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異世界エイリアン  作者: MeはCat
〜第1章〜 蠢く霧
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モノクロ

「ぐっ……!!」


紅と黒の衝突の後、周囲に残るのは灰燼だけだった。

ミストは先程の一撃をマトモに喰らって致命傷を負―――――


「リィムさん?!」


「がはっ………!!」


ははっ、やるなミスト。

()()()()だ。

俺もお前も致命傷……いや、()()致命傷だ……そうだろう?


「〈リザレクション〉」


「リィム、大丈夫?」


「無問題!!」


シェーラは傷を負った俺を見越して〈リザレクション〉にて持続的に回復する。

体力回復助かるぜ、何せミストの()()はこれからなんだからよ。


「〈暗黒世界(モノクロ)〉」


空が白に転ずる。

空間が漆黒に包まれる。

世界が白と黒に染まる。


その姿はまさしく暗黒世界、今この瞬間――――――――世界はモノクロと化した。


「――――――出たな、ミストの切り札」


「嘘でしょ、皆真っ黒になってますよ?!」


「真っ黒!!」


俺もシェーラもアカツキも、周りの草木も地面すらも、視認している物体全てが影絵のように黒と白に染まる。


だがな、ただ真っ黒になるだけを俺は()()()とは呼ばない。


「〈テレポート〉」


シェーラが瞬時に〈テレポート〉をする。

嫌な予感がしたからなのだろう、俺達は空中へと瞬時に転移した。


――――――そして、元居た場所にはサンドワームのような魔物が飛び出していた。


「シェーラ、この術の効果範囲は”黒色の物体”全てだ」


「黒色の物体って……え、私達も真っ黒じゃないですか?」


あぁ、その通りだ。

この〈暗黒世界〉の恐ろしさ、それは空間を黒に染め上げ、()()の物体全てを自身の意のままに操る事が出来る。

先程シェーラが言っていた通り自分自身も真っ黒だから、勿論我々自身も効果の対象だ。


もし俺達に〈分散〉を使われれば即座に塵に出来るだろう。


だが黒色の物体全てを操れると言っても、ミスト自身がその物体に触れなければ効果は発動しない。

流石にそういった制約はある。


「…………っ?! 〈アンペアボール〉」


所構わず漆黒のダガーが地面から放たれるが、アカツキが〈アンペアボール〉でそれを撃ち落とす。


………それでもミスト自身は〈分散〉で霧になって、黒色の物体に接触する事で効果範囲を底上げしてるし厄介な事には変わりないんだがな。


「リィム、この術の対処法は?」


「自分自身を()で覆う。奴は触れた黒色を自由自在に操れるが、逆に言ったら操れる範囲は()だけ。白は対象外だ」


この世界で確認出来た白色は〈アンペアボール〉だけ。

〈アンペアボール〉は電気の球体――――つまり、自ら()()してる訳だろ?


なら、白の条件は()って訳だ。


「「「〈エレクトロ〉」」」


これは全身に雷を鎧のように纏う魔術だ。

この魔術を一目見て興奮したのは〈暗黒世界〉に対抗しうる魔術だったからだ。

これで俺達は()に守られていて、更に電気で覆われているから黒い霧に接近される事も無い。


本来この〈暗黒世界〉は日の光が届かない地下空洞や夜にこそ真価を発揮するが、生憎今日の天気は()()であり、最低限の発動条件は満たしていたみたいだ。


「しかし、〈エレクトロ〉の使用中は魔力を徐々に消してしまいます。早期決着しましょう」


「そうだ――――――――――なっ!!」


俺達は空中で地面から弾幕のように発射されるダガーを避けつつ、周辺を見渡しミスト本体を探す。

だが周囲の木々や地面が保護色になっていてミストの姿がはっきりと視認出来ない。


あいつ、魔力切れを狙って耐久戦に持ち込むつもりか?

直ぐに見つけてやるよ!!


「〈アンペアボール〉〈アンペアボール〉――――――」


俺は地面に〈アンペアボール〉を場ばら撒いた。

更に俺はばら撒いた〈アンペアボール〉を()()しながら、更に〈アンペアボール〉をばら撒き続ける。


ビリッ!!


俺が〈アンペアボール〉をばら撒き続けていると、何かに被弾したかのように一箇所だけ電流が迸る音がした。


「そこだ、〈ボルトラッシュ〉!!」


俺はその()()を捉え〈ボルトラッシュ〉を叩き込んだ――――――はずだった。


その人影は霧散し全く手応えは無い。


「げっ?!」


攻撃を予測していたのか、霧散した直後に影で作られたオオカミ型の魔物の攻撃を受け――――――――


「〈テレポート〉」


――――――てしまう直前に〈テレポート〉で元の場所へと戻された。


「畜生、良い作戦だと思ったんだがな……」


「かなりのやり手ですね……あの人影は囮でしたか」


〈アンペアボール〉で地雷原を作り、動きを察知して破裂するよう術式を組んだが、逆にそれを利用されてしまった。

まぁ、見え見えの罠に引っ掛かる訳もないか。


「どうしたリィム、腕が鈍ってきたんじゃないか?」


「そりゃお前が陰湿過ぎるだけ――――――――会話中に攻撃するんじゃねぇ!!」


今、この瞬間にも漆黒のダガーの弾幕は止まらず着実にこっちのスタミナを削っていく。

それに、絶対あのダガーに自分の黒い霧の一部を塗り付けてるに違いない。

もし刺されば即座に〈分散〉が発動し戦闘終了。

ミストの勝ちが確定してしまうだろう。


「リィムは下がっていて下さい。私に考えがあります」


シェーラがそう言うとランプのような物を出現させる。

なんだそんな物があったのか、それなら早く……って、ランプ程度の光で照らすんじゃ、現状を打破する事は出来ないだろ。


「これは《聖光電灯》と言って、本来大型の魔物の目を眩ませたり、邪悪な者を浄化させる効果がある光です。しかし、その光があまりにも強烈過ぎて使い潰してたんですよ〜」


………そんなに、強い光なのか。

確かに現状を打破出来そうだが、眩しくて何も見えないという別の問題が発生しそうだな……。


「はい、リィムさんこれ」


「これは……」


「それじゃ行きますよ〜!!」


「えっちょっ待っ――――――――」


その瞬間、世界は白一色に包まれた。


ミストの切り札〈モノクロ〉

その効果、影のある物体を黒く染め、黒色の物体を自由自在に操作可能とする。

一度効果対象になれば、その物体を変形させる事も、分解して塵にする事も可能。

ただし効果を発動するには接触する必要があり、白色の物体には効果が無い。

黒色の物体になるには影が必要だが、もし影が無くなる=光を当てると白色と化す。 

つまり、対処法は全ての空間を光で包み込むというもの。

そうでなければ、ミストと戦闘する権利すら無いのだ。


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