村長の考え
村長の思惑になります
村から飛び出し行方不明になっていたアビが無事帰ってきた、どうやら魔物に襲われていたところを旅人に助けられたらしい 。
捜索に出ていた村の男達へカンカンと発見の合図の音が鳴らされている。
旅人は私の家の一室に待たせてある。
一応素性が分からないので村でも腕利きの猟師を見張りに付けている。
帰ってきたアビから話を聞くと助けた旅人は魔法を使っていたらしい。
曰く、一瞬にして空高くそびえ立つ塔を作ったのだとか。
旅の魔法師の方なのであろう。
魔法師は強力な魔法を行使するが絶対数が少ない、私自身魔法師を見たのは一度しかない。
あの時は村の近くにサーベルラビットの集団が出現し、魔物を退治してもらうよう冒険者ギルドに依頼したのだった。
その時魔法師が1人、パーティーにいたのだ。
あの時私は村長になる前でまだ若く青かった、好奇心が勝ち危険を承知でコッソリ冒険者達に付いていったのだ。
森の中へと移動しそこで見たのはまさに衝撃の景色だった。
冒険者達がサーベルラビットの群れと遭遇し、魔法師が手を前に突き出すと突如前面が氷に覆われたのである。
魔物と共に木や草までもが凍っておりまるで氷の彫刻のようだった。
あまりのことに腰を抜かしていると魔法師がこちらへと歩いてくる。
これからは危険だから村へ帰って欲しいと言われた。
私は急いで帰った、魔物にではなくその魔法師に恐怖したのかもしれない。
それほど衝撃的な映像であり怖くもあった。
それから時が経ち私も年を取った。
たった一度の出会いであったが、私も様々なことを経験しあの力が恐怖であると共に大きな魅力であることも分かった。
村でも数年に何人か魔物により死者がでる、もし強力な魔物が森の奥から現れれば私達は逃げ惑い死ぬことしかできないのである。
だがそれに対抗できるかもしれない存在が今村にいるかもしれないのだ。
もしその旅人が村に永住してくれれば 村はより安全になり人も増え栄えるだろう、村長として私自身としてもそれは歓迎すべきことである。
アビの話では魔法師は青年なのだとか、アビにも話をつけ結婚させようかと考える。
結婚すればこの村に永住してくれるだろう。
アビは私が育ての親であり本当の両親は小さい頃に魔物によりに殺されており兄弟もいない。
アビも自分を助けてくれた命の恩人には引かれるものがあるだろう。
早速魔法師の方と会うことにする。
たしかに見た目は若く普通な青年だった。
ただ一番妙に感じたのは服装である。
青年は奇妙な服を着ていた。
上下黒の見たこともないような服なのである、裁縫はしっかりしているし高級品なのは分かるがどこかの民族衣装なのだろうが初めて見るものだ。
アビの件はいまいち良い返事は聞けなかったが、とりあえず泊まっていくことになった。
服の他にも奇妙な点があった、この青年手ぶらなのである。
荷物のことを聞くと魔物との遭遇時に落としたと言っていたが、はたして塔を造るほどの魔法師が荷物を落としてきたりするだろうか。
予測でしかないので分からないががまだ信頼しきる訳にはいかないだろう。
ナイフが欲しいと言ってきたので猟師を紹介した、旅を続けるためにお金が欲しいようで仕事を探していたがそのまま村でずっと働いてほしい。
幾つか手をうっておかねば……
昨日は旅行にいっていたため急ピッチで書き上げました。
書いててそういえば靴はいてなかったと気づいたので後々修正予定です。
お気に入りが8件に!ありがとうございます。これからもよろしくお願いします( *・ω・)ノ