ダンジョンの主の服装
朝ごはんを食べ終えた私たちは今日も迷宮探索するために着替えや装備の点検、道具の確認などの準備を行っていた
私たち…といっても私はすでに二人が起きる前に支度は終えているので手持ち無沙汰なわけだが。することもないのでカラットのきれいな顔と体でも眺めることにしよう。
そういえばカラットは己をダンジョンの主と自称しているがおかしな話だ。
ダンジョンに出てくるモンスター、低層の場合は動物が狂暴化し二回り大きくなった見た目のものが多い。それゆえに味や素材となる時も似たような動物と同じようなものだったりする。しかし中層や深層のモンスターは装備として加工後の状態でしか見たことはないが人伝によると「異形」らしい。
動物を元としたのが低層のモンスターとした場合、中層や深層のモンスターは元がいない。厳密にいうなら何種類かの動物を混ぜたとしか表現できないものもいるらしいがそれも異形といって差し支えないだろう。
思考を戻すが、カラットをダンジョンの主とした場合カラット自信はダンジョンから発生したものになる。カラットの見た目は私たち人間と変わらない……正確に表現するなら一般的に器量がいいと言われるほどだろう。
迷宮のモンスターの法則でいえば低層側になるが、狂暴でもないし、背丈は…私を基準にしても二回りは大きくはないだろう……おそらく、多分。
まあ、ダンジョンの主という話が嘘であるならカラットは死ねないなんていう厄介な体質をしたただの人間であると結論付けられるのだが。それにしてはなんというか言動が浮世離れしすぎているが。それでも服ぐらいは出会った時から着用してるので……服?
ダンジョンの主なのだから彼女の口ぶり的にも迷宮に住んでいた間違いないだろう。どんな探索者でも服、そして防具は着る。身を守るためだ。しかしカラットは体質故にその類のものが一切いらない。それに年も見た目よりもかなり上とは本人談だ。服も最初は着ていたのかもしれないが劣化してボロボロになるだろう。では彼女が出会ったときに着ていた服はどこから?
「カラットさん一つ質問していい?」
「なんでしょうかロサちゃん。」
彼女は私が魔術師っぽく見えるようにと貸した丈が足りてないローブを着ながら応答する。
「私たちが初めて会った時の服、今もそのローブの下に着てるやつだけどなんで着てたの?」
「えっと……つまりロサちゃんは私に全裸で好きな人に告白しろと?」
「え。二人ってどんな初対面だったの?一昨日のことよね?」
「話をそらさない。カラットさんと出会ったときの状況考えるとあのタイミングで服を着てることっておかしくない?普通に服を買うってこともできないわけで。」
「もらいものですよ。使用者がいなくなったものをわたしがありがたく使わせてもらってるだけで。他にも何着かもってますが見たいです?」
レードがいるせいか少し婉曲的な表現だったが要は死んだ探索者からはぎ取ったということだろう
「そっか。教えてくれてありがとう。」
「いえいえ。わたしとしてはお互いに知り合っていこうとしてる仲ですし。質問はどんどんきてほしいですねーっと。わたしの支度は完了しました。レードちゃんはどうです?」
「え、ええ。私も終わったわ。」
「じゃ行きましょうか。さー今日も頑張って稼ぎましょう!」
右腕を上げて部屋を出ていくカラットに私とレードは後を追いかけるのであった




