11話・クエスト
俺たちが海旅行から帰って数日。
俺はアリアと2人でダウンの練習を兼ねた魔物狩りをしていた。
「温度変換 ダウン!」
パキィという音とともにあたりの草が凍りつく。
「なかなかものになってきたわね!」
アリアがこんなことを言っているが、これでも伝説級の技巧なんだ。まだ努力はしないといけないだろう。
日も暮れてきたので、俺たちが町に帰るとそこにはルルカさんとアナが立っていた。
「あ、まってましたよ。マサヤさん、アリアさん、実は、今朝わたしの元にこんな手紙が届いて......」
そう言って見せてきたのは......
「これ、国からのクエスト依頼じゃない!」
だ、そうだ。
「この前の一件以来、この街での私たちの知名度はだいぶ上がりましたからね」
そう、俺たちは盗人のふりをしてパーティを食らっていた強力な魔物を撃破したパーティなのだ。ある程度は有名になってもおかしくはないだろう。
俺は自分たちの成長に考え深いものを感じながらクエストの手紙を読んだ。
『ルルカ殿、および関係各位のみなさん、急なところ申し訳ない。今回はある魔物の討伐を依頼したいのだ。その魔物は知識をもち、複数体が連携してパーティを壊滅させるという。今回は手紙とともにアイテムをいくつか送らせてもらった。これを使い、魔物討伐をしてほしい。魔物は、アルゼント北部の洞窟に潜伏中だ。』
だそうだ。
......リーダー、国公認でルルカさんなんですね。
ルルカさんが「いや!でも、マサヤさんもアリアさんもわたしより活躍していますし!」とフォローしているのが逆に胸に刺さる。
「じゃあ、早速準備して、明日出発してちゃっちゃと終わらせちゃいましょう!」
パーティのリーダーなんてどうでもいいと思ってそうなアリアがそう言って、準備をしに戻って言った。
「で、では、また明日、ここに集合しましょう。」
そう言い残し、ルルカさんはアナを連れてそそくさと家へと戻って言った。
国からの支給以外に準備するものとかあるの?
家に帰るとアリアは早速荷造りをしていた。
俺は、何を入れているのだろうか、と気になりアリアの手元を見ていると、
まず入れたのは綺麗な石だった。
次は石
次も石
石
石
......石
「石はだせ!」
「やめて!わたしの石たちもクエストに行きたがってるのよ!」
なかなかカバンを離そうとしないアリアから俺は無理やりカバンを奪い取り、石が入っていた箱にガザーッと入れた。
アリアが石の安全確認をしていたがそこは無視して俺も準備をすることにした。
そーいえば、国からの支給ってなんなんだろう。
俺はふとそう思った。
実際、防御ならアナに任せて、回復はアリアに任せれば良いので、よくRPGで買いだめをしないといけない薬草などは俺たちには必要ないのだ。
......まあ、明日になればわかるか。
俺はルルカさんが持ってくる支給品を少し楽しみにしつつ準備を進めていった。
そして翌日。
ルルカさんたちより早く門の前に着いた俺とアリアは、暇だったので綺麗な石を探していた。
「マサヤ~、こっち石がないわよ。」
「こっちもないぞ。というより、この辺は整備されてんじゃないの?」
普通に考えたら門前に石を放置しておく町なんてないよな、なんて考えながらも、石を探していると、
「すみません、遅くなりました。」
「おはよ!」
と、ルルカさんとアナが到着した。
「国からの支給品で必要そうなのだけ選んでたら時間がかかってしまって......」
おぉ、そんなにすごいものがたくさん入ってたのか。
俺は期待に胸を膨らませ何が入ってたのかを聞くと、
「ええと、持ってきたのはミカンとバナナですかね。」
え?
いや、え?
「冗談ですよね?」
「?本当ですよ?」
......この国の王は何を考えてるんだ。
俺は残念な気持ちを抑えて、クエスト達成をなさんと門を出た。
学校がきつい!、はい。きついです。
本編ですが、ついに国からのクエストが来ましたね。クエストの先に待っている魔物とは一体何なのか、気になりますね。
ここまで読んでくださりありがとうございました!12話も、よろしくお願いします!