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ダンジョンの主とクエスト

大半のクエストを行う理由は街のためだと誰かが昔言っていた。誰かがやらなければいけないことは数多くあるがその中でも誰にでもできることほど後回しにされると。

何が言いたいのかといえば他の街がどうかは知らないがこの街ではクエストといえば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのである。ダンジョンの産物が都市の重要な資源の都合この街には腕っぷし一本で成り上がろうとするものも多い、全員が全員当てはまるものでもないが素行が悪い人間もちらほらいるのだ。度が過ぎる人間は牢獄に入れたらいいと思われるかもしれないが、そういった連中の大半は金使いが荒く街の経済がよく回る一因でもあるのだ。街としては素行さえよくなればいいわけで治安維持のために探索者同士で監視させる意味合いもこめてクエストが出されているのだ


「でもそれって結局ダンジョンでも比較的深い方に潜れるほどの探索者がパーティーを組んだのなら好き放題できることにならない?クエストを受注するような低層に潜れる実力しかない探索者たちが束になっても勝てないんじゃ?」

「大丈夫だと思いますよ」

「どうして?」

「度がすぎると軍がやってきて討伐隊を組まれますからね」

「あはは、なんかおそろしいね……」

「そもそもそんな馬鹿なことをするパーティーを一度も見たことがないので想像でしか語れませんけどね」

「それもそうだね。それじゃ、気楽にいこっ」

そういうとレードは猫のように体を大きく伸ばしたのでどうやらずいぶんリラックスしているようだ

「それに、二人とも本調子に戻ったみたいでよかったです」

 

現在私たちは集まった人員を二手に分けて見回りをしている最中だ


「あの人がいない方のグループで助かった……あの手の人の空気苦手ぇ……」

「そうですよね、わたしも苦手です……」

「姐様をそんなに苦手になる要素あります?」

「あるに決まってるでしょ!大きな声とか鍛え抜かれてそうな筋肉とかカラットと同じくらい大きい身長とか血で染められたのかな?って思うほどの赤髪とか!」

レードが上げた姐様の苦手だという部分は全部姐様のいいところでありいまいち理解できなかった

「あのー、色々ツッコミたいんですが、ロサちゃんのその姐様ってなんなんです?」

「何か変かな?」

「いや、ロサちゃんのイメージから姐様って単語が飛び出てきた衝撃が抜けていなくてですね……個人的には似たような意味合いの言葉にするなら”お姉さま”とかだと言うタイプかなって」

「そういわれても気づいた時には姐様呼びだったし今更変えるのもなにか違う気が……」

姐様は姐様なのだそれに”お姉さま”みたいな貴族の間でしか使わなそうな言葉をなぜ私が言いそうとかカラットさんの中の私はなんなんだろうか……

「わかるロサって普段丁寧語で話すからなんというか礼儀正しいってイメージがある」

「そうですか?ロサちゃんわたしには割と丁寧語じゃないときありますよね?」

「そうだっけ?それは多分カラットさんに……」

「そこで言い淀むのやめてください、気になるじゃないですか」

「別にいいじゃないですか。ほらクエストに集中しますよ」

「話そらさないでくださいよー」

そう言い残して私は歩くペースを速める

無自覚だった。カラットにだけ口調が変わってたとは気づかなかった。私は彼女と今どのくらいの距離感なんだろうか。仲のいい友人は砕けた口調になることが多いらしいが、私はこれまでそういった友人を持ったことはない。だからカラットと仲を深めるためにもいつかは砕けた口調になろうとは思ってはいたのだ。まさか既にそうなっていたとは気づかなかった

自分が制御できないことで心に霧がかかったように感じる


そうして無心を努めて街を歩いていると昼間から酒にのまれ大声で喚き散らす典型的な探索者を見つけた

「あちらに見えるのが今回のクエスト、治安維持のために取り締まらなければならない探索者です」

「おー見事に呑んだくれてますねあそこまでコテコテいっそ清々しくかんじます」

「誰とも合わないこと願ってたのに……」

「では、私が手本を見せますのでそれを他の方が見つかったときにカラットさんとレードさんお願いします」


そうして私は探索者に近づいていく

「あのー大声がうるさいので家に帰っていただけませんか?」

「あ?うるせえよガキ、色仕掛けがしたいなら10年先だな」

「だいぶ酔ってますね。そろそろ帰られた方がいいのでは?」

「ガキが舐めてんのか?探索者を舐めたら痛い目みるって知らないらしいな」

男は立ち上がって私に拳を振り上げる

私はそれを難なくかわし金的をくらわした

「う゛ぉ」

男はそんな言葉を残すと倒れこんだ。その後2度3度と金的を繰り返すと男は完全に沈黙した

「はい、こうして沈黙した人物をギルドに運びます。あとはギルド側がしかるべき手続きをします何か質問はありますか?」

「ない、ですけどなんというか容赦といいますかなんといいますか……」

「私はそれを何の呵責もなくこなすロサに恐怖を覚えるよ……」

「放っておいたら探索者全体の印象も悪くなるんですよ?私は善良な探索者が探索者だというだけで避けられるのは嫌です。それと私はこの人を運んでいくため一時離脱しますがすぐに追いつくのであたりの巡回お願いします」

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