『一方その頃』少女と”お姉さん”のお茶会
少女とおb……お姉さん視点です
ここは【魔女会】の本拠点としている森―――――――別名、[ンガイ]と呼ばれている。
その森の木々の殆どが”人面樹”と呼ばれる魔物だが、これは【魔女会】が管理していて実害が出る事は無い。
むしろ、もし被害が出れば大魔女の鉄槌が下るので下手に逆らえないと人面樹は理解している。
そんな[ンガイ]にて、一人の少女と一人の女性がお茶会を楽しむ様子を、人面樹はただ眺めるのみだった。
「ねぇねぇおばさん」
「”お姉さん”だよ、何度言ったら分かるんだい!!」
「その年齢出お姉さんは無理あると思う」
その女性は体格が大きく、傍から観たら当然老婆と呼ばれて然るべしだが、本人曰く「お姉さん」だと言い張っている。
「………まぁいい、何だい藪から棒に」
「この……人面樹……だっけ? 凄い可愛いよね〜」
その言葉を聞いた人面樹は一瞬まんざらでも無い表情を出すが、直ぐに引っ込めてしまった。
――――――その少女の顔があまりにも獰猛な捕食者の様で恐怖したからである。
「…………確かに鑑賞性は悪くない。しかし――――これは人面樹を飼いたいとのたまった悪友にも言ったがね、正直お茶会の最中にザワザワしてて少し不愉快だよ」
更にそれを聞いた人面樹はピッタリと整列し、微細な音すら出ない様に直立してしまった。
もし、これ以上うるさくしたら不愉快が度を越して自分自身に危害を加えるのではと思ったからである。
「え〜可愛いのに〜」
「アタシは静かな所でお茶会をするのが好きなのさ」
女性は紅茶を1杯啜る。
この少々ズレた会話すら、多くの個性的な人々と対話してきた彼女にとって全く動じるような出来事じゃない。
女性はこの少女が、少しおかしな感性を持ってると薄々気づきつつ、それを頭ごなしに否定する必要もないだろうと、少女の発言を否定しない。
すると、上空から黒い羽根を落としながら1羽の鳩が手紙を加えながら舞い降りた。
「大魔女エキス、あんたに手紙だぜ」
大魔女エキス――――そう呼ばれた女性に一通の手紙が送られる。
「………………………………………………」
「どうだった?」
エキスは、一度読んだ手紙を閉じて机の上に置く。
そして、少し思考した後、もう一度読んでみる。
――――――――それを、繰り返すようになってしまった。
「………………おばさん?」
「あぁ…………うん…………私は夢でも見てるのかしら?」
「ここは夢の街だけどね」
エキスはそう言うと即座に〈テレポート〉を使って、何処かに飛んでいってしまった。
本来なら少女のボケにツッコミを入れる程に冷静沈着だった、あのエキスがだ。
「そんなに驚くなんて……何て書いてあったのかな」
少女は一人困惑していた。
大魔女エキスはマイスターの回想で出てきた【魔女会】からマイスターを追い出した大魔女と同一人物です。




