仕事を下さい
一人称の確認のため1~3話の文章を少しいじってます。
また今後の展開の為、村の規模を100人→60人に変更
(う〜ん…非常に困った…)
そうきたかと言いたい、たしかに助けはしたし謝礼も期待はしたが物じゃなくて者できますか。
謝礼としてバーグ村長に差し出されたのは魔物から助けたあの少女だった。
「どうですか?年齢も16と若く気立ても良いですぞ、ほら挨拶しなさい。」
「アビといいます…」
いやいや自己紹介とか止めてほしい、なんかもう貰う前提みたいに話が進んでるじゃないか。
「セージ様いかがされました?」
(いかがされましたじゃねーよ、大いにいかがしてんだよ!)
「いえ、急な提案でしたので…」
セージの口角がヒクつく。
「たしかに戸惑うこともあるでしょう、まぁじっくり考えてみてください。」
バーグが笑顔で語りかけてくる。
いやたしかにアビという子、可愛い顔をしている。
背も150cm位と小柄で髪も茶色のロング、身体はほっそりしていて笑ったらもっと可愛いんだろう。
勿論今はうつむき下を向いてるので笑顔なんてこれっぽっちも見えないが。
「セージ様よろしかったら今晩は我が家に泊まっていかれてはいかがですか?」
「いいんですか!?」
アビのことなんて吹き飛んだ、今は宿の方が大事だよね!
「食事もまだでしたら一緒に妻に作らせますが?」
「是非よろしくお願いします。」
バーグからの提案に少し食い気味で返事をする。
「そういえばセージ様、お荷物はどうちらに?」
「え?荷物……?」
ヤバいそういえば旅人設定なのに手ぶらだった、なんて説明しよう、うーん……
「魔物から助けた時に落としてしまったみたいです。」
「おお、それは申し訳ないことを……明日捜しにいかれるのでしたら村の男衆を手伝わせますが?」
「いえいえ、大したものは入ってなかったので大丈夫です。」
これで大丈夫かな?
一応ニッコリ笑っておく。
「ただ衣類と食料は必要なので幾分分けていただけると有難いのですが。」
「私どもの村も何分貧しいものでそう多くは差し上げられませんが、出来るだけのことはさせてもらいましょう。」
謝礼として払えるものが他にないからアビを出してきたのか。
「食料の方は保存の効くものを中心に選んでおきましょう、ですがセージ様が着ておられるような珍しい服となりますと我が村では……」
自分の姿を見て思い出した、黒のスウェットなんてこっちの世界にはないよな。
「村の方々が着ているような普通の服で構いません、旅に向いた丈夫な服なら尚嬉しいですが。」
この位の我が儘なら聞いてもらえるだろう。
「分かりました、では食事の準備ができましたらお呼びします、寝る場所はこちらの部屋をベッドもそちらのものをお使い下さい。それでは。」
そう告げると村長達は一礼して全員部屋から出ていった。
なんかドッと疲れた……
予想外の提案をされたんでなんか変に疲れたよ。
よく考えたら俺って変だよな、見たことない服着てるし手ぶらだし。
少女を助けるか躊躇ったけど命の恩人でもない限り怪しさ満載の俺なんか助けてもらえなかっただろう。
そういえばアビだっけ、あの子どうするかなー。
俺も男だ、女性に興味はあるし少女はゲットしたい。
ただ異世界に着の身着のまま来た俺には、生活する術もなければ資金もない。
そんな状態で誰かを養うなんてできないし、正直そんな責任はまだ背負いたくない。
18歳に色々求めないでほしい。
一先ず心を落ち着けるため椅子に座る。
深呼吸深呼吸。
少し休憩したあとバーグさんが部屋に服を持ってきてくれたので、それを着て村長夫妻と夕食を取ったのだが、バーグさんの奥さんに色々聞かれた。
出身やどんなところを旅してきたかなど。
決定的なボロは出した訳ではないが何かあるなくらいには思われただろう。
多分……
そう願いたい。
というか飯くらいゆっくり1人で食べさせてほしい。
夕食のあとは寝る準備をし置いてあったタライの湯で体を拭きベッドで横になる。
やっぱり風呂なんてないのか、そんなことを考えながら目をつぶっていると意識が深く沈んでいくようだった。
おやすみなさい。
そして朝を迎える。
天気は快晴気分は曇り、今日も元気だご飯が美味い。
ご飯が美味いのに気分がくもりなのはきっと3人でとってるこの朝食のシチュエーションと解決していない報酬の問題のせいだろう。
ここでタワーとか使ったらこの雰囲気から逃れられるだろうか、そんな馬鹿な事を考えてしまう。
「朝食を食べたあとはどうされますか?」
「お金もなくなってしまったので、できれば何か仕事をして稼ぎたいのですが何かありませんか?」
お金は大事だよね!
「お金ですか、大きな村でもないのでそんなに稼げるような仕事がないんですよ。」
「そうですか……」
うーん、しょうがないか。
旅人は滅多に来ないって言ってたしお金の回りも基本的に村内のみなんだろう。
旅人や商人が頻繁に行き来していないような場所では流通が悪くお金が入ってこないから、いざという時のために資金はある程度残しておかないといけないのだろう。
「多きな村や町へ行けば冒険者ギルドで魔物の素材を買い取ったり色々仕事も多いのですが。」
なんか今サラっと大事なこといったよね、村長さん。
「冒険者ギルドとは?」
「はて、セージ様はご存知ではないのですか?」
「あまり大きな町には縁がなかったもので……」
うぅ言い訳が苦しいがしょうがない……
「そうですか、冒険者ギルドは魔物や悪さをした者を退治する者達が集まる場所のようなもので依頼すれば私たちの村などへも来て退治してくれます。」
「勿論お金など対価を払わなければいけません、この村には自警団しかないため冒険者ギルドについてはそのくらいしかお話しできませんが。」
なるほど、魔物を退治する傭兵のようなものか。
「お金の件ですが、物々交換は可能ですか?」
「何と何を交換でしょうか?」
この提案なら乗ってもらえるかな?
「魔物の素材とナイフを交換して欲しいんです。」
異世界で冒険者として生活することになりそうです。