謝礼キター
2・3話一緒に掲載しています。
やっと村まで着きました。
ただいま絶賛軟禁中、おじさんと二人屋根の下だが、おっさんが好きな訳ではないしそんなプレイが趣味な訳でもない。
木窓から見える空は薄暗くなっていて、夜中までに村に着けたのは本当によかったと思っている。
ただ村の近くまで来たとこで多分少女を探していたこのおじさんに発見され、あれよあれよとこの部屋まで連れてこられたのである。
村の入り口からは左右をおっさんに挟まれて連行されてきたが、横目でチラチラ確認したところ村の周りには2重の木の柵のみ、家屋の数もそこまで多くなく15かそこら、人口60人程の村なのだろう。
ちなみに連れてこられた部屋は見た限り村で一番大きな家、といっても日本でいう少し大きめの2DKといったところか 。
他は多分1Kとか1DK なのかな?
村の少女を助けた命の恩人なんだからもっとチヤホヤされるかと思ったが、今のところどうやらそういうわけでもないようだ。
(おっさんと2人キャッキャウフフはもう疲れたよ…)
そんなしょうもないこと考えてたら部屋のドアが開き他の村人より少し良い服を着たおじいさんが現れた。
(おっ、村長登場か?)
「この村で村長をしとるバーグと申します、この度は村の者を助けてもらい有り難う御座いました。」
年の頃は50代半ばであろうか、多少白髪混じりだが顔もなかなか良く周りの者より少し良さげな生地の服を着こなしている。
村長が近寄ってくると右手を差し出してくる。
「いえいえ道すがら悲鳴が聴こえてきたので、駆けつけ助けたまでです。」
(一応敬語を使っておくか…)
出された手を掴み固く握手をする。
(言葉は普通に通じているみたいだな、感謝されてるみたいだしお礼に期待してもいいのかな?)
「失礼ですがお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「あっハイ、私の名前は誠慈といいます。」
「セージ様ですか、セージ様は此方には何か御用事で?」
バーグがセージの目を見ながら聞いてくる。
(セージか…まぁそれでもいいか、それにしても結構警戒されてるのかな?)
「旅をしながら村を巡って見聞を広めている所です、何か気になることでもおありですか?」
「いえいえ、ただこんな辺境の何もない村に旅の方が来ることも希なもので気になり聞いてしまいました、不快に感じられたなら申し訳ない。」
バーグ村長が謝ってきたので気にしないでくださいとは一応言っておく。
「ところでセージ様、村の者を助けていただいたお礼なんですが…」
(キター謝礼キター、金かカッコ良い装備とかか!?まぁこの村のレベルじゃ鉄の剣とかそこらか……)
こちらでいかがでしょうか?
バーグ村長が手を叩き扉の向こうから持ってこさせたのは、あの助けた少女だった。