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異世界エイリアン  作者: MeはCat
〜第二章〜 自己と夢
37/40

奇妙な現実

「――――――っは?!」


ガタガタと揺れる音が戻ってきた。

何か恐ろしい夢を見た気がするが、上手く思い出せない。

誰かと話していたとだけは、妙に頭にこびりついている。


「あ、起きましたね。もう[イデア]に着いたので降りる準備だけしておいて下さい」


「あ、あぁ…………」


夢なんて久々に見た気がする。

俺の〈寄生〉によって夢のような記憶は度々見てきたが、どれも一貫性があって理解できるしハッキリと覚えている。

だが…………あれは、何なのか理解出来ないし記憶も霧散していく。

あれは何者で、何の会話をしていたのだろうか。

もう、顔すら分からない。

この奇妙な感覚は何度体験しても慣れないものだな。


「…………ん?」


外の景色を見ると更に奇妙な光景が目に入る。

生き物のように動く家具や銅像、人間のように喋る植物――――――おいおい、リンゴ人間が路上ライブかよ!!

ビラ配りしてる電灯頭に、でかいコウモリ?!


そう、本来有り得ない光景がそこにはあった。

もしかしたら、まだ夢の中に居るのかもしれない。


「シェーラ、俺の頬をひぱってくれ。まだ寝ぼけてるかもしれん」


「〈ペインレシーブ〉」


「いたたたたたたたたっ?!」


魔術で痛みを与えろとは言ってねぇよ!!

だが、この痛み――――――現実だ。

本当に現実でこんなおかしな現象が日常に溶け込んでいる…………!!

本当に現実でこんな見たこともない人間が生活を送っているんだ。


「一体どうなってるんだ?!」


まさに奇妙、まさに異質、まさに異世界!!

元居た世界では、どれもこれも有り得ないことばかり。

月の街に居た頃は"異世界に居る"という実感があまり湧いていなかったのかもしれない。

何だ、この面白い世界は…………!!







――――――――――突然、地面に叩き潰された。


「…………何が起こった?!」


「馬車を消しました。「降りる準備だけしておいて下さい」って言ったじゃないですか」


気がつくと、少し拗ねてる様子のシェーラが俺を見下ろしていた。


「事前に降りるって言ってくれよ」


「いや、言ったのに興奮してて聞いてなかったじゃないですか」


「それは…………すまん」


どうやら、景色に夢中になりすぎてたみたいだ。

話を聞き逃すとは…………不覚。


俺が連れてこられた場所は、鉄の格子でできた門の前だった。

その門の向こうは森のようだが、どこかしら違和感がある。

全部の植物が()()()で活力が無い。

本当にここに【魔女会】が居るのか?


「アカツキちゃん、起きて下さい。目的地に着きましたよ~」


俺の相棒のアカツキはシェーラの頭の上でスヤスヤと眠っていた。

なんかアカツキの声が聞こえないと思ったら…………こんな時まで寝てるなんて吞気なやつだよ全く。


じーっ


…………………………。

何故か凄いシェーラからの視線が痛い気がするが、きっと気のせいだな!!


「…………まぁいいです。それじゃ入りますよ」


「入るって言ったって、入口が閉まってるぞ?」


「その入る術があるんです。〈反転:イリュージョン〉」









シェーラがそう唱えると、視界に彩りが宿った。

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