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かみどろ! -異界転写の女騎士-  作者: 賀来大士
二日目: 準々決勝
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50/106

50 精神壊しの罠

「アタシの先行。プラグ、『木漏れ日の学舎』をプレイするわ」

「ターン貰います。ドロー前、手札から『獰猛な中隊長』を公開してトークンを二体。ドロプラから『慨嘆』で」

「仕方ないわねえ。『時代性の破棄』捨てるわ」



『木漏れ日の学舎』(青)

エポック

 このカードの能力は、すべてのプレイヤーが、各々のターンのエンドフェイズ時に、どれか一つを一度だけ選んで使用することができる。

 (1):次のエンドフェイズ時まで、すべてのプログレはHR-1の修正を受ける(この後に場に出たものには適用されない)。

 (2):カードを一枚引く。

 (5):このカードを破壊する。



『慨嘆』(黒)

スプレー

 対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは、プログレではないカードを一枚捨てる。その後自分の手札を公開する。



「1ターン目は互いに理想的とも言える立ち上がりッ! かたやドローエンジン、でプラン構築、かたやハン(Hand)デ(dest)ス(ruction)を展開して妨害を図っているというところ!! 熱い戦いを見ることができそうですッ!」

 その口振りは昨日にも増してせわしない。仕事を忘れているかのような興奮ぶりを見せていた。


「じゃ、ワタシのターン。『虚空漂着』のプラグから、『幻惑のマーメイド』を召喚よ!」

「わ。もう来た」

 ジェローナが呟く。期待にそぐわず、尭史の反応はなかった。

「ドロー、『荒れ地の猟犬』プラグから『苔むしたブリキ兵』召喚』

「しっかりと嫌らしいものを出してくるわねぇ」

「……」

「ちょっとォ! 何か言ってくれてもいいじゃないの?」



『苔むしたブリキ兵』(緑)(1)

プログレーー機械

 呪縛(プレイヤーにもプログレにもダメージを与えられない)

 伸縮(制空、潜水をもつプログレを防御できる)

 このカードが場に出たとき、カードを一枚引く。

BP3000 / HR0 / RV(機械)



 そのイラストは、山中で廃棄されたまま時がたった機械兵が描かれている。

「随分幅広い趣味なのね」

 尭史の代わりにジェローナが、聞こえない声でそう言った。

「ワタシのターン! プラグ、『塩漬け』しちゃうわ!」



『塩漬け』(白)

エポック

 このカードが場に出たとき、対戦相手がコントロールする、点数で見たコストが2以下のプログレ1体、またはプログレ・トークンを対象とする。塩漬けが戦場を離れるまで、それを追放する。(そのプログレはオーナーのコントロール下で場に戻る。)

 (5)、このカードを破壊する: このカードにより追放されたプログレを、例外的に、この効果を使用したプレイヤーのコントロール下で場に出す。この効果は対戦相手も使うことができる。



「コンバット、『マーメイド』でアタックしたら『学舎』でドローしてターン終了よん』

「トークンでブロックします。ドロ、プラ。『眼窩(がんか)の狙い撃ち』を顕現します。手札を二枚捨ててください」

「通すけど、一枚は『グレディスの信仰』なのよね」

「……、……!」

 びくりと身体が震える。



『グレディスの信仰』(白)(3)

エポック

 すべてのプレイヤーがエポックを顕現する際のコストは(2)減る。

 エポックが顕現されるたび、そのオーナーは自分のデッキの一番上を見る。その後、それを一番上か一番下かに戻す。

 このカードが対戦相手の効果によって手札から捨てられる際、代わりにコストを払わずにこのカードを場に出す。



「ちょっと、尭史! 落ち着いて。なんだか息が荒いわ」

 ジェローナには、物理的に空気の流れを感じることはできない。

 しかし尭史の鼻息が、無駄に音を立てているのは聞き取れた。彼女は耳が良かった。

「鮎川選手、なんという不運ッ! 『慨嘆』を使った際にはなかったマッドネスに当たってしまったァ! これは相当なテンポの損失と思われます!」

 選手たちが黙々とプレイしている今なら、そんな実況の声すら聞くことができた。


「じゃ、ターン貰っていいわねェ? ドローからそのままプラグしてマーメイド攻撃までよ」

「二体目のトークンでブロックです」

「エンド時に『学舎』でドローしたら、どうぞ」


 すかさず尭史はテレパシーを飛ばす。欲した一枚を、即座に手に入れた。

「『無限弾倉の機関銃』を顕現したいです」

「制限級の装備品ね。困ったものだわ」

 やれやれ、という目でそのカードを眺めていたが。

「いいわ、出してどうぞ」


(『学舎』とのコンボを生んでしまうカードを無効にしなかった?)

 意外なプレイングに、尭史は驚いた。

 『機関銃』は放っておけば、以降の展開を大幅に円滑化するカードだ。その強力さから、デッキに一枚しか入れられない制限を受けている。

 一般的な見方をすれば、マストカウンターの一つなのである。

(装備品だから、それを身に着けるプログレが必要ではあるけど……するとあの手札は無生物を対象にとれない打消しかな)


「ワタシの番でいいのね。ドロー、そしたら『マーメイド』で攻撃」

「トークンがもうないので、ライフで受けます」

「それじゃメイン2、『ケルドミウム粒子の散布』かしら」

(こっちはこっちで制限級の時代カードだ)

 FFの能力使用を強く抑制する、青の一枚。

 非常に厄介ではあるものの、現状では放置するしかなかった。

「あとはエンドまでよ」


「……」

「尭史、どうしたの?」

 伊豆浜からの宣言を受けたにも関わらず、手が止まっていた。

 ジェローナへの指示を飛ばすこともない。

 心ここに在らず、と言うかのように。

 何も考えてもいないかのような、ぼんやりとした表情を浮かべていた。


(『清涼で甘美な日々』だ)

 そしてようやく発された指示。

 言うまでもなく、それはジェローナが耳を疑う言葉だった。

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