ダンジョンの主とクエスト報告
私はカラットたちと合流した後も少し見回ったが特に問題を起こしている探索者は見かけることが出来なかったのでクエスト終了の報告をしにギルドに戻ったところ受けつけは今朝対応してくれた人パルラさん…?と同じようだ。
「今日のクエスト終了を報告に来ました」
「あ、お疲れ様ですロサさん。報告の方はローザさんからも聞いているので大丈夫ですよ」
「そうなんですね。流石姐様手早いです」
「あはは……ロサさんのローザさんに対する尊敬は相変わらずですね、明日以降も参加なされるなら今まとめて手続きなさいますか?」
今までの私だったならこれ幸いと手続きしたのだが今の私はパーティーがいるため彼女たちの判断も仰ぐ必要がある。
「二人とも明日も参加ということでいいですか?」
「え。休まないの?」
レードが驚いた表情で言った
「休、む……?」
まだ私たちがパーティーを組んで10日程度しかたっていない、休む必要はまだなさそうだが。
「いやいや。10日近く毎日働くのはさすがに体がもたないって!カラットもそう思うでしょ」
「ええと……そうですね。普通10日も連続で戦闘をしたり動きまわったりするのは疲れがたまるものなんじゃないでしょうか?」
「カラットは疲れてないの?」
「わたしは……ほらアレなので疲労も溜まりませんし、戦闘自体も別に緊張感もってるわけでもないので精神的な疲労もそれほど……」
「このバケモノめ!」
レードが地団太を踏みながら感情を吐き捨てるように叫んだ。それとカラットの呪いは不変と聞いて傷つかないだけかと思ったが疲労もしないのは困っている彼女には申し訳ないけどちょっといいな
「えっとそれでどうなさいます?」
「私はちょっと遠慮したいわ」
「わたしに疲れはないですけどレードちゃんに賛成ですね」
「とのことなので明日は休みにしますね」
「わかりました。あ、ロサさん」
「?なんでしょうか」
「これだけは伝えたいんですけどロサさんがクエストに参加しなくなってから問題を起こす探索者の方が上昇傾向にありまして、今回だけでなくクエストに定期的に参加していただけませんかね?」
誇張だろうがおそらくクエストの経験が長い人間が多い方がいいというギルド側の考えなのだろう、私はカラットを殺したらクエストメインに戻るつもりであったし頼まれなくてもそのつもりだ
「私一人減ったところでそんな大きく変わることはないと思いますけど、いつかはクエスト中心の活動に戻りますよ」
「いつでもお待ちしてますね!」
そうして私たちの今日のクエストは終わった
パーティーメンバー全員の意見が一致する方が望ましいが一人でも休みを希望した方がいいなら休んだ方がいいそれが安全に探索者を続けるコツらしい、昔臨時パーティーを組んだ探索者にいわれた言葉を思い出してよかった。
以外なことで一日休むことになってしまった
休み……休みかレードさんにはしっかり休んで探索を頑張ってほしいし、仕事仲間と過ごすのは楽しめないだろう。何をしようか
「ロサちょっといいかしら」
「なんですか?休みたいと言ったことには何とも思ってませんし、明日会いたくないとかならわかっていますよ?」
「違うわよ。え、もしかして怒ってた?」
「いえ?別に怒ってませんけど」
「ならいいんだけど。それより明日一緒に服を買いに行かない?」
意外な要望だ。私みたいな人間と休日も過ごしたいとは
「服ですか?いえ別に、手持ちの服は傷んだとかありませんし、しっかり服として機能するものが十分な数揃えてますよ。私を誘うよりカラットさんのほうがいろんな服が似合っていいんじゃないですか?」
「ええ、そっちは大丈夫。カラット来るわよね?」
「えっと……ええまぁ」
「なら二人で行けばよろしいのでは?」
装備を買いにいくなら私もわかるが服についてはさっぱりなのだが……
「あなたとロサの服を買いに行くのに二人ともいた方がいいでしょ?」
「……はい?」
私の服……?さっきも言ったとおり着れる服は十分にあるのだが……
「じゃあ明日の集合場所は、あなたたちの家かギルドの前どっちがいいかしら?」
いつの間にか決定事項になってる……、いやまあ、やることもなかったし問題ないのだが
「えっとじゃあギルドの前で……」
「提案しといてなんだったけどあなたたちの家の前じゃなくてよかったの?」
そういえばそうだ私の部屋まで来てもらった方が楽なのにどうしてだろう
「ええ、大丈夫です」
「じゃあまた明日!」
そういってレードは帰っていった
あれ、明日のいつ頃に行けばいいのだろうか。いつも集合するくらいでいいんだよね?もしかしたらカラットは聞いていたりするのだろうか
「カラットさん明日っていつギルド前にいけばいいか知ってる?」
「え?わからないです」
「え……どうしよっか、普段と同じくらいに行けばいいかな?」
「それでいいと思いますよ」
さっきはレードの勢いに流されてしまった疑問を思い出す
「というかカラットさんって服に興味あったんだね」
「ええまあ。人並にはあるつもりですよ」
「私には教えてくれなかったのはなんで?」
「レードちゃんとの雑談の流れで服の話になっただけですし、あくまで人並みですし特別話すことでもありませんでしたし……」
「そうなんだ」
「えっと怒ってます?」
「いや別に?」
私ってそんなに怒ってるように見えるのだろうか……表情の練習するべきと思い顔を触ってみて笑顔を作ってみる、うまくできているだろうか
「そんなことより、そろそろ帰りましょっか」
「うんそうだね」
笑顔を作ってからカラットの方を向いてみる、カラットの反応でできているか確かめてみよう
「う˝っ」
カラットが膝から崩れ落ちた。過呼吸を起こしてる
「えっ、カラット大丈夫!?」
「っは、はい大丈夫です。ちょっと一瞬前後不覚になって現実である感覚がなくなっただけですから」
「だいぶ大丈夫じゃないけど!?」
「ロサちゃん……絶対その笑顔を他の人に見せないでください。死人が出ます。特にあの受付嬢には絶対に見せないでください」
そんなに不気味な顔になっていたのだろうか……カラットさんの言う通りならは死人は言い過ぎでも人を不快にさせるならやめとこう
「わかった、今後一切カラットさんの前でも笑顔を作ることはないようにするね」
「え……」
カラットがわかりやすいくらいに絶望した表情を見せた。何か間違ったことを言っただろうか?
「いえーあのー、たまには私にだけは見せていただいてもかまいませんよ?」
「いや気を使わなくていいよ私の笑顔が醜いけど人間笑った方がいいから気を使ってるんだよね」
「違いますけど!?ロサちゃんの笑顔がかわいすぎるから人前に見せると死人が出るって話なんですけど!」
「えっえ?」
「いいですか、ロサちゃんはものすごくかわいい顔なんですよ?だけど表情が乏しいそんな彼女が作り笑顔でも笑顔を見せてくれたんですよ、一般的には死人が出るものなんです。醜いなんてとんでもないそんなこと言うやつはダンジョンの奥底に叩き落してやりますよ!」
「うん……わかったからもう一旦やめて恥ずかしい」
「はぁはぁ……わかりましたか?」
「わかった、わかったからもう帰るよ」




