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ダンジョンの主と帰り道

二人をレードの部屋に運び込んだあと私たちは帰路についていた。

「レードさんの家って結構近かったね」

「そうですね、わたしたちの家から歩いて10分くらいの距離でしたねー」

彼女の家は私の家とは違ってちゃんと物があった。というか私は他人の家に行ったのおは初めてだな。普通の家ってあんな感じなのか。


「ちゃんと家具とか買った方がいいのかな……」

「ロサちゃんお買い物の予定ですか?」

「そうだね、カラットさんは……」

「カラットです。私はそうお願い、しましたよね?」

「そうだった。カラットは家具増やした方がいいと思う?」

部屋にある家具と言えば備え付けのタンスと二人が寝てもちょっと大きいと感じるくらい謎に大きいベッド、それとパンとかを床に置かないためにあるテーブルと……そんなところだろうか。


「私としては衣服をしまうタンスと食べるスペースと寝る場所としてベッドがあるし問題ないと思ってたんだけどレードさんの家にはそれ以外にも色々あったでしょ?カラットのためにも色々増やした方がいい気がして」

「やっぱり我が家には物が少なすぎますよね!?わたし昨日まではロサちゃん以外のお宅知らなかったんですけど昨晩レードちゃんの家に泊まった時ちょっと考えちゃいましたもん!」

「じゃあ今度の休みのとき……三日後ぐらいに色々見て回ろっか」

「それってデートのお誘いですか?」

「デ、デート?」

普段耳にしない単語なだけに何とかその言葉を耳にしたときのことを思い出す。


「えーっと魅力的な女性に対してセックスを前提として食事に誘うことだっけ?」

「違いますよ!?なんですかその偏見に満ちた極大解釈!?」

「え、だって私が見たときに使われたのはそんな時だし、もともとの意味なんて知らないし……」

「誰ですかそんな不健全な意味として使いまわしロサちゃんのかわいいお耳に入れたのは!」

「もう死んだはずのパーティーメンバーだけど」

ちょっと懐かしく思う。もう顔もロクに思い出せないが決して悪い人たちではなかったから。来世の幸福を祈ってもいいかもしれない。


「くっならもう殺せませんね……」

「ダメだよカラット。人殺しは絶対ダメ」

「わかってますって。冗談じゃないですかー、かわいい顔が怖くなってて台無しですよー?」

「かわいい……って私が?」

私なんかをかわいいってカラットのきれいな目は何を映しているのだろうか?

「自覚なかったんですか?ロサちゃんはかわいいんですよ?」

だが彼女はそんな嘘をつくとは思えない。


「あ、その顔は信じてないって顔ですねーあとで二人に聞いてみましょうか?」

「そっかそうすればいいのか」

三人とも私にそんなくだらない嘘をつくとは思わないしそれでいっか。


「ただいまー!一日開けてただけなのになんかすごい久しぶりな気がします!」

「そうだね……なんか長い一日だった……」

「ロサちゃんおねむですか?」

「何その言い方……眠くはあるけど」

「緊張が解けたんですね。もう寝ちゃいましょっか」

実際そうなのだろう。あまり褒められたものでもないが私はベッドに倒れこむ。


「服にシワが着いちゃいますし、脱がしちゃいますね」

「うん……わかった」

理解はしているが体がとても気怠い。頭では理解してても体が実行するには間ができてしまう。


「じゃあバンザーイってしてください」

「ばんざーいって何?」

「ああ、伝わらないですよね。語源は聞いた気がしますが覚えてないですね……まあとりあえず両手を目いっぱい上げてください。こういう感じで」

カラットがマヌケな感じで両手を上げる。とりあえず私もそれに倣って両手を上げる。するとカラットは上半身の服を脱がす。


「じゃあ次は下を脱がしますねー」

「え、やだ……」

「シワになっちゃいますからねー脱いじゃいましょう」

「寒いからやだ」

「わたしが温めてあげますからね。ぎゅー!」

カラットの体温は私と比べ高いらしい。冷えた体が温められて心地よい。人肌がこれほど気持ちいいのは始めて知った。ふと彼女の顔を覗き込む。


「カラットは私で寒くならない?」

「全然寒くないから大丈夫ですよ」

「人肌の心地よさを教えてもらったし共有したかったんだけど……」

「え?ああ!そういうことですか!体温はちゃんと伝わってますし気持ちいいいですよ!」

「慌ててる……何か後ろめたいことがあるから?」

カラットは少し悩んだあととても落ち着いた声を出す。


「ない、とは言えませんね。私はあなたに隠し事がありますから」

「それは……教えてくれないの?」

「はい。あなただけでなくこの世界の誰にも教えることが出来ません。そんな終わった話は置いておいて、寝ちゃいましょっか」

彼女は慣れた手つきで私に寝巻を着せてくれる。


「いつか教えてね……」

私は瞼を閉じる。数瞬の後に私は眠りに落ちた。

「はい、いつか。おやすみなさい」

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