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幕間4

最近ずっと怒ってる気がする。

原因はわかってるあの女だ。

リーフ・ミード、緑色を基調とした鎧を着て長い髪を後ろで一つに結んだ真面目そうな女、パーティーメンバーが全滅したところをたまたま私たちが救出してそのまま私たちの仲間になったあの女。


私が何かするたびにミスを指摘してきて煩わしい。確かに実力はあるのかもしれない、けど毎回毎回私にお小言を言ってきて私の指揮が下がっているから差し引きで考えると損であると思う。


とりあえず最後にあの女嫌いだ!ふう、すっきりした。最近はずっと私の家にあの女が入り浸ってるせいでこういった鬱憤が溜まりやすい。まあ、家事は半分になったから楽にはなったしご飯はおいしいけど……


そろそろいつもの二人について振り返ろう。

といっても関係者の一人であった私はその日の記憶は朧気なのが情けないことだけど。

だけどまあ、こうして記録していればぼんやりと何か思い出すかもしれない。


今回の事件……パーティー崩壊の危機だったから事件と称していいだろう。

一応ロサから当時何を考えてあんなことを起こしたのか聞けて良かった。本人はすごく事実を淡々と述べていたがことの重大さに気づいていなかったのだろうか?


……うん多分、ロサは気づいていないんだろうな。うちのパーティーのリーダーは冷静沈着のようで案外抜けている。酒場でじゃがバターを食べている時なんかは顕著だ。カラットが頭を撫でたりカラットが何度もかわいいと言ったりしても一切聞こえていないのか黙々と食事を続ける。

普段の彼女なら撫でているカラットの手を捻じってきたり、かわいいと言うものなら何か残念なものを見るような悲しい目をカラットに向けたりしている。


それはさておき振り返りに戻ろう。切っ掛けは特になかったはずだ。いつも通りダンジョンに行っていつも通り酒場で3人でご飯を食べていた。お酒が入っていなかったしここまでは私もしっかり覚えてる。


そんな中カラットが自分はロサに愛されていると言ったらしい。だからロサはカラットを殺そうとした。

うん、書きながら思ったけど意味がわからないなこれ。


ロサ曰くカラットを殺すにはプラスの感情の中でも最上の感情である愛を持てばいいと前々から思っていたらしい。理屈は納得できるけど理解はできない。

確かに呪いを強化する方法の一つとして絶対に試せない方法を抜け穴にするというものがある。呪いをかけた術者がそう設定しててもおかしくはないだろうけど。なんで自分はカラットを愛してるんだ、って思ったら即殺しにいけるの?


だけどカラットには傷一つつけられなかったらしい。

まあ傍目から見たら、あの時のロサがカラットに抱いていた感情って愛は愛でも愛玩。ペットに向ける感情とそう違いはないだろう。だから愛と言ってもなんか違う気はする。


それと、全部思い出せた。例えペットと同じような感情であってもそれが愛情であることには変わらないはずだ。なのに躊躇のなくカラットを殺そうとしたロサが私は怖かったんだ。だからあの夜逃げ出した。


そう逃げ出した。怒りという虚勢で自分を偽り他人のせいににしたんだ私。

……自己嫌悪は一旦置いておいて、そうして私はカラットを家に連れ込んだ。


慰めるつもりだったとはいえ何であんなこと言っちゃったんだろう。カラットにロサを好きでいるのをやめて他の人を探すべきなんて。どうせなら私がその人になるって言えればよかった。

私カラットに好きになってほしいなんてまるで私がカラットのこと好きみたい……


なんか顔が無性に熱くなってきた。え、あれ。私カラットのこと好き、なの?


______________________________________________

「え、何かしらこれ」

レードの家で厄介になってるのでベッドの下を掃除していたら紙束を発見した。

どうして心の声らしきものまで書き起こしているのかは不明だがパーティーのことをよく知るためにざっくりと読んだところよく分からない点が幾つかあった。


「不変の呪いってなんのことかしら」

カラットさんに呪いがかかっているようには見えない。だけどこの記録を読む限りロサさんが何かしらの感情を持てば傷つけ殺せるらしい。こう何度も書いているあたり、レードの妄想の類とかではなく真実なのだろう。新参者の私にはできることはなさそうだし次だ。


「あいつカラットさんのことが好きなのね……美人だから好きになるってのも分からなくはないけど、同棲してる私がいるのに他の女性に現を抜かすなんておかしくないかしら?」

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