『一方その頃』狸女、弟弟子を持つ
シェーラ視点です。
「うーん、ちょっと悪い事しちゃいましたかね」
私の名前はシェーラ、この[三日月亭]の主人にして私の敬愛するマイスターの弟子です。
つい先程、ガードンさんが旅人に宿代を奢ってました。
あの人は極度のお人好しで、困っている人が居ると真っ先に駆けつけ助けに入るんです。
いつも半裸な事を除けば、皆が愛するスーパースターのような存在。
そんな彼が連れてきた旅人さん、なんか隠してそうなんですよね……。
別に旅人さんが怪しくて危険な人って言ってる訳じゃないんですけど、警戒しているのか皆に何かを隠している……そんな気がしてなりませんでした。
そんな旅人さんですが、路銀が無いとの事でしたので、私の師匠の所に行かせました。
彼女なら旅人さんが何をしても大丈夫だろうと、そう思って行かせたんです。
決して、面倒事を押し付けたとか、そんな事はありません……えぇ、違いますよ?
しかし、あの師匠はとても意地悪で、気に入った者によく試練を与えるんです。
そう思ったら少し心配してきましたので、様子を見に行ってみました。
「…………師匠、何やってるんですか」
師匠に旅人さんが膝枕されてました。
また何かの薬の効果でしょうか。
その様子ですと……《睡眠薬》とかでしょうか。
本当に気持ち良さそうに寝てますね。
「シェーラ」
「はい」
「この子私の弟子にするから」
「はい?」
…………はい?
何がどうなってそうなりました???
師匠は気まぐれで弟子を取る。
路頭に迷っていた私を弟子に取ったのも、そういった理由でした。
ても師匠は誰でも弟子に取る事はしない。
その者の素質を見極め、鍛えれば伸びると思った者にのみ弟子に取るのです。
「この子から話を根掘り葉掘り聞いたんだけど、結構面白い出自だったよ」
根掘り葉掘り……可哀想に、師匠の魔術で全部出自バレちゃったんですね……。
それなら、旅人さんが隠してそうだった事も知っているのでしょうか。
「何か気になってそうだけど、それはまた後で教える。今はこれを堪能したい」
師匠はそんな事を言いながら、スヤスヤ寝てる旅人さんの頭を撫でる。
完全に猫とかの小動物の扱いじゃないですか。
「という事は……旅人さんが私の弟弟子になるって事ですか?」
「そうなる。これから、この子の修行するから。数ヶ月で基礎は叩き込むつもり」
それ、旅人さんに許可取って無いですよね。
しかも数ヶ月って、それ絶対スパルタコース確定じゃないですか。
………後でお墓でも作っておきましょうか。
「そういえば、旅人さんの名前って何でしたっけ。私聞きそびれちゃって」
「勇輝――――少なくともそう名乗っていたね」
むう……言い方に含みがありますね。
でも、遂に私にも弟弟子か……思えば、もう3年は宿と兼業しつつマイスター師匠の弟子やってますね。
私からも先輩風吹かせるつもりなので、覚悟しておいて下さいね。
別視点とか、一方その頃とかの別のキャラのお話にはタイトルの頭に『』を付ける事にしました。
後、主人公そこ代わって()