ボロアパートのブラウン管から謎のおねぇが出てきた件。
なろうラジオ投稿作品です。
ピッタリ1000文字なんで、削るかもしれません。
今時流行らない『旧家の娘』である私。
今時流行らない『許婚』に、今時流行りの『公衆面前での婚約破棄』をされてしまった。
そして父は激怒、勘当された。今時。
幸いな事に自分名義の通帳に貯金はたんまりある。
つくづく無趣味で良かったと思う。
「問題は住むところだな~。 保証人が必要だし」
実家が不動産屋の友人が、私に言う。
「タダで住むところ提供できるけど? いわく付きで良ければ」
「のった」
そんなわけで私は今、今時流行らない木造ボロアパートの一室にいる。そこまでは当然の流れだ。
「でもアンタも悪いわよ、男心は繊細なのよォ? アンタ全然彼に興味を持ってないじゃな~い」
「はあ」
──解せぬのは、何故か謎のおねぇに説教を受けていること。しかも、正座で。
このいわく付き物件のいわくとは、何故か部屋の片隅にある、今時流行らない『ブラウン管テレビのモニターから出てくるなにか』。
その『なにか』が『説教好きのおねぇ』だとは、よもや安倍晴明でも思うまいて。
「そろそろ足が活動限界を超えますが……」
「まッ! だらしないわねぇ~! それでも旧家の娘?! いいわ、お茶にして頂戴!!」
「お茶……いやまだなにもないんで」
「ちょっと待ってなさい!!」
元はなかなかのイケボではないかと思しき声で、ブラウンさん(仮名)はそう言うと、筋肉質な身体をくねらせながらブラウン管の中に戻って行った。
ブラウン管の中、一体どうなってんだ。
「ふぃ~」
痺れる足をさすっていると、ドアを叩く音。
そういや鍵を掛けてなかった。
「開いてマース」
こんなところにわざわざ来るのは例の友人くらいだ。
足も痺れているので適当にそう答えると、乱暴に扉が開き……現れたのは元婚約者だった。
「こんなところにいたのか!」
「はあ、なにしに来たんすか? つーか普通に開けてください、壊れちゃうんで」
「婚約破棄なんて嘘に決まっているだろ!!」
「ええ? なにを今更……」
「お前のそういう所が嫌いなんだ!!」
「じゃあ婚約破棄でいいのでは……」
「うううううるさいッ!!」
腕を取られるが、私の足はまだ復活していない。
そうこうしているうちに、ブラウン管からブラウンさん。
ブラウンさんは元婚約者に有無を言わさぬ強い力(物理)で正座させ、説教を繰り広げた。二時間位。
「婚約者でいてください……」
「はあ」
最終的に、涙ながらに彼はそう言った。土下座で。
ちなみに「施錠を怠るとは危機管理がなってない件」で、私も滅茶苦茶怒られた。
☆☆☆☆☆(´・ω・`)ショボ-ン
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★★★★★(*´∀`*)ヤッター♡