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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第二十四章 レガス王国と開戦、完全勝利を目指す

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728 両軍、共に激突へ向けて



『主様、敵本陣に配置した特殊な契約精霊達から通信がありました』


 事前準備を終えてさあ本陣へ戻ろうとしたとき、唐突にエンから待ったが掛かる。


「何か動きがあったのか?」

『はい、大部隊が本陣を離れて進軍を開始したと』

「詳細は?」

『少々お待ちを………………詳細が判明しました。中央の主要街道を南下しているようです。進軍はまだ開始したばかりのため、本陣から出た兵数は数百と少ないですが、本陣内で出撃準備をしている兵数はおよそ四万になるようですわ』

「四万……! つまり、本陣も本格的に侵攻を開始したってわけか」

『恐らくは』


 敵本陣の兵数はおよそ四万四千だった。

 そのうち四千は拠点防衛のために残しとくんだろう。

 しかもこんな夜明け前から動き出してるなんて、こっちが今日、東西に援軍を出したと見越して、数が減ったところを急襲するためとしか思えない。


「急いで本陣に戻るぞ!」


 夜間だから悟られないようにと遠慮してたジェット推進を解禁して、それでも一応高度をうんと上げてから、遠回りして敵本陣を経由して本陣へと向かうことにする。


 そろそろ敵本陣が見えてくるって頃には通常飛行に戻して、完全隠蔽もしてから近づいていくと、確かに主要街道を南下する部隊の姿が見えてきた。


 整備された幅広い街道いっぱいに並び、完全武装の兵達が長い隊列を組んでいる。

 そんな部隊が、本陣から次々と進発していた。


 当然、陣地内には、出発を待つ部隊が整列して待機してる。

 その数は、報告通り四万はいるだろう。


「エン、レガス王国側の砦の動きは?」

『少々お待ちを………………三つの砦共、何やら兵達が慌ただしく動いているようですわ。中継地点では、早朝から進軍している敵部隊の姿はないようです』

「分かった。進軍開始直後の情報としては十分だろう。本陣へ戻ろう」


 そうして本陣へと戻ると、東西への援軍、クラウレッツ公爵派領軍のうち二千とグルンバルドン公爵派領軍のうち三千のほとんどが進発していた。


 さらに、残った兵達のうち王国軍二千を本陣の防衛に残して、王国軍六千、王室派領軍六千、クラウレッツ公爵派領軍三千、グルンバルドン公爵派領軍一万五千、中立派領軍六千、反王室派領軍五千、合計四万一千が、出発の準備を進め慌ただしく動いてる。


 予定通りとはいえ、急いだ方が良さそうだ。


 緊急事態ってことで、着地早々、取り次ぎなしの顔パスで中央の天幕へと入る。


「将軍、敵本隊が動き出した!」

「エメル殿!? そうかもう戻ったのか。それで、どのくらいの規模だ?」


 俺の唐突な報告を疑いもせず信じてくれて、将軍が確認してくる。

 その信頼が嬉しいけど、感傷に浸ってる場合じゃない。


「本陣の防衛に四千を残して、残り全てのおよそ四万。こちらが援軍を出すのと同時刻くらいから動き始めたみたいで、本陣を出たのはまだそれほどの数にはなってなかった。だけど、進軍のために準備してたのは四万だったから、大きな作戦行動に出るのは確実だ。こっちに向かってくる部隊がそのうちの一部なのか全てなのかは、まだ進発してない部隊が大半だったから、現時点では不明」

「分かった。よく気付いて調べてくれた」


 将軍が騎士達を伝令に走らせる。

 主立った者達を集めるためだな。


 その指示を出した後、将軍が武官達を振り返る。

 武官達も表情を引き締めて頷いた。


「どんなに急いでも、敵本陣にはまだこちらが援軍を出した情報は届いていないはずです」

「しかし、昨日のうちから我々が準備しているところを敢えて見せていますから、それは敵本陣に伝わっていることでしょう」

「それを見越しての、見切り発車の進軍に違いありません」

「恐らく三正面作戦を強いてくるつもりでしょう」


 武官達の言う通りだろう。


「エメル殿の情報がなければ、知ったときにはこちらもすでに動いていて、対策を立てる話し合いにも手間取るところだった」


 進軍を一旦停止して、長く伸びた隊列の前後から主立った者達を集めて、どこかで天幕を張って話し合いが必要だっただろう。

 それだけでも、かなりの時間と手間が取られてただろうな。


 後手に回っての時間の浪費は、致命的な事態を招きかねないわけで。


 やがて集まってきた主立った者達に、情報が共有される。


「嫌らしいタイミングで動き出したな」

「やたら偵察兵を放って支配地域を増やし、こちらの偵察兵を近づけさせなかったのも、今回の動きを掴むのを遅らせるための布石か」


 クラウレッツ公爵、ジターブル侯爵の言う通りだろうな。


「メイワード伯爵の情報網がなく、従来通りの警戒網で偵察兵が敵本隊を捕捉した時には、出した援軍もかなりの距離を進軍していたことでしょうな」

「戻すか、進ませるか。意見が割れ、紛糾していたのは確実」


 エイキエル侯爵、グルンバルドン公爵が、冷静に、嫌な顔を見せた。


 みんなの言う通り、それだけ嫌らしいタイミングでの進軍だ。

 侵略してきた癖に本陣に籠もったまま動かなかったのも、この不意を突くためだったに違いない。


「今ならすぐに援軍に出した兵達を引き返させて、そのまま決戦場への進軍に切り替えられるけど、どうする?」


 まだそれほどの距離じゃないけど、早馬を走らせるより俺が飛んだ方が早いから、必要なら動くけど、って言外に提案する。


 進軍してくる敵本隊は四万。

 こっちが進軍するのは四万一千。


 数はほぼ互角だけど、兵達の練度は敵に軍配が上がる。

 千人程度上回っていても、こっちが不利なのは確実。

 だから援軍に出した五千を呼び戻せば、なんとか勝負に持ち込めるはず。


「いや、援軍はそのまま進めさせるべきだろう」


 将軍は首を横に振る。

 でないと、ランテス砦方面も、ディーター侯爵領領都方面も、援軍なしでは押し切られてしまうだろうからな。


「エメル殿の献策もあったことだ。それを生かすためには、援軍はそのまま向かわせた方がより効果的だと思うが、いかがかな?」


 将軍の提案に、ほとんど全員が同意する。

 俺の作戦がなかったら、グルンバルドン公爵の言う通り、本当に意見が割れて紛糾して、貴重な時間を浪費してたかも知れない。


「では決まりだな。当初予定通り、援軍はそのまま派遣し、我々も決戦場へ向けて進軍する。各部隊は引き続き準備を進めてくれ」


 将軍が締めて、緊急の会議は思いの外早く結論を出して解散。

 方針の変更がなかったから、速やかに進軍準備が整い、準備が整った先遣部隊から順に、本陣から進発していく。


 変更があったのは、敵本隊もこちらへ向かってることから、決戦場での激突が前倒しになったことだろう。


 こっちが今日中に決戦場で布陣。

 それを途中で察知したレガス王国軍が今日いっぱいを使って準備。

 進軍してきたら決戦場でまみえるのは明日。

 明後日早朝より開戦。


 となるはずが、今日中にはまみえて、明日早朝には開戦となりそうだ。


「それにしても」


 将軍が難しい顔をする。


「何か気になることでも?」

「いやなに、ここまで動かずにいたのに、援軍である領軍四万の到着を待たずに動き出したのは何故かと思ってな」

「言われてみれば確かに……」


 こっそりとエンに確認して貰おうとしたら、レガス王国側の三つの砦から、レガス王国貴族の領軍が進発のために整列を始めたらしい。

 多分、今日一日で一気に山脈を越えてくるつもりだろうな。


「レガス王国側の三つの砦の方でも、領軍が進発のための準備を進めてるみたいで、明日には一部の部隊がそれぞれの陣地に到着するはず」

「そうか。それは予想通りではあるが、だとすれば、なおさら()せんな」


 そう、四万全てとはいかないかも知れないけど、明日になれば、早く到着した領軍だけでも、一緒に進軍して来られたはずだ。

 その数の利を捨ててまで、何故それほど急いで進軍してきたのか。


「まだ何か企んでいるかも知れんな」

「これだけ嫌らしい策を仕掛けてきてる以上、なんか企んでるって警戒しといた方がいいでしょうね」

「それが何か分からん以上、エメル殿の見えない諜報部隊には引き続き情報収集を頼みたい。エメル殿には本来の作戦通りに動いて貰わなくてはならないから負担が大きいが、可能だろうか?」

「任せといて下さい。情報戦で機先を制して、相手の嫌らしい策なんて叩き潰してやりますよ」

「そうか、頼もしいな。では、くれぐれもよろしく頼む」


 もう一度エンに頼んで確認すると、ランテス砦でも領都ディーゼルでも部隊が打って出てくる動きを見せてるみたいだ。

 そいつらが打って出てきたら、計画は次の段階に移行だな。



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