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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第四章 内政と貴族との駆け引きが大変でイチャイチャしてる暇がありません

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91 傲慢で不敬でテンプレで

「この俺様が不合格とはどういう了見だ!」

 俺のすぐ側までやってきたその男が、手にした書状、つまりは不合格通知を地面に叩き付けた。


 面接した覚えはある。

 名前は……覚えてないな。


 あんまりにも傲慢で横柄でむかついたから、ろくに面接せずに帰って貰ったからな。


『反王室派の領袖(りょうしゅう)、デルイット伯爵の嫡男、ブライグ・リンガムです、我が君』

 ああ、そう言えばそんな名前だった気がする、助かったキリ。


「それで、どんな要件ですかリンガム殿」

 こんな奴に丁寧な言葉遣いをしてやるのはまっぴらごめんだけど、平民の俺をあからさまに見下してて、そうしないと絶対に面倒なことになるからな。

 鬱陶しいし、適当に相手してとっとと帰って貰おう。


「要件も何も、何故この俺様が不合格なのかと言っている!」


 まだ二十代半ばなのに、四十か五十のおっさんでもそこまでないぞってくらい、顎も腹も腕も脚も指も脂肪でぶくぶくで、生活習慣病で早死にしそうだ。

 その上、伯爵家にしてはやたらと上質な服を着て、大粒の宝石が付いた指輪やブローチなんかで着飾って、財力を誇示したいのか滅茶苦茶羽振りが良さそうだ。

 しかも、この世に自分の思い通りにならないことがあってたまるかって、顔も、声も、態度も、全部がそう主張してる。

 ラノベやアニメに登場する、典型的な悪徳貴族そのまんまって感じだよ。


「何故も何も、俺が募集したのは、精霊魔術師部隊、農水省の役人、トロルに奴隷にされてた人達だけで、それ以外の人達は募集を受け付けてませんから」

 特に、こいつみたいな領地貴族は以ての外だ。


「しかもリンガム殿は精霊と契約してないんだから、必要な能力すら満たしてないでしょう」

 それを聞いて、他のみんなが眉をひそめたり、呆れたりしてる。

 声に出して批判しないのは、まあ、関わり合いになりたくないよな、こんな奴とは。


「それをなんとかするのが貴様の役目だろうが!」

「違いますよ」

 即座にきっぱり否定してやる。


「何を勘違いしてるのか知りませんが、面接官の俺の役目は、一切の不正なく、条件を満たし能力がある人材を登用することです。条件も能力も満たさない有象無象に用はありません」

「黙れ平民! この俺を誰だと思っている! デルイット伯爵の嫡男、ブライグ・リンガムだぞ! 本来であれば貴様ごとき平民が口を利くことも許されんのだ! 貴様のような無能の愚物は黙って俺様の言うことを聞いていればいいんだ!」


 話にならないな……。

 本当にもう、どうやったらここまで尊大で自己中な性格になれるんだろうな。

 自分が周りからひんしゅくを買ってるって、気付いてもないし。


 ぶん殴って追い返したら駄目かな? 駄目だろうなぁ……。


「……で、リンガム殿は精霊と契約すらしてないのに、農地生産改良室(うち)に入って何がしたいんですか」

「そんなことも分からんのか」

 鼻を鳴らして、あからさまに見下して馬鹿にしてくるけどな、分かった上で正気かって聞いてるんだよ。


「当然、この俺様が仕切ってやろうと言うのだ」

「なんのために」

「魔法で食料の生産量を上げる技術を、この俺様と我がデルイット伯爵家が有効に使ってやるためだ。泣いて()(つくば)り、ありがたく思え」


 馬鹿か?


 馬鹿だろう?


 お前の頭の中では、そんな自分に都合のいいストーリーが出来上がってんのか?

 利権をせしめようって魂胆なのはあからさまだけど、これ、王家の事業なんだぞ?


「リンガム殿はこれが王家の事業だってことを知らないんですか?」

「知っているとも。だが、それがどうした?」

 それがどうしたって……おいおい。


「今の力のない王家に何が出来る? どうせろくに活用出来ずに、利権を他の貴族に奪われるのが落ちだ」

 まさにお前がそれをしようとしてるんだけどな。


「だからその前にこの俺様が貰って生かしてやろうと言うのだ、感謝しろ」

 するかよ、馬鹿。


「面接には、とある公爵家や侯爵家に縁がある連中や、大商会の息が掛かった連中が、条件や能力を満たしてもない癖に強引に割り込んできたりしましたけどね、それで不合格にされたからって文句を言いに来たのは、リンガム殿だけですよ」


 どの公爵家も侯爵家も大商会も、事業に潜り込もうとして排除されたからって、どこも文句を言いに来てないのは、これが王家の事業で、それに文句を付けるのは王家の決定に逆らうってことで、たとえ力が落ちてる今の王家でも、俺を囲い込んだ以上、表立って喧嘩を売るのは得策じゃないって分かってるからだ。

 それが分かってない馬鹿はお前だけなんだぞ。


 って遠回しに言ってやったんだけど……。


「はっ、それで引くなど、どこも無能ばかりだな」

 おいおい、王家だけじゃなくて、公爵家と侯爵家にまで喧嘩を売るつもりか?


 やっぱりこの手の馬鹿は遠回しじゃ通じないのか……。


「王家の事業を横から奪い取ろうなんて、王家への反逆ですよ」

「はっ、これだから愚物は。これは王家への反逆などではなく、王家の代わりにデルイット伯爵家が取り仕切ってやると言っているのだ」

 そんな言葉遊びが通用するわけないだろうが。


「我がデルイット伯爵家こそ、他の貴族どもの横槍など全て撥ね除け、この事業を取り仕切るに相応しい! どうだ、この俺様を不合格にした愚かさが分かったか!」

 はいはい、お前の愚かさが、嫌って程分かったよ。


「そういう横槍を一切排除するために俺がいるんで不要ですよ。第一、どう言葉を言いつくろおうが、王家は他の貴族家の全てを従えているトップだ。それに横槍を入れる時点で王家への反逆。仮に他の貴族家の保護を求めるなら、どこかの公爵家にしますよ。伯爵家程度が出る幕じゃない」

「なんだと!? この俺様とデルイット伯爵家を愚弄する気か!?」


「これ以上グダグダ言うのなら、王家からデルイット伯爵家へ厳重に抗議させて貰いますから。それに、デルイット伯爵家がこの王家の事業の独占を企んでるって知ったら、クラウレッツ公爵家、グルンバルドン公爵家、アーグラムン公爵家、ディーター侯爵家なんかの主立った派閥のトップ達がどう動くでしょうね? 伯爵家一つでそれに対抗できますか?」

「貴様っ……!」


 こう言えば、どんだけ威張り散らしてようが、たかが伯爵家だ。

 まあ、たかが伯爵家だからこそ、利権を手に入れて、それらの派閥に対抗出来る力を手に入れたかったんだろうけど。


 しかも、ここでそれらの主立った派閥のトップ達に喧嘩を売って勝てるって言い切れない時点で、他の貴族の横槍を撥ね除けられませんって言ったも同然だろう。


「それとも、今この場で俺に喧嘩を売りますか? トロルロードとトロル五千匹を全滅させて王都を奪還した救国の英雄と呼ばれてる俺を敵に回して?」


 俺の背後に、レドが姿を現し、レッドドラゴンの姿を生かして牙を剥いて威嚇する。


『ギャオゥ!』

「ひっ!?」

 気配は、まあ抑え目だけど、効果は十分だ。

 馬鹿貴族の息子が怯えて後ずさる。


「これ以上は洒落じゃ済みませんよ。どうぞお引き取りを」


 馬鹿貴族の息子は親の敵でも見るような形相で俺を睨み付けて歯ぎしりすると、地面に叩き付けた不合格通知を踏みにじる。


「貴様、この俺様に逆らったこと、後悔させてやる!」

 テンプレな捨て台詞を残して、ドカドカと足を踏み鳴らして、逃げるように去って行く馬鹿貴族の息子。


 それを見送って、完全に姿が見えなくなってから、レドの姿と気配を消す。


「その……良かったのですか?」

 みんなを代表するように、グレッグが困り顔で聞いてくる。


「まあ……あんまり良くはないけど、あんなのを入れるわけにはいかないだろう? って言うか、まさか真正面からこんな馬鹿な真似をしてくる馬鹿が本当にいるとは思わなかったよ」

 馬鹿を強調して連呼すると、グレッグは苦笑するだけでノーコメントみたいだ。


「もしこれでさらに何か仕掛けてくるなら、それこそ本気で王家への反逆だ。その時は……まあ、俺が潰すよ。出来ればそうならないように、アイゼ様には何かしらの手を打って貰うつもりだけど」

 今のところ、やれることはそのくらいかな。


 これで素直に引き下がってくれるなら、世話がなくていいんだけど……。

 まあ、そうはいかないだろうな、あの手の馬鹿は。

 とはいえ、まだ直接被害は出てないし、むかつくけどさすがに俺から手を出すわけにはいかないからなぁ。


「と言うわけで、初っ端でケチが付いちゃった感じで申し訳ないけど、みんなも気を付けてくれ。何かあったら、すぐに俺に知らせて欲しい」

「「「はい!」」」


 貴族の子弟達は深刻に受け止めてくれてるみたいだ。

 貴族のやり口をよく知ってるからだろうな。

 そうじゃない平民出身の人達は、横暴な貴族が何をしでかすか分からなくて、怯えてるみたいだ。


 本当に、馬鹿は何をしでかすか分からないからな。

 俺も十分に気を配っておこう。


「余計な邪魔が入ったけど、話を続けるぞ。次は――」



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