『一方その頃』全てを深淵の盟主に
「くそっ!!」
俺様は奴の行動に憤慨しつつ、八つ当たりとばかりに周囲の草木を圧縮する。
激怒と憤怒が入り混じった顔で、誰も居なくなった上空へと見あげた。
どうしょうもない馬鹿が裏切った。
あいつは頑なに【宇宙帝国ルルイエ】に加入しなかった。
常に戦況を一方引いた立ち位置で見ていた。
一行に心の内を開けてくれなかった。
何が傭兵だ、最初から仲間じゃねぇって訳か。
「僕様はいつかはやると思ってたよ。あいつ、他の宇宙人と比べても”異質”過ぎるんたよね」
金を稼ぎたいくせに昇進には拘らず、決して”傭兵”という立場を崩す事は無い。
全宇宙の中でも上位の種族なくせに矢面に立たず、決して強さを見せようとはしない。
時には真面目な性格を見せるくせに勤勉にあらず、印象が不定形で定まらない。
故に、何を考えているのか全く掴めない。
「それで、作戦の方はとうするの?」
「……このまま我々二人で続行する」
「中々に無茶言ってくれるよ。相手はあの厄介なリィムと、そのバックには[ラナ]の連中が付いてる。それに対して隊員二人と改造した魔物達で奴らを殲滅出来るとは、到底思えないね」
その意見はもっともだ。
我々には戦力が足りない。
本来なら他の隊員からの救援派遣をするのがベターだが、それは戦力が整っている時に行うべき事だ。
ここは異世界だぞ、あの狐を見つけなければ我々は救援を呼ぶ事さえ叶わない。
少数精鋭で本丸を叩くべきだろう。
「我々はこの魔物共を連れて[ラナ]を襲撃、混乱に乗じて【夜犬教会】に侵入し神権を奪取する」
神権――――――それこそが、我々の目的だ。
あれさえ手中に収めれば、ここ[ラナ]は陥落する。
その後でじっくりと、あの馬鹿を始末すればいい。
「でも驚いたよ。アレだけ人々に慕われてる神獣が――――まさか、既に死んでるなんて」
「それ故に、この世界は狂ってる」
異世界は既に狂っていた。
まるで管理者が居なくなったサーバーに異常事態が多発しているかのようであり、まるでバグとエラーが大量発生しているようである。
ならば、我々【宇宙帝国ルルイエ】が管理者となろう。
神権を奪取し、異常を修正し、異世界を支配する。
「全てを深淵の盟主に」
文章量は少ないけど、情報量は多い話
「全てを深淵の盟主に」
この台詞言わせたいがために忠誠心激重にしました




