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異世界エイリアン  作者: MeはCat
〜第1章〜 蠢く霧
14/40

紅月

ピキッ


「…………お?」


先程、俺の幻聴でなければヒビ割れのような音が聞こえたような気がする。

この長く辛い修行も、あと少しで終わりを迎えるのか。

あれから魔力も鍛えられて、今では一度に3分も注げるようになったんだぞ!!


………少なくとも30秒よりはマシだよな。


ピキッピキッ


「さーて、どんな妖精なんだろうな。こう……小生物の卵が生まれる瞬間って少しもどかしい気持ちになるんだよな〜」


ピキッピキッピキッ


確か勇輝の記憶だと……虫の羽が生えてる小人のイメージだったよな。

大丈夫かな、ちゃんと育てられるかな……流石に育児放棄するのは駄目だよなぁ……。


宇宙人の中には、育児放棄する種族とかも居るけど、マジで気持ち分かんねぇよな。

子供でもペットでも、育てるって決めたんなら責任持って育てるべきだろ!!


ピキッピキッピキッピキッ


そんな事言ってる間に、真紅の水晶を見てみればもう砕ける寸前の所まで来ていた。

まるで雛鳥が頑張って卵の殻を破るかのように、その封印を徐々に解かれていく。


ピキッピキッピキッピキッピキッ――――――


「おぉ……おぉ……!!」


その妖精を一言で表すなら”紅い月”だろうか。

全身を赤を基調とした色の姿となって居るが、想像していたよりも身体が透き通っている。


「…………あれ、どこ?」


その妖精が頑張って登場したかと思えば、今度は困惑するように辺りをキョロキョロと見回す。

まるで親を探す赤子のように。


「あ、もしかして〈寄生〉解かないと分からねぇか」


俺は〈寄生〉を解いてぬいぐるみから出る。

師匠や兄弟子には魔物だの何だの散々言われていたが、この妖精なら俺を人間だと認識してくれる――――よな?


「誰?! …………主様?」


妖精は少し驚いたかと思えば、俺の身体を一周して見回し首を傾げている。


「あぁ、そうなるな。俺が魔力与えたし」


「何この声?! 誰?!」


「あ〜俺だよ俺」


その様子だと、妖精は会話するだけの知能はあるが、普通は人間と会話とかするような小生物じゃないって事か。

俺が話通じてるのは《言語モジュール》のお陰だからな、もうこれ無しじゃ生活出来ないかもしれん。

だが、もしここに移住するならこの世界の言語を覚えるというのもまた一興かもしれないな。


「俺はリィムって言うんだ。宜しく」


「えっと、えっと……宜しく?」


妖精はイマイチ状況を理解出来てないのか、どう接すれば良いのか分からないようにモジモジしてる。


「お前、名前とかあるのか?」


「名前? なにそれ」


名前の文化すら無いのか……それとも、封印が長すぎて何もかも忘れてしまったのか……。


「他の奴は、自分の名前によって誰が誰だか分かるようにしてるんだ。例えば、お前と似た奴がもう一人居たら誰がお前自身かって分からないだろ?」


「確かに……?」


「名前が無いなら俺が付けてやるよ。そうだな、紅い月、紅  月――――――アカツキ。よし、お前の名前はアカツキだ」


「アカツキ、アカツキ!!」


アカツキ――――そのまま紅い月って意味だが、こういうのは単純明快の方が良いんだよ。

変なキラキラネームは子供に悪影響しか与えないって何かの資料で見たし。

それに、紅月(コウゲツ)より紅月(アカツキ)の方が語呂が良い。


「アカツキ、早速だが少し散歩しようぜ」


「………うん!!」


触媒の確保と魔力の鍛錬はこれにて終了したが、師匠が帰って来るまで雑談してる訳にもいかない。

この際だから、この〈トゥルーハウス〉から何かしらの魔術に関するヒントでも無いか探してみる事にした。

言ってしまえば暇つぶしだが、何もしないよりマシだろう。


「ここは本当に扉だらけだな……」


この前の経験では、新月から満月の扉を全て順番に開ける事で〈トゥルーハウス〉から解放されるみたいだった。

すぐに脱出しても良いが、ここで少し調べたい事がある。

これらの扉を開いたら絶壁だけがある――――――という訳ではない。


実の所、扉の先には小部屋があった。


その部屋に何かしらのヒントがあるんじゃないかと俺は探っている訳だ。


「ここは……書斎か?」


全ての棚にしっかりと本が敷き詰められていて、読み物が好きな奴は歓喜し嫌いな奴は苦い顔をする事だろう。

ちなみに俺は前者だ。


「ここに魔術に関する本があれば良いが……」


しかし、本なんて情報媒体久々に見るな。

宇宙ではデータ上の情報媒体で資料などを確認するから、本が見れるのは文明が発展しきってない惑星に侵攻した時だけだった。

とは言っても、どの世界にも物好きは居るもので、本は高値で売買される事もしばしばある。

レトロなゲームがやけに値段が高いのと同じ理屈だ。


「へぇ……面白い事が書いてあるな」


魔術は術式(スキル)を声に出す――――要するに詠唱(スペル)で発動出来るが、今は専ら時短詠唱(クイックスペル)で即座に発動するものが主流だと書いてある。

達人レベルになると無詠唱(ヌルスペル)でも発動出来るが、出力と操作性が低下する……との事。

追加詠唱(アッドスペル)完全詠唱(フルスペル)なんて物もあるが、今はあんま気にしなくていいか。


纏めると――――――


詠唱は長い台詞をダラダラ言ってやっと発動出来るもの。

時短詠唱は単語一つで発動出来るように改良したもの。

無詠唱は何も言わなくても発動出来るが扱いが難しいもの。


戦闘を考慮すると、まずは時短詠唱を目指す方針の方が良さそうだな。


「ねーねーこれ何て書いてあるの?」


「何か面白い本でも見つけたのか? ………雷魔術、中々に格好良さそうな魔術じゃないか」


雷を生み出せたり操れるようになるのはロマンがあるな。

怒った師匠が俺にぶつけてきた魔術も電気の塊みたいだったよな――――――


俺は雷魔術を詳しく読もうと本を手に取――――――


ドンッ!!!


突如として、大きな衝突音が響き渡った。

一体何が起きたのか辺りを警戒していると、この部屋に()()()が入り込んで来た。


黒い霧……?!


「よう、()()()()だな。リィム」


――――――特定が早すぎる!!


その者は俺の()同僚であり、傭兵だった俺とは違って正式に軍隊に入った男――――――【宇宙帝国ルルイエ】の先遣隊の隊員、ミストであった。

黒い霧の正体はまさかの宇宙人?!

ここから物語が展開されていく……予定です!!

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