迷子の出会い
カチャッ…カチャッ…
妙な物音に目が覚めた神崎は、起きて音の方を見ると…
龍が、大きい箱を開けて何やら道具を出していた。
崎「お…おい…なんだそれ?でかい箱だなってこれ…買ったのか?」
龍「あぁ、崎おはよう。分析装置だよ。
あのドロップの成分を調べる。
もちろん買った」
本格的だなと思いながらもやっぱりこのままというわけにはいかないかと自分なりの解釈をし、神崎は朝ごはんを作ることにした。
崎「えっ…と、卵、卵…(ジュ〜…)
なぁ、お前アレルギーないんだっけ?」
龍「無いと思う。苦手なものはあるけど」
普通の家庭内会話みたいで、違和感がない
それでも、神崎は龍の様子が気になっていた。
龍はまだ慣れないのだろうか?
昨日もちょっとした物音で反応するし、
テレビも観たがらない。家族のシーンや事件などが映るとその場から離れてしまう。
仕方がないが、何かしてやれないかと神崎は色々考えていた。
崎「朝ごはんできたぜ。その装置すげーな?これで少しは何か分かればいいな…。
いただきまーす」
龍「崎、今日買い物に付き合ってくれる?」
崎「あぁ、いいぜ!何買うんだ?」
龍「ちょっと…ね。」
・・・・出かけるため、支度中・・・・
崎「よし!準備できたから行こうぜ!」
龍「うん。」
二人は徒歩5分の駅まで歩き、電車に乗ってちょっと遠くまで行こうとしていた。
駅ってこんなに静かだったっけ?と思うくらい静かで、龍は不思議そうに周りをキョロキョロしていた。
崎「龍!はい、飲み物。駅がそんなに珍しいか?まぁ、俺たちがガキの頃2回くらいしかこなかったからな〜。それにお前引越しちまったから、色々変わってる部分も知らないよな。確か、親御さんの事情でここに帰ってきたんだよな…あの時は俺、すごく嬉しかったんだぜ^_^お前に会える、またゲームとかして遊べるってな^_^」
龍「そうだったね…。僕は今より喋らなかったし、めったに外でないし…今思うと、崎に悪いことしたなぁって…
飲み物ありがとう」
崎「気にすんなよ^_^また会えたんだ!
これからだぜ!」
数分話をしていると、電車がホームに来た
うるさいイメージしかなかった電車も静かで、もちろんそんなに乗ったこともないから新鮮に反応する龍。
それをみた神崎はどこか嬉しそうだった。
崎「どうせなら泊まらねーか?二人旅ってか!ちょっと大人って感じがしてよくね?」
龍「えっ、泊まるの?っていうかまだ僕たち中学生だし、十分子供だよ。」
崎「くそー早く大人になりてー!」
しばらくどっか出かけたりしてなかったから、こんなにいい景色があるんだ。と
横でブツブツ言ってる神崎をよそに、
少し楽しんでいた。
崎「やっぱり、いつみてもビル高け〜な!
俺久しぶりに都会きたぜ!っでどこに行きたいんだ?」
龍「あっ…え-…っと…」
大きな建物に、人がたくさんいるはじめての光景に戸惑って固まってしまった。
何をどうしたらいいかおどおどしていると神崎が、
崎「そっか、龍は都会はじめてだったな‼︎
じゃあ、とりあえず俺が知ってる所いかねーか?ゆっくり計画立てようぜ?」
龍「うん、わ…わかった。(本当すごい…ここ…迷子になりそうだ)」
崎「このカフェは、修学旅行の時に迷子になって歩いてたら、たまたま見つけたんだぜ!まぁ、後で担任に怒られたけどな。子供じゃないんだからしっかりついてきなさいってさ~」
龍「たまたま…ね?」
お店に入ると、落ち着いた雰囲気の店内で
BGMがゆったりしている。
何か考えが思いつきそうだ。
崎「何飲む?俺はコーラ!」
龍「えっ…じゃあウーロン茶で。」
今までにない感覚で、龍もちょっとは大丈夫だと思って緊張でカチカチだった身体を
雰囲気と神崎のおかげでゆるめることができた。
あの時、崎に出くわさなかったら僕はどうなっていただろう…もしかしたら…と
内心色々考えていた。
崎「喉乾いてたからうまっ!なぁ、龍!
あっ、そうだ!…これ!
最近見つけたやつなんだけど、この猫どう思う?その迷子になったときに見つけたやつでさ、しっぽがふたつあるみたいで珍しいんだってさ!うちで買いてーなって思ったりして…照
あぁ…もちろんお前がいやならいいんだけどよ!でも飼い主がいなくてかわいそうだからな…」
龍「別にいいよ。猫は嫌いじゃないし、僕みたいにはなって欲しくない…から」
崎「本当か!!じゃあ後で迎えに行くか」
龍もたまにはゆっくりするのもいいと
この時間を大切に過ごした。
これから少しずつ進めて、解決して行こうと思った。
龍「崎、その猫はどこにいるの?
迎えにって言ってたけど今から?」
崎「おぅ!ここから近いし、その店は明日で閉店するからな。移店するらしいから、
今日しかなくてな、どうせ今日出かけるつもりだったし。そしたらお前が買い物に付き合ってって言うし、ちょうどいいってさ!」
会話してる間にそのお店に着いた。
明るい感じの見た目だし、かわいい動物のイラストが飾ってある。
崎「すみませーん!電話した神崎でーす!
猫引き取りに来ました!」
店人「いらっしゃい(ニコ)ここにいるわよ。はい、ありがとうね引き取ってくれて
これおまけに猫のご飯いれとくね。この子のお世話よろしくお願いします。」
崎「はい!任せてください!俺が面倒見ます!」
店を出た後、龍はそのままうちに帰ろと言った。買い物はいったいなんだったのだろうか…?本当にいいのか?と神崎は何度も聞くが、大丈夫だと答える。
家に着いたのは暗くなる寸前の夕方だった。箱から猫を出すと、本当にしっぽがふたつで、目がクリクリと可愛らしい子だった。これには龍も、
龍「かわいい…。」
崎「俺のセンスがいいんだな!!あの店のおばちゃんが言うには人懐っこいらしいから噛んだりしないらしいぜ?」
猫は大人しくて、おばちゃんが綺麗に洗ったりブラッシングしたりとお世話してたおかげで綺麗な毛並みのいい上品な猫だった
猫「みゃ〜ン。」
崎「じゃあ、腹空いたから飯にするか!
猫にもな〜」
龍「僕たちのは僕が作るから、崎は猫にあげて。」
崎「おー!サンキュー!了解!
お前の名前は何がいいかな〜
三毛猫だし、目がクリクリっとしててかわいいから…キュートのキューにするぜ!
お前は今日から''キュー,,だぞ!」
龍「ご飯できたよ。名前キューにしたんだ。なんかアザラシとか、九官鳥みたいな名前だな…。三毛猫関係ないし…でも確かにかわいいから似合ってるね」
崎「だろ?じゃあ俺たちもいっただきまーーす!」
今日もなんだかんだで平和な1日を過ごした。新しく仲間も増えたし、このままいい方向へ進んでくれたらよかった…
猫のキューが来るまでは…