表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界エイリアン  作者: MeはCat
〜第1章〜 蠢く霧
29/40

一抹の紅

真っ白の世界が広がっている。

〈暗黒世界〉に最早、()はミストただ一つ。

追い詰められたミストは何を思うのか。


「どうした、もう諦めたのか?」


「…………お前のその口調、聞き覚えがある。お前の立ち振る舞い、見覚えがある。お前の雰囲気、感じ覚えがある」


ミストは、静かな怒りを込めて問いかける。


「お前の中に、俺の()()は居るか?」


…………………………。


俺はミストの事を知っている。

ミストの戦術、ミストの人柄、ミストの切り札。


実は、()自身はミストにあまり思い入れは無い。

そして、()()自身はかなり思い入れがある。

更に言えば、()は忌み嫌っている。


そして、ミストが言う人物は――――――――


「あぁ、()()の事だろ?」


「――――――――この、腐れ()()()()()め」


エイリアンね。

仮にも()()だったものに、そんな言い草は無いだろう。

我々にとって、"エイリアン"は他の宇宙人を忌み嫌う蔑称だ。

俺も俺様も私もれっきとした()()だ。

化け物呼ばわりは失礼だろ。


「「久しぶり」と言った方がいいか? ミスト」


「黙れ、お前の穢れた口で兄貴を語るな。それに、他に何人の記憶を吸ったんだ」


ミストは鋭い目を俺様に睨み付けながら、身体から漆黒の剣を形成し剣先を向ける。

俺様も雷の剣を形成し構えを取る。


「もう覚えちゃいない」


「そうか、死ね!!」


そう言ったミストは我を忘れて剣を振るう。

まるで、()()()の稽古のように。

――――あぁ、()()()()な。


「言ったはずだ。「次も()()が勝つさ」とな。その名の通り、今回も俺様が赤星(勝ち)となるのだ」


「ほざけ!!」


剣を振る速度が徐々に上昇していく。

俺様もそれに応じて速度を上げる。

刃が打ち合い、涙とも汗とも分からぬ漆黒の水滴が零れる。


ガンッ!!


ミストの剣が弾かれる。


「ちっ…………!!」


「ミスト、お前腕が鈍ったんじゃねぇのかぁ?」


「………………っ!!」


あの日の情景、あの日の記憶――――――――在りし日の憧れ。


その思い出は一抹の紅に染まるのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ