ダンジョンの主とそういえば
作者の百合成分は補充されました。(月末に楽しみにしてた新刊多かったので更新遅れました)
緑髪の方の話によれば私は昨日ギルドから頼まれる形でクエストを受けたとのこと。確かにこれまでそういったクエストは受けてきたので疑問はない。
それで夜間の見回りを私たちのパーティーでしていたらしいのだが、強盗を見つけて私だけが単独で追いかけたらしい。その時にカラットが「ロサちゃんの足が速すぎてもはや風でしたねー」とか。
その後私を追いかけた彼女たちによって私が倒れているところ発見されたらしい。
その後私の家まで赤髪の方が私を背負ってくれたらしい。
となると記憶喪失の原因になりそうなことはその強盗に聞くしかないか。
「外傷はなかったように見えたけどやっぱりどこか悪かったりする?今日のところは探索休む?」
「ごめんなさい……ではお願いします」
手がかりはつかめた。カラットも私の倒れた場所は把握しているだろうし、彼女に案内してもらえればいいだろう。先程頼ってほしいと言われたから存分に頼らせてもらおう。
「ではこれで、またお願いしますね」
「あ、うん、また明日」
また明日か……あの人たちも私の記憶の中でしか存在を確認できてない彼らと同じくらい善良な人たちなんだろう。つくづく自分は運に恵まれているなと思う。
ギルドを出た後私はカラットに倒れていた場所の案内を頼んだ。
「ロサちゃん、多分バレてたと思いますよ。記憶喪失とはいかなくても昨日のせいで厄介な状態になってるくらいは」
「え、そうですか?私の体調を心配してるなとは思いましたけど昨日倒れた後なら普通の対応では?」
「だってロサちゃん会話中ずっとレードちゃんもミードちゃんのことも一度も名前で呼ばなかったじゃないですか。めちゃくちゃ不信に思われてましたよ?」
「それは……そうですね。私はどっちがミードさんでどっちがレードさんかわからなかったので……」
「そうですか。でも私何度か二人のことを名指ししてたと思うんですけど?」
「ごめんなさい。私人の顔と名前一致させるの苦手で……」
私にとって人の顔と名前を一致させるのはとても難しいことだ。毎日顔を合わせて一週間くらいでようやくといった感じだ。
「あれ、でも私の名前とか今もこうして呼んでますけど。覚えてくれたんですか?」
そういえばカラットのことについてはすぐに名前と顔を覚えられた気がする。パーティーメンバーとかなら無理に覚えようとして心の中でも何度も何度も呼んでその人たちのことを覚えようとするだろう。だけどカラットの場合は義務感というより彼女の名前と顔を、その一挙手一投足すらも記憶に残しておきたいと思えた。
その理由はなんだろうか……。
「えっと……多分カラットさんが美人だから……」
おそらく、いやきっと私は彼女に惹かれたのだ。一目惚れというやつだろう。
「え、あ、そうでしたか。そうだ!現場に行くんですよね」
カラットは駆けだしていってしまった。いきなりただのパーティーメンバーに好きと言われて気まずい雰囲気にしてしまった。過去の私は彼女にどんな感情を持っていたのだろうか……好きだったのかそうではないのか。
自分自身に問うてもその答えは返ってこない。




