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異世界エイリアン  作者: MeはCat
〜第1章〜 蠢く霧
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水晶の修行

「ごめん、準備に時間かかった……どうしたの?」


「シェーラから爆速で八割以上的あての修行があるって聞いたんだが」


「シェーラ、流石に嘘は良くない」


「えへへ……申し訳ないです」


なんだ、脅かしただけか。

そうだよな、流石にいきなりゲキムズ修行する訳無いよな。

全くシェーラも悪い女だ、こっちは素人だってのに嘘か本当かなんて見抜けないっての。


「正確には亜音速で八割的あてだよ。情報は正確に伝えないと誤解されてしまう」


「ん??????」


亜音速……?

爆速なんて比じゃないくらいの速度じゃないかそれ。

もっとこう……せめて戦車並の速度だと思ってたけど……もしかして、師匠も師匠で冗談言ってるな?


「これから修行を始める。とは言っても、実践は明日からで、今日は座学オンリーになるけど」


え……あの話終了?

そんな、誰か嘘だって言ってくれよ。

俺近い未来亜音速で的あてさせられるの?


………よし、一旦この話忘れとこ。


「まず魔術を使う為には、触媒、魔力、術式が必要になる」


「魔力以外分かんないです先生」


「大丈夫、順番に説明していく。まず触媒だが、例えるなら君の世界での()が最も近い。銃弾は銃が無ければ飛ばせないのと同じように、魔術も触媒が無ければ使えない」


その例え話は分かりやすいな。

つまり、触媒は魔術を起動する為の発射装置って訳だ。

銃弾、砲弾、矢――――――どんな飛び道具も、銃、大砲、弓が無いとただの弾でしかない。


「触媒となる物は何でも良いんですけど、一番広く使われてるのは杖ですね。リィムさんは持てないでしょうけど」


「持てない? あ、ぬいぐるみだからか」


俺の手に指は無く、その形状から常に拳を突き出してるようにも見える。

それ故に杖を持つ事は出来ないという事だろう。


「そんなリィムの為に私からのプレゼント。はいこれ」


師匠の手に持っていたのは、ボールのような大きさの真紅の水晶玉だった。

もしかして、これを触媒として戦うのか?

見た所、杖よりも使いづらそうだが。


「この水晶はね、実は()()が封じられてる。今はまだ意識が薄いけど、魔力を流し込む事で徐々に意識を取り戻していって、流し込まれた者を主と認める」


「妖精……って生きてるよな。触媒になるのか?」


「魔力が籠もってたら何でも良い。けど、生きてる者を触媒にすると、その妖精の魔力も頂戴するから魔力管理は必要。その代わり操作しやすいし分割して消費するから本人の負担も少ない」


だから初心者用に妖精って訳か。

確かに妖精ってのは浮く小生物らしいから、戦闘の邪魔にもなりづらい。

だが、勇輝との記憶の共有のせいで「倫理観的に大丈夫か」と思ってしまう自分が居る。

まぁどちらにせよ、俺は使える物は何でも使う派だから結局これにするけどな。


「最初の修行は魔力をこの水晶に流し込み続ける事。術式はこの修行が終わってからのお話」


水晶に魔力を流すったって一体どうやるんだ?

こう…………魔力よ入れ〜ってイメージする感―――――――――うおっと?!


突如、俺の中から()()が抜け出るような感覚がした。

もしかして、これが魔力か?


「感覚を忘れない内にもう一度!!」


「はっ……!!」


全身に血流が流れるように、魔力が全身に流れるような感覚を覚える。

腕に力を込め、流れる魔力を放出するように吐き出す。

これだ、この感覚のまま維持するんだ。


「………………なんか、小便してるみてぇだな」


「例えが汚いですよ」


「まだまだ余裕があるようだから強制的に出力を上げる魔術を――――――」


「いや、ごめん!! これ思ったよりキツイ!!」


魔力を放出し続けるのは思ったより身体に負荷がかかり、全身に重みが乗せられてるかのような感覚を感じる。

例えるなら、息を吐き出した最初は大丈夫だが、吐き出し続けるのには限界があるかのような感じだろう。


「はぁ…………はぁ…………はぁ…………何だこれ、キッツ……」


限界に達した俺は全力疾走した後のように息が上がっており、どっと疲労感が押し寄せて来た。

しかし、それでも妖精の意識が戻るようには思えず、まだ何も起こっていない。

精々少し揺れたのみだった。


「これだけやって、まだ起きねぇのか」


「最初にしては中々筋がある。だけど、まだまだ必要魔力には達してない。少し休憩して、流し込んで、また少し休憩するを繰り返す」


なるほど、これは中々にハードな修行だな。

これは、魔力を放出する時の負荷に耐える修行だ。

言い換えれば持久力を付ける修行と言っても良い。

魔術を使ってすぐバテる様では「攻撃して下さい」と言ってるようなものだからな。

そして、この修行が終わる頃には触媒となる妖精が目覚め、持久力が付いてる状態で次に進めるという訳だ。


「上等だ。意地でも目覚めさせてやる」


それを見たシェーラは後方腕組み兄弟子面でウンウンと頷きながら、役目は終了したと宿に戻ろうとする。


「それじゃあ、私は戻りますね。たまに茶菓子でも持って来ますので、頑張って下さいね〜」


「シェーラ、招集がかかった」


「え゛っ」


………招集?

何の話――――――うごごごごご、魔力が吸われる………!!


「バックレる事は許さない」


「そんな〜」


一体何の話か分からないが、どうやら二人はこの後用事があるらしい。

俺はこの修行に集中しなきゃいけないから、ここで1人寂しく魔力注ぎ続けるがな。


「じゃ私とシェーラは出かけるから、リィムもサボらないでね。サボったらお菓子抜きだから」


「分かってるって」


とりあえず、俺の目標タイムを決めよう。

まず30秒耐えてみよう。

更新したらそこに10秒間伸ばす感じで――――――――

これより主人公は修行タイムに入ります。

一方でマイスターが招集を受けたようで……?

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