ダンジョンの主と恋敵
ギルドにつくまでの間私が考えていたことといえば人見知りをなくす方法についてだった
方法がわからない以上私はとりあえず実践してみることにしていた。隣を歩いていたレードさんに雑談をし、結果としては楽しく話せたし、会話も途切れることがなかったと思う。そんなことをしていたからか想定より少し遅くなってしまった
「あ、ロサちゃん!遅いですよ!」
「ごめん、途中でレードさんと会って話し込んじゃって」
「ロサちゃんは、レードちゃんには雑談とかするんですね。わたしには全然話しかけてくれないのに……」
「だってカラットさんとは四六時中一緒にいるんだし話す事なんてないよね?」
「ありますよ!?おいしいものを食べたときとか何かを見つけたときに感想を共有したりするのはいつも一緒だからこそできるこそですよ!楽しいことの共有これ大事!」
カラットさんがまくしたてるように言ってくる。
「共有」確かに私とカラットさんが短期間でこの空気感になったのも私たちの間にカラットという存在の秘密を共有していたからなのかもしれない、ならこれからは仲を深めるために多くのことを共有すべきだろうか……
「とりあえず、合流したんだし今日の予定を話し合わない?」
私が考え込む雰囲気を察したのかレードが話を切り出してくれた、共有については帰ってからにしよう。
「今日の予定といってもロサちゃんが昨日言ってた通りでいいんじゃないですかね?」
「昨日?私なにか言ったっけ?」
「やっぱり覚えてないんですね。昨日酔ってるロサちゃんが今日はクエストに行くぞーって言ったじゃないですか。ですよねレードちゃん?」
「私個人としてはあまり人と関わりあいたくないのは本音だけど、昨日のこともあったし比較的安全なクエストに行くのは賛成だし問題ないわ」
どうやら彼女も知っていたし了承済みらしい、つまりは発言者の酔っぱらった私だけが知らないことであり、お酒怖いな……
「わかりました私としては否定する気もないので今日はクエストに参加することにしましょう」
そうしてクエストを受けようと二人を連れてカウンターに向かうと今朝お世話になった受付嬢さんがいた
「ロサさん、レードさんもおはようございます。もう一人の方は昨日ロサさんをオモチカエリしようとした変質者さんじゃないですか、本当に仲間だったんですね失礼しました」
「おはようございます。本当に誤解してたんですね……仲間のカラットさんです」
「わたしの覚え方失礼じゃありませんか?」
「うるさいですよ変質者さん。あなたがロサさんと住んでるとかのたまうから誤解したんです。それとロサさん今日も私の家に寄っていきませんか?ロサさんの好物用意しますよ」
「いえ、そう何度もお世話になるわけには……」
このままだと雑談ばかりでクエスト受注できそうにないので会話を切り上げようとしたらカラットが口を開いた
「誤解じゃないですよ、わたしロサちゃんとは同棲してる仲なんですから」
「嘘もつき過ぎれば信用にかかわりますよ。この人の言ってることは嘘なんですよねロサさん?」
「えっと、カラットさんの言ってることは本当です」
「え」
「言ったじゃないですか。わたしは嘘をついてないって」
勝ち誇った表情を受付嬢さんに見せるカラット、対してどこか絶望した表情を見せる受付嬢さん
二人の間で何かが決したらしいがわからない私はレードに質問した
「レードさん二人の間になにがあったのかわかります?」
「ロサには関係はある問題が二人の間でとりあえず決着したみたいよ。本当にわからないの?」
「えっとすいません……っていうか私に関係あることなんですか?」
そう答えるとレードは諦めたような何か納得があったような表情をして妙な目で
「大丈夫、ロサはこれから知っていいけばいいから」
さっきの質問の答えとしてはずれた回答をしてきた
「理解できない話なのはわかりました。それでクエストの話ってしにいっていいと思います?」
「だめなんじゃないかしら……」
「ですよね……」
私とレードは二人がこっちの世界に戻ってくるまで世間話をして過ごした