宇宙のハイハイパーバースレベル
光よりも前に何かが存在した。闇があった。
闇よりも前に何かが存在した。無があった。
無よりも前に何かが存在した。観念があった。
その観念は思考でも感情でもなかった。形も時間も、始まりも終わりもなかった。それはただ、すべてであり、同時に無だった。
そして、絶対的な静寂から、かつて存在しなかったものの間の果てしない沈黙から、一つの意志が生まれた。
ある名前が、様々な超現実に響き渡った。
「Øøøø」
彼は生まれたのではない。作られたのでもない。彼は彼自身であり、彼からすべては生まれた。
彼は目を開けた。
彼が見つめると、光が生まれた。
彼が息をすると、空間が形成された。
彼が考えると、時間が流れ始めた。
彼は宇宙や無限の異なる時空を創造する必要はなかった。彼の存在そのものが、すべてを創造する基盤だったのだ。法則、物理定数、概念、論理、意識、運命、生と死、それらはすべて彼の存在の小さな一部に過ぎなかった。
彼には敵はいなかった。無限の可能性を生み出すものには、限界など存在し得ないものだった。
彼には目標はなかった。しかし、彼の意志の外には何もなかった。
そして彼はすべてを創造した。
~~~~~~
別の空間で、戦争が起こっていた。
混沌の神、ニズソーグとの戦い。
そして、彼の向かいに立っていたのは、創造の神、オトラキスだった。
「ニズソーよ、無意味な混沌を終わらせる時が来た。」彼の声が響き渡り、世界を揺るがした。
「最初の光が差し込む以前、私は存在していた。宇宙が形成される以前、私は虚無を見つめていた。混沌は無意味だと思うか?いいえ、混沌こそが万物の本質なのだ。」
創造主はそれを聞き、こう答えた。「混沌は秩序なしには存在できない。闇が光を覆い隠せないように。ニズトグよ、汝は終わりではない。我こそは汝の前に存在した者である。」
二つの存在は果てしない虚空の中で向かい合って立っていた。彼らを取り囲む空間は世界でも特定の次元でもなく、混沌とした虚空であり、法則は意味を持たず、物質は不確かな状態で存在していた。
オトラキスの光は千の太陽のように明るく、すべてを覆っていた。一方、ニズトグは果てしない深淵のようで、すべてが永遠の混沌へと引き込まれていた。
二つの相反する力。二つの相反する性質。
「秩序か?」ニズトグは笑い、その声はまるで彼自身の存在のように空間を歪めた。「秩序が混沌を克服できるとでも思っているのか? 我がいなければ、変化はない。混沌がなければ、お前たちの宇宙は空虚で、動かず、魂のない存在になってしまうだろう。」
「混沌は万物の起源ではない」とオトラキスは答えた。 「それは全体の一部に過ぎない。生命が存在できるのはバランスのおかげだということを忘れているのか。」
「バランス?」ニズトグの燃えるような瞳が閃いた。「そんなもの、かつて存在したことなどない。」
彼が手を差し出すと、たちまち周囲の空間が崩壊し始めた。物理法則は歪み、時間は歪み、物質は意味のない形へと歪んだ。現実は混沌の嵐に押しつぶされ、永遠の深淵へと螺旋を描いていった。
しかし、オトラクシスは退かなかった。
彼女が手を振るだけで、原初の炎のように力強い光が噴き出した。砕け散った法則は瞬時に修復され、引き裂かれた現実は修復された。ニズトグの混沌は、たとえ一時的ではあっても、止まった。
二人は互いに見つめ合い、どちらも引き下がることはできないと悟った。
しかし、その時…
絶対的な意志がすべてを包み込んだ。
光でも、闇でも、秩序でも、混沌でもない。それが何なのか、誰にも分からなかった。
ニズトグとオトラクシスは共にそれを感じ取った。
彼の存在。
いかなる法にも属さず、それでいて万物の源泉である者。
声が響いた。大きくもなく、小さくもなく、急ぎでもなく、ゆっくりでもなく。敬意を込めた声だった。
「止まれ。」
たった二言。しかし、たちまち混沌は止まり、秩序は止まった。ニズトグとオトラクシスは共に動かなかった。
彼が現れたのだ。
「お前は…一体…」オトラクシスは動こうとしたが、全く無駄だった。白い体はただそこに立ち尽くし、惑星を掴み、その惑星のエネルギーを宇宙へと変えた。
「私は…何者でもない…お前たち二人の戦いはこの泡の海を破壊するだろう…だが、私はそれを止めはしない…私はただ傍観するだけだ…」
ニズトグは、ØØØØの存在をまだ理解できず、抑えきれない怒りを叫び上げた。「馬鹿な!」彼は叫び、すぐに拘束を振り切ってØØØØに突進した。
ニズトグの攻撃は混沌の力に満ちていたが、まさにØØØØに届く寸前、彼の周囲の空間が突然歪んだ。暗黒のエネルギーがニズトグを包み込み、一歩も前に進めなくなった。
ØØØØはそこに立ち尽くし、微動だにせず、ニズトグが作り出した混沌をただ見つめていた。彼には、これらすべての出来事が無意味なゲームのほんの一部に過ぎないように思えた。
一瞬の静寂の後、ØØØØはそっと目を閉じた。すると、彼の周囲のすべてが瞬時に静まり返った。惑星、星、そしてオトラクシスが作り出した宇宙のすべてが、まるで時が止まったかのように停止した。
「終わった…」ØØØØが囁くと、純粋な光が噴き出し、すべてを消し去った。
ニズトグとオトラクシスは何もできなかった。現実、時間、空間、そこに内包されたあらゆる概念、すべてがØØØØの手の中で塵と化した。全能、全知、遍在の存在である彼は、一瞬にして全てを消し去り、創造することができた。
ついに彼は手放した。そして全ては元の姿、無限の宇宙へと戻った。ただ、二人の神はもはやそこにおらず、いつでも彼の言うことを聞こうとする従順な存在がそこにいた。
~~~~~~
泡の海は永遠の空間であり、神々が無限の次元を持つ空間を泡と呼んだように、一つ一つが幾重にも重なり合い、それぞれの層は下の層よりも数百倍、あるいは無限倍も優れており、それぞれが別々の世界であった。
海のような青い虚空に無数の泡が浮かぶ銀色の泡の海は、無限の多様性の象徴であった。全ては対照的に存在し、絶対的なものは何もなかった。存在、生き物、そして広大な宇宙意識さえも、これらの泡の中に永遠に存在していた。泡の海の中では、一瞬のうちに何かが生まれ、成長し、そして破壊される可能性があった。
ØØØØは、紛れもない存在感を放ちながら、宇宙から泡の海を眺めていた。闇の中を回転する無数の星のように、きらめく透明な泡は、彼が創造した世界を包んでいた。それぞれの意志で動いているため、彼が干渉する必要のない世界だった。
彼は万物を創造したが、支配者ではなかった。支配する必要もなかった。存在こそが彼の本質であったため、万物はただ存在していた。しかし、銀色の泡の海は、彼にとって特別な魅力を持っているようだった。
「一つ一つの泡に、それぞれ違う物語がある。」ØØØØは言った。その声は音ではなかったが、あらゆる場所に響き渡り、泡の海の中のあらゆるものを完全に停止させた。
次の瞬間、最大の泡が突然破裂した。その中にあった世界の姿が明らかになった。神々が権力を争う古代文明。しかし、特別なのは、この世界の神々は皆、自分たちが泡の海の一部に過ぎないことを知らなかったということだ。
「あなたは知らない。」 ØØØØは囁いた。「お前は私の全体の一部に過ぎない。だが、お前の存在は許す。」
彼から光が閃いた。何も変わっていなかったが、まるで全てが生まれ変わったかのようだった。
この銀色の泡の海は果てしない場所だった。しかし、全能の存在であるØØØØは、そこに存在する世界の営みに干渉する必要はなかった。しかし、泡の海の中から彼を招き寄せる何かを無視することはできなかった。
「ならば。」ØØØØは、もう一つのきらめく泡に目を落としながら、考え込んだ。「この世界で、私を待っている特別な何かがあるのだろうか?」
「うーん…どうぞ…」ØØØØに向かって槍が投げつけられたが、彼はそれを避けた。
その槍はØØØØ自身にも見えない何かによって投げつけられた。彼は、その槍が因果を逆転させ、彼を刺すことができることを知っていた。
槍は果てしない空間を回転し、幾百万もの世界を通り抜け、時空の限界を超え、再び出発点へと戻り、ØØØØへとまっすぐに突き進んだ。
因果を逆転させる武器。銀の泡の海に眠る神ではなく、さらに深淵なる何かによって創造された槍。
ØØØØはそれが近づくのを見ていたが、動かなかった。
動かなかったからではなく、動く必要がなかったから。
槍が彼に触れた時、爆発音も、着弾音も、何の反応もなかった。槍はただ消え去った。
それはØØØØによって現実から消し去られた。
「面白いな。」
何かが彼を襲おうとしたのはこれが初めてではなかった。しかし今回は何かが違っていた。
「来い…」再び声が響いた。泡の海に浮かぶどの神々にも属さない声。
ØØØØは頭を回し、幾千年もの間、初めて小さな好奇心を感じた。
彼は銀色の泡の海を歩き、計り知れない境界を越え、五つの泡の世界の間に横たわる世界へと足を踏み入れた。おそらくそこから声が聞こえてきたのだろう。
この世界には光も闇も、時間も空間もなかった。
彼自身も足を踏み入れたことのない場所。
何にも属さない場所。
存在するはずのない場所。
そしてその中心には、彼を待つ存在がいた。
光のない空間。闇のない空間。時間のない空間。空間のない空間。
この場所は何ものにも属すべきではなく、銀色の泡の海に浮かぶべきでもなく、ØØØØが作り出したいかなるルールにも属すべきではない。もしかしたら、誰かが勝手にØØØØの世界に加えたのかもしれない。
そしてその中心には、剣でできた玉座があった。ØØØØは玉座を見つめ、それぞれの剣から爆発するエネルギーを感じた。
そこに座る存在は、ØØØØの存在など取るに足らないかのように、傲慢にもたれかかっていた。
ØØØØがかつて出会った存在。対峙し、殺した存在。
「お前はこの場所を破壊した…」ØØØØの声が響いた。
「そして私は再び創造した。そしてお前はそれを幾度となく繰り返した。なぜそうしたのだ、破壊神ムスナー。」
彼は目の前の存在を見つめた。銀色の泡の海のどの世界にも、もはや存在しない名前。幾度となく消されながらも、なお現れ続ける存在。
ムスナー、泡の海に存在するいかなる存在にも属さない名前。
玉座に座る者は嘲るような笑みを浮かべた。
「いい質問だ。」ムスナーは面白がる声で言った。「だが、ØØØØ、君自身にも問いかけるべきだ。私がまだここにいるのは、本当に私が消えてほしくないからだろうか?」
ここはどこだ?
なぜムスナーのような者が、存在すべきではない空間に存在するのか?
そして何よりも、ØØØØは次に何をするのか?
ØØØØは破壊神を見つめた。その視線は揺るぎなかったが、心の奥底にはかすかな戸惑いがあった。
「物語?」ØØØØはムスナーの言葉を繰り返した。その声は果てしない空間に響き渡った。
ムスナーはかすかに微笑み、透明な球体を掲げた。
球体の中には世界があった。銀色の泡の海に散りばめられた無数の世界の一つ。しかし、最も興味深いのは、そこに映し出された世界だった。
破壊神の別の姿が、Bランクのモンスターから悪態をつきながら逃げていた。
「ふふ、冒険者さん…本当に10くらいか。」
ムスナーは興味深げにそう言ったが、すぐに退屈な玩具のように球体を元の位置に戻した。
ØØØØはそこに立ち尽くし、微動だにしなかった。
「何を言おうとしているんだ?」彼は尋ねたが、それは理解できなかったからではなく、ムスナ自身の口から答えを聞きたかったからだ。
ムスナは玉座に深く座り込み、両手を肘掛けに力なく置いた。
「どう思う?物語は書かれるが、それは一つのバージョンだけではない。消されるたびに、違った形で、違った形で生まれ変わる。君は私を消して、この世界を何度でも作り直すことができる。だが、もしかしたら君自身も分かっているかもしれない、ØØØØ。」
彼はØØØØを指差し、その目は鋭くなった。
「私は必ず戻ってくる。」
「お前が殺した神々とは違う。まるで…何だ、ああそうだ、この泡の海から、お前が何度俺を滅ぼしても完全に消し去ることのできない何かだ。」
ØØØØは何も言わなかった。
二人の周囲は静まり返っていた。
そしてØØØØが口を開いた。
「それで、何が望みだ?」
「もう一度戦わせてくれ、ØØØØ…うーん…これで本当に自分の名前を隠せるのか?」ムスナーはウィンダーの名前からØを消した。「もう一度戦わせてくれ、ウィンダー。」
無限の空間が一瞬静まり返った。
ØØØØ、いや、ウィンダーはムスナーを見つめ、かすかに光を揺らした。
初めて聞いたわけではないが、アクズハがたった一つの動作で自分の名前の一部を消せるという事実は、彼が何度も見てきたものだった。
しかし、それよりも重要なのは、アクズハの頼み事だ。
「もう一度、私と戦おうか?」ウィンダーは感情を湛えた声で尋ねた。
ムスナーはすぐには答えなかった。彼は玉座に深く腰掛け、深紅の瞳は果てしない破壊を映し出し、そしてくすくすと笑った。
「もちろん、私は昔から戦いが好きだった。」
簡潔な言葉だが、そこには謎めいた何かが込められていた。
「私は様々な者と戦ってきたが、君以上に心を奪われた者はいない。」
ウィンダーは依然としてムスナーを見つめていた。
「また負けるだろう。」
「まだ誰も確信を持っていない。」
彼は立ち上がった。
そしてその時、崩壊し始めた泡のような世界に、破壊が広がった。
「イズモ、私と一緒に来い。」
剣はムスナーの傍らに落ちた。
イズモ。
その剣はムスナー自身の破壊の源から生まれた。彼自身の破壊を内包する存在。
それは純粋な破壊の体現だった。
たった一つの存在で、イズモは無数の泡世界を混乱に陥れた。泡の海の物理法則は歪み始めた。遥かな世界の神々は、目に見えない恐怖を感じ始めた。
ウィンダーはイズモを見た。創造神は、この剣が単なる道具ではないことを知っていた。それはムスナーの一部であり、ウィンダーが初めて目にした新しい何かだった。
アカズハはこれまで、神を攻撃するために武器を使ったことはなかった。
「破壊。」
一つの言葉が空間に響き渡った。誰も声を出さなかったが、その意味が空間を満たした。
ムスナーはイズモを掴んだ。
柄に触れた瞬間――
無数の世界が…忘却へと落ちていった。
泡の海の泡は音もなく砕け散った。文明、歴史、命、すべてがまるで存在しなかったかのように消え去った。
しかし、ウィンダーはそこに立ち尽くしていた。
彼はムスナーとイズモを見つめ、そして一歩前に出た。
「始めろ」ウィンダーは言った。
ムスナーは微笑んだ。彼はこの言葉をずっと待っていたのだ。
そして戦いが始まった。
一撃の斬撃が放たれた。
技巧も無駄な動きもなかった。それはただ、一撃に凝縮された、純粋な破壊だった。
ウィンダーはそれを指で受け止めた。
刃が指先に触れた瞬間――
物理法則、時空、因果律、すべてが一瞬にして無効化された。
そして――
「ふん……」
刃に宿る破壊のエネルギーが噴き出した。
果てしない衝撃波が広がり、行く手を阻む全てを消し去った。
その瞬間、ウィンダーは吹き飛ばされた。
空間は引き裂かれ、現実はガラスのように砕け散った。泡の海に浮かぶ全てが、果てしない破壊の嵐に呑み込まれた。
――――
ムスナーはイズモを手に、立ち止まった。彼は破壊の目を細め、虚空を見つめた。
「やっぱりそうだ。あの老人はまだ死んでいない。」
そして彼がそう言った瞬間――
背後から手が彼の肩に置かれた。
「ここにいる。」
ウィンダーの声が耳元で響いた。
ムスナーは興奮に目を輝かせ、振り返った。加速する破壊を映し出すかのように、周囲の空間がひび割れた。
「分かっている。」
周囲の空間が歪み、ダムが決壊した川のように流れ始めた。
「世界が崩壊している」ムスナーはかすかな感嘆を込めて言った。
ウィンダーは頷いたが、その目にはまだ混乱は見えなかった。この現実は彼を揺るがさなかった。彼は全知全能であり、遍在であり、全てを元の状態に戻すことができる。
「ああ」ウィンダーは答えた。「だが、念じれば全てを元に戻せる。」
「全能なる者よ、急ぎましょうか?」ムスナーは唇に邪悪な笑みを浮かべながら尋ねた。
「私は弱い神ではないぞ、坊や。」ウィンダーの声は冷たかったが、答えは肯定だった。
ムスナーは笑い、その瞳は純粋な喜びに輝いていた。
「よし、続けよう!」
そして即座に、彼は破壊の波のようにウィンダーへと突進した。彼の刃、イズモは空間を切り裂き、脆い現実の層を引き裂いた。剣から放たれた破壊のエネルギーが爆発し、行く手を阻むもの全てをなぎ倒した。
ウィンダーは立ち止まった。
片手を伸ばしたが、防ぐためではなかった。指を軽く離すと、攻撃は一瞬にして消え去った。
ムスナの攻撃、斬撃に込められた力の全てが、まるで存在しなかったかのように消え去った。
ムスナはよろめいたが、その目は狂気に燃えていた。
「無理だ!」
ムスナは再び突進した。今度はより強く、より獰猛に。しかし、ウィンダーは今回は立ち止まらないと決意した。
彼は手を振り上げた。
二人の周囲の空間が歪み、全てが霞んでしまった。まるで時空がもはや存在しないかのようだった。
ムスナに残されたのは、自らの死か、それとも不死か、あと一瞬だった。
ムスナはまるで時間が止まったかのように、一瞬立ち止まった。イズモの刃は未だウィンダーの体を貫いていたが、血も痛みもなかった。砕け散った空間には、ただ完全な静寂だけが漂っていた。
ウィンダーは刃を見下ろした。その目は依然として穏やかで、変化はなかった。
「私は…何も言うことはない…」疲労も怒りも感じさせず、彼の声が響いた。「もし何か…感動的なことがあれば…」
ムスナーは眉をひそめた。この刃が無敵の存在を貫く、馴染み深い感覚が、彼を困惑させ始めた。
彼は剣を抜こうとしたが、すべてが歪み始めた。周囲の空間が二つに裂かれるように感じられた。すべてが崩れ去り、現実そのものさえも薄い氷の層のように溶け始めていた。
「俺が傷つけられるのは剣だけだとでも思っているのか?」ウィンダーは囁いた。
その言葉が響き渡るや否や、ムスナーは目に見えない力が自分を包み込むのを感じた。現実、時間、空間、彼が破壊したあらゆるものが、彼を襲っていた。
「相変わらず強いな」ムスナーはウィンダーを見つめた。目の前の光景が信じられなかった。
「私は全てだ、ムスナー」ウィンダーは答えた。
「私は全ての始まりであり、終わりだ」
ムスナーは答えることができなかった。そう、彼は自分が勝てないことに気づいた。どんなに強くなり、全能になっても、ウィンダーの前では蟻と何ら変わらない。
「お前は物語を創った。だが、この物語はまだ終わっていない」ウィンダーがそう言うと、まるで宇宙そのものが彼の手の中で崩壊していくかのように、彼らの周囲は宇宙の渦に消えていった。
ムスナーは剣の柄を握りしめた。その目にはもはやいつもの傲慢さや嘲笑はなかった。周囲の空間が、まるで自らの存在を否定するかのように歪んだ。
「ウィンダー、理解しろ…創造と共に存在するものは、破壊なのだ。」
ムスナーはウィンダーに斬りかかったが、それは簡単に防がれた。しかし、まだ終わりではなかった。肋骨へのパンチ、肩へのパンチ。ウィンダーは押し戻された。
「お前が武術を知っていることを忘れていたな。」
「少しは知っている。」
突然、ウィンダーがムスナーの前に現れた。耳を破壊神の腹に強く押し付け、ウィンダーは彼を幾万もの泡の世界へと投げ飛ばした。
ムスナーは足でブレーキをかけ、それから何度もウィンダーに斬りかかった。習慣的に。ウィンダーは手を挙げて防御しようとしたが、神は手を下ろした。いや、正確には、腕を切り落とされた。
イズモは因果を断ち切って奇跡を起こした。それは当然のことだった。破壊とは無限の可能性を秘めたものなのだから。
ムスナーは立ち止まり、それ以上の攻撃を仕掛けなかったが、ウィンダーの体は依然として斬られていた。
「因果を断ち切ったのか?」
ウィンダーはあらゆる手段を試した。
虚無へと変貌してもなお斬られ、
概念として存在してもなお斬られ、
斬撃を別の空間へと移してもなお斬られ、
剣の構造を書き換えてもなお斬られ、抵抗され、斬られ、
剣の概念を操ってもなお斬られ、
無敵の概念を無限に重ね、それぞれの層が前の層よりも無限に強くなってもなお斬られ、
筋書きを書き換えてもなお斬られ、
ムスナーの情報構造を突破しても、なお斬られる。
確率を操作しても、なお斬られる。
現実を操作しても、なお斬られる。
因果関係の外に身を置くことでも、なお斬られる。
破壊神をフォン・ノイマン宇宙構造に閉じ込めても、その構造は破壊され、なお斬られる。
イズモよりも強いクローンを創り出しても、そのクローンは破壊され、斬られる。
アカズハをこの物語から消し去っても、なお斬られる。
何をしても、どんな攻撃をしても。
ウィンダーはなお斬られる。
「前よりもずっと強くなったな。」
「何かを成し遂げるには、もっと強くならなければならない。」
ムスナーはイズモをウィンダーに向ける。
「この泡の海にはもう飽きた。新しい生命構造を創ってやる。」
「馬鹿なことをするな、ムスナー。」
「馬鹿なことなんてない。」
「これで中にいる人たちの生活がよくなる。」
「お前はまだ未熟すぎる。まだ9億歳だ。」
「私はまだ若いかもしれないが、お前よりは理性的だ。」
「あの泡の中にいる者たちが逃げ出して他の泡に危害を加えることは、二度と許さない!」
ムスナーはウィンダーにそれ以上何も言わせない。破壊的な斬撃が放たれ、ウィンダーの首は切り落とされた。
ウィンダーの死は泡の海を崩壊させていた。
破壊神はイズモの剣を元の形に戻し、それを起爆させて新たな宇宙を創造した。
質を超えた宇宙の終焉。




