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幕間2

おかしい


私の頭に浮かんできたのはその4文字だった。どんな状況か説明するなら私は今、ロサの家でロサと一緒にギルドに行くために彼女が着替えるのを待ってる。

わけがわからない。

昨日もわけのわからないことはあった、カラットが不変の呪いを受けたダンジョンの主とかいうカミングアウトがされた。しかし、別にあっちは常識の外の範囲の話である意味それはそういうものだと納得というか諦観みたいなものはあった。

今日は、人に興味なんて最低限しか持ち合わせていなさそうなロサがわざわざ私を家に招き入れるということをしたのだ。なんなら出会ったときにそのまま一時解散するのが知り合ってからこれまでの私が抱く彼女への印象だ。

わざわざ呼び止めたなんて絶対おかしい、何か声をかけるべきだろうか?


「お待たせしましたレードさん、じゃあ行きましょうか」

「え。あ、はい」

一人で考え事してるうちに彼女は着替えをすましていた。彼女は普段通りの動きやすさ重視の軽装でそのうえからローブ羽織る服装だ。寒くないのだろうか?

「それでですねわざわざ呼び止めたことなんですけど……人見知りってどうやったら解消されるんでしょうかね?」

「へ。何のこと?」

「カラットさんが人見知りらしくてですね、この町で生活していくなら一人で買い物とかしないとだめだし私もずっと一緒にいられるわけでもないだろうし何か対処法とか知ってませんかね?」

出てきた話は予想外の角度の質問だった

「あれ?カラットって別に人見知りのイメージってないけど」

「いえ、カラットさんすごい人見知りですよ。ギルド登録の時も口頭で済ませられる部分も私に任せてましたし日用品を買いに行ったときも……愚痴はこのくらいにしときましょう。それで何か思いつきませんか?」

「そうなんだ……でも、実際人見知りなんて本人の性質なんだから頭でわかってても行動できないとかよくあることだし無理に変わる必要なんてないんじゃないかな?」

「そうなんですか」

友達の悩みの助けになれないのは残念だが私の力では無理な案件だった。解決できなくても人をしっかりと見ないみたいな場当たり的な対処法はあるが彼女の望んだ答えではないだろう


「というかなんでそんな質問を急にしてきたの?」

「カラットさんが私のこと好きと言ってくれるなら私も相応の対応をしないと思いまして」

「対応って……なんかおかしな言い方だね。あと私からも質問、結局はカラットを殺ないといけないんでしょ。歩みよってどうするの?」

昨日教えてもらった彼女たち二人だけの秘密

ロサがカラットを殺す約束

彼女のような優しい人がその手を汚す残酷な約束だ。彼女もきっと心苦しくなるはずで、できるなら私は、二人の友達としてその約束を破らせたい


「それでも私はカラットさんを殺しますよ」

よどみなく、迷いなく、ためらいなくロサは言う

「え」

私の思考が一瞬止まった

「まあ、カラットさんへの感情という条件が難しいですよね、私が私の感情を理解していないので今どんな気持ちと聞かれても答えられないですし、条件の感情自体もまだわかってませんですが殺します。それが彼女と交わした約束なので」

続けざまにそう述べる彼女に私は口の中が渇いてくのを感じた

私は、当たり前のように約束はうやむやになるものだと思ってた

「あの、レードさん大丈夫ですか。急に俯いてどこか体調が悪いとか?あ、二日酔いですか?」

直前に話したことなどなんでもないように私の心配に移る彼女に私は昨日感じたものと同じ感情を抱いてしまった。

「いや、大丈夫。私考え事をするとうつむく癖があるだけだから」

そういってあまり得意ではない愛想笑いでごまかす

「そうですか。あ、そろそろギルドにつきますね。そういえば聞いてくださいよ今日の朝カラットさんと買い物いったんですけど前食べたおにぎりって覚えてます?あれって酸っぱいもの以外の味もあるんですよ知ってましたか?」

今朝あったことを楽しそうに私に伝える彼女は、私より年上なのに身長が小さいからかとても無邪気に見えた。こっちの彼女が本当の彼女でさっきまでの人殺しに何の感情も見せない彼女は私が見た幻だと錯覚してしまいそうになる。ギルドにつくまで私は何回かあいうちをしたが正直何を話したのかあまり覚えていなかった。

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