグローツラングを元の場所に返す陣を構築し始めたとともに、グローツラングがすでに失神しているパーティを放置してこちらへ向かってきた。
「硬化!」
「じゃぁぁぁぁぁ」
アナが砂を硬化させて飛ばしてグローツラングの片目を射抜く。
「ナイス! アナちゃん!」
......しかし、ついに俺の修行の成果を見せる時がきたようだ。
俺はグローツラングに手を向け
「温度変換 ダウン!」
周りの空気が凍てつく。グローツラングの動きが目に見えるほど鈍くなる。
「! デバフミスト プワゾン!」
動きが鈍くなったグローツラングに毒はよく聞くようでその場で苦しんでいる。
「マサヤ! ダウン使えるの?!」
アリアが驚いてそう聞いてくる。
「いや、使えるというか、アップの威力が上がるにつれて、ダウンの威力も上がっていったらしく、この程度ならできるようになってたんだよね」
と答えドヤ顔しようとしたがグローツラングが解毒を済ませ怒り狂った様子でこちらに向かってきた。
俺はタイマンをグローツラングとはっても勝てないことはわかっているのでタイタンナイフを構えてグローツラングを切ろうとハッタリをかまして横へ逃げた。
ダサくないよ?
すると、俺の腕の動きが遅いのか、タイタンナイフがグローツラングの牙にあたり牙を切り飛ばした。
飛んできた牙が俺の腕をかすめる。
あれ、腕の感覚がなくなってきた。
「!! マサヤさん! グローツラングによる毒は全て猛毒です! 引いてくだ「ヒーリング ポイズン!」
俺の腕の感覚がゆっくり戻っていく。
「ルルカ? 私のこと忘れてたでしょ?」
アリアがドヤ顔をしている。
牙も切られ周りも寒くなり本格的にブチ切れたグローツラングが俺に襲いかかってきそうになった時、
「できました! サモンス レイサー!」
サリスがそう叫ぶと、グローツラングの下に陣が現れ、光とともにグローツラングは消えていった。
「.....終わったー! 死ぬかと思ったー!」
「本当に.....ありがとうございます! この恩は必ず返します!」
後ろでお礼を言うサリスを放置して、ルルカさんはじゃあ、帰りましょうか!と言って町へ戻っていく。
キレたルルカさんはマジで怖いことがわかる大会だった。
ルルカさんがスタスタと戻っていく中で、アナが
「マサヤ! これ持って帰る?」
とグローツラングの牙を持ってきた。
「おお! 忘れてた! アナちゃんナイス!」
アナは嬉しそうにしている。
かわゆす。
そんなこんなで俺たちは町へと帰っていった。
はい!テスト勉強してません!やばいです!
本編ですが、ルルカさんは仲間思いなんですね、かっこいいです。はい。
今回はここまで読んでいただきありがとうございます!
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