狂気は誰にでもあり狂喜へと変わる
一度途中まで書いてた文章がミスで消えてしまい私自身が発狂してました。
ショック!!
あと少しグロいかもしれませんのでその点ご了承下さい。
10m先で起こっていることから目が離せない。
目を凝らすと見たこともない魔物が何かを喰らっていた。
更に目を凝らすと喰われているのも魔物だということが分かった。
横に倒れているのは茶色の狼のようだ、ただ頭が2つある。
その双頭の狼の腹に牙が突き刺さっている。
喰らっている魔物は赤色をしたゲル状の魔物だった。
ファンタジーの世界で有名なスライムかと思ったが、身体中に牙のビッシリ生えた口が付いていているので別物だろう。
それが口の部分を伸び縮みさせ何度も双頭の狼の腹をえぐっている。
赤い体が双頭の狼の血でさらに真っ赤に染まっている。
どちらの魔物も大きい、狼が1m50cm、ゲル状の方が1mといったところだろうか。
ただ、今奇襲すれば倒せるかもしれない。
幸い相手はあの体だ、足の速い魔物ではないだろう。
距離を保ちつつ魔法で遠距離攻撃し続ければ倒せる可能性は高い。
ただ動けなかった。
体がいうことを聞かない。
木の影には隠れているがいつ魔物が此方に気付くとも限らない。
その間にも赤色のゲル状の魔物が喰らっている。
更に体を真っ赤に染め上げている。
今だ動け!動けよ!
―――――――――――――――
俺は何をしてんだ……
視線の先には、腹を穴だらけにした体を晒す双頭の狼の死体だけが横たわっている。
ゲル状の魔物は満足したのか森の奥へへと消えていった後だ。
今頃になって体が動く。
当たり前か。
動けない原因が去ったのだから……
恐る恐る死体に近付く。
やはり死んでいるようだ。
分かっていたことだが確認させられる。
立ったまま死体を見下ろす。
双頭の狼はどちらも口からダラリと舌を出し、眼は白く濁った色をしていた。
腹に目をやる。
血が大量に出ており魔物の体を覆っている毛を塗らしている、自身の肉片もこびりついているようだ。
その時自分でも知らない感情が頭を支配する。
徐に血の染み込んだ土の上に膝をつく。
横たわる双頭の狼の頭を撫でてみる、思ったより触り心地が良くまだ微かに温かい。
綺麗な顔だ、撫でながら徐々に指先を下へと滑らせる。
鼻先、額、耳、首もと、そして腹へ……
腹は穴だらけだ、その中へと指を入れる。
温かい、更に手を差し込む。
血と肉の混ざりあった感触を手全体で感じる。
この温かさが生きているということなのだろう。
ただその温かさも少しずつではあるが、失われていくのを指先から感じる。
興奮しているのか俺は?
心臓の鼓動が早くなっている。
そんなことを考えつつ手を引き抜くことはしない。
自分でも今している行為が異常なのは分かっている、こんな事に興奮を覚えるなんて……
前の世界でだったならこんな癖自分自身気付かなかったかもしれない。
俺は平凡で普通な人間だったはずだ、ただそれは表面上の事、自分を知らなかったということなのだろう。
それが前の世界、今の世界で良かった事なのかどうか分からない。
ただ知ってしまった。
この感触を。
この感情を。
俺の全細胞が歓喜していた。
今更止めたり知らないふりはできないだろう、嫌そんなことはしたくない。
今俺の顔は喜びに満ちている、この顔をあの村の猟師に見せたらきっとナイフを渡してくれるだろう。
そのナイフを受け取り、返す手で体を縦に裂いてあげたい。
噴き出す血のシャワーを全身に浴びる、考えるだけで鼓動の高鳴りが聴こえてくるようだ。
――――――――――――――
腹の中でグニグニしていた手を引き抜く。
最初の頃より少し冷たくなっている。
いつまでもここにいる訳にはいかないのだが名残惜しい。
今気付いたが肘まで真っ赤になってしまっていた。
せっかく村長に貰った服を汚してしまったが仕方ない。
そういえばこの双頭の狼も魔物なのだろう、ということはどこか素材になる部分があるはずだ。
……分からん。
こんなことなら誰かに聞いてくればよかった。
とりあえず頭だけ持ち帰ろうと思う、あぁナイフがない……
魔法でどうにかならないのだろうか?
目を閉じ頭の中で今日見たあのナイフの質感、感触をイメージする。
右手に何か感じる。
目を開けると土で出来たナイフが手の中に出現していた。
なるほど確かに見た目は今日見たナイフにかなり似ている、ただ柄から地面へと鎖のようなものが繋がっていた。
地面から作ったということだろうか、よく分からない。
あと、切れ味には期待できそうにない。
強度はあっても鉄ではないのだ、切れ味までは再現出来ていなかった。
試しに双頭の狼の首もとに当てて切って見たが薄皮が切れた程だった。
仕方ないのでイメージを手斧へと変更する、今度はイメージがボヤけていたためか飾り気のない歪な斧が出来た。
ナイフと同じく切る効果は期待できないだろう、ただ切断ならできそうだ。
手斧の柄を持ち振りかぶり下ろす。
なんとか首を切断することができた、首もとがグチャグチャなのはこの際仕方がない。
2つとも首を切り終えたあと一息つくと帰ることにする、両手に頭を掴み歩きだす。
色々あったが今日は良い日だった、新しい自分を発見できたのだから。
気分が良いので狼の首をブラブラさせながらスキップして村へと帰ることにした。
分からなかったので調べたんですが、死後の体温は1時間に5度くらい下がっていくみたいですね。
参考にしたのは人間の場合なのですが今回出た狼の魔物の場合も同様ということにしてみました。
お気に入り件数が12件に!!ジワジワ増えてます、話も王道ではないですし文才もあるわけではないので書きたいものをつらつらと書いてるだけなのですがやはり嬉しいですね。ありがとうございます。
にしても日間ランキングなどで上位に入る方の作品は面白いですね、パクる訳ではないですがあの面白さを違った感じや別の物の見方、自分なりにいつか表現できたらなと思っています。
今回のように残酷な描写も少なからず入ることがあると思います、全編それ一色というわけではありません。
狂気は顔を出し隠れするから面白いものだと考えています、今後もハーレムやヒロインといったものは出てきませんがよかったら読んでもらえると嬉しいです。