第一章時点
【あらすじ】
物の怪の出現予測が出たため沈黙した花街、夜蝶街。そこに暮らし自警団として動いていた花居志乃は、外部からやって来た初老の男性、麗部直武に出会う。志乃は半人半妖であり、直武が連れてきた供のうち一人、境田芳親と物の怪討伐に駆り出されることとなった。
【夜蝶街】
花居志乃
自警団〈見回り番〉に所属する妖雛の少女。中性的な見た目に男装をしており、緩く間延びした敬語で話す。基本的に暢気だが、好戦的な面も持つ。
山内富太
〈見回り番〉の団員で、志乃の兄貴分の一人。少女らしくない志乃のことを心配している。初対面の人物にも親しく話しかける社交的な青年。
中谷健光
〈見回り番〉の団員で、志乃の兄貴分の一人。志乃が唯一、説教されることを恐れている相手。柔和な表情を滅多に見せない鉄面皮で、厳格な青年。
辻川忠彦
〈見回り番〉の長。志乃の親代わりをしている。両頬に古傷があるため、人相はあまりよろしくない。今は長らしく落ち着いているが、昔はそうでもなかったらしい。
津田初枝
白灯堂の女医で幹次の姉。〈見回り番〉の屯所内では、志乃を含めて二人だけの女性。酒と賭博を好むという致命的な短所があるものの、腕は確かな名医。
津田幹次
白灯堂の医者で初枝の弟。眼鏡をしているが、目つきが悪い。姉の行動に悩まされているせいで、不機嫌なことが多い。それもあって志乃以外の年下からは恐れられている。
【旅の一行】
麗部直武
二日前から夜蝶街の宿場町に滞在している、十徳姿の優美な初老男性。辻川や井本からは「先生」と呼ばれている。志乃を自身の旅に同伴させるよう、辻川に提案した。
境田芳親
直武が連れている青年の一人。妖雛であり、呪力で作った牡丹を用いる珍しい妙術を使う。言動がひどくゆっくりで人形めいているが、興味関心があるものには反応する。
産形紀定
直武が連れている青年の一人。隠形を用い、直武を護衛する。真面目で丁寧な性格の好青年だが、怪談は苦手。
【守遣兵】
井本輝幸
小規模の兵団を率いてきた男性。辻川の同期だが、彼より親しみやすい雰囲気をしている。圧倒的戦力である妖雛が二人いるということで、物の怪への直接の手出しは命じられなかった。
【その他】
???
志乃を観察していた謎の男。翠森府以外の府から来訪し、何者かに仕えているということ以外は全くの謎。




