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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第一章 姫だと思ったら王子だったけどあまりにも可愛いすぎるから姫にして俺の嫁

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7 新たな挑戦

 新しい挑戦をするに当たって、真っ先にやりたいのは食糧事情の改善だ。

 それも契約精霊の力を試すのに相応しいのは、品種改良だと思う。


 例えば、どの家の畑でも作ってる、大麦と小麦。

 付ける実の数が増えて、美味しく栄養価が高く、病気に強く、暑さ寒さにも強い。

 こんな品種を作れたら、毎年豊作は約束されたようなもんだ。

 美味しいビールや美味しいパンも作れそうだし、きっと村も豊かになる。


 元日本人としては、出来れば白いお米が食べたいところだけど……。

 この世界に稲ってあるのか分からないし、あってもどこにあるのやら。

 なければゼロから作り出す必要があるんだろうけど、いくら契約したからって精霊魔法でそこまで出来るかも不明。


 ってわけで、まずは堅実に、大麦と小麦の品種改良だ。


「必要な精霊力でぱっと思い付くのは、まず生命は必須だよな。麦踏みして立ち直る力強さは土かな? 精神かな? 暑さ寒さ対策だと火と水も必要そうだ」

 取りあえず、こんなもんで試してみるか。


 お父さんとお母さんに相談して、次に蒔く種の一部を分けて貰って準備する。


「ユニ、モス、キリ、レド、サーペ、よろしく頼むよ」

 イメージを伝えて、圧縮した精霊力をたっぷり渡して、後はお任せでやって貰う。


 精霊達の魔法が発動して、精霊力が種に注がれていって……。


「え、もう終わった? もっと大変なのかと思ってたけど、えらくあっさりと……見た目はなんにも変わってないけど……平気? そっか、じゃあ蒔いて試してみるか」

 実験用の畑で育てることにする。


 普通、品種改良って言えば、目的に合致した育ち方をした個体の種だけを選び出して蒔いて育てて、またそういう特性を持つ品種同士で交配させて、それを何年、何十年とかけて繰り返していくもんだ。

 それを精霊魔法で一発って、遺伝子操作や生命改造だな、ほとんど。


 しかもふんわりとしたイメージを伝えるだけで、精霊達がいい感じにしてくれるんだから、特に大きな問題が起きるとも思えないのがすごい。

 だから、ついでに幾つかの野菜も品種改良してみた。


「何ヶ月か何年かうちの家族で食べてみて、特に問題が出ないようなら、村のみんなにもお裾分けだな」



 次に試してみたいのは、うちの村で飼われてる牛と豚と鶏。

 怪我や病気に強く、肉が美味しく、牛乳や卵も美味しく。

 それでバンバン繁殖させれば、お肉と卵が食べられる日がもっと増えるはずだ。


「え、駄目? 成功したらすごいよ? それでも駄目? そっか……」


 断られてしまった。

 契約精霊じゃなくて、飼い主に。


 うち、家畜は飼ってないから、うちじゃ試せないんだよね。

「仕方ない、動物の品種改良計画は一旦凍結だな」



 動物の品種改良は仕方ないとして、人間ならどうだろう?


 例えば身体強化とか、免疫力向上とか、魔法耐性とか。

 こんなのをいきなり誰かに試すのは色々と怖いし、自分の身体で試してみるか?


「どうだろうみんな、俺の身体をそんな風に強化するの、出来るかな? 出来る? じゃあ、ちょっとずつちょっとずつ、試してみようか」

 本当に毎日ちょっとずつ試してみてたら……八歳にして大人顔負けの体力と運動能力、さらに、少々の事じゃ怪我しないし病気にもならない身体になっていた。


「これはやり過ぎたら人間やめちゃいそうだし、ほどほどにしとこう……うん」

 あと、他の誰かに試すのも。



 身体強化で思い付いたんだけど、品種改良した大麦、小麦、野菜を促成栽培して収穫量を増やしてみるのはどうだろう?

 大麦、小麦は秋に種を蒔いて、冬に育ち、春に収穫だから、冬場の作業で辛かったけど、試してみた。


 結果、半分くらいの期間で育ってくれた。


 これで収穫量が二倍に……って思ったんだけど、そう上手い話はないらしい。

 真冬の時期に付けた実は、あんまり美味しくなかった。

 さらに、そのすぐ後、もう一度種を蒔いて育ててみたけど、春の収穫分も同じくらい美味しくなかった。


 ただ栄養を与えて一気に育てるだけじゃ駄目みたいだな。

 ちゃんと自然環境の変化に合わせて育てる必要があるっぽい。

 これじゃ、収穫量を二倍に増やしたところで、却って扱いに困りそうだ。


 ビニールハウスを作って中の環境を倍速で変化させることも考えたけど、ビニールハウスを作る材料がないし、四六時中張り付いて管理しないと駄目そうなんで、断念。

 俺がもっと精霊魔法を上手に扱えるようになったら、促成栽培でも美味しく育てられるようになるんだろうか?



 日差しが暖かくなって草花が芽吹いてきた頃、気まぐれに村近くの適当な野原で代わりに花を促成栽培してみたら、これは普通に成功だった。


 だって、食べないし。

 養蜂もしてないから、蜂蜜の味を考慮する必要もないし。

 見た目さえ綺麗なら十分だ。


 ただ、うちの村では花を育てて出荷してるわけじゃないから、あんまり意味はなかったな。

 そこらに生えてる花じゃなくて、贈物や冠婚葬祭で需要がある花をちゃんと選んで、時期をずらして出荷するとか、市場の動向を見てやらないと。

 これはもっと腰を据えて専門的にやる必要がありそうだし、ちょっと面倒だな。


「わぁ!? エメ兄ちゃん、もうお花が咲いてるよぉ!?」

「お、エフメラいいところに来たな。綺麗だろう?」

「うん、すっごくきれい!」

 エフメラが大はしゃぎで花が一面に咲いている野原を走り回ってて絵になるから、これはこれでよし。


「そうだ、エフメラこっちおいで」

 エフメラを手招きして、花冠を作って頭に載せてやる。


「わぁ、お花の冠だぁ!」

「おお、すっごく可愛いよ、まるでお姫様みたいだ」

「エフ、お姫様みたい?」

「うん、よくお似合いですよお姫様」

「わぁい♪ エフ、お姫様なんだぁ♪ エメ兄ちゃんだぁい好き♪」


 思い切り抱き付いてきたエフメラを、ギュッと抱き締めてやる。

 ああもう、うちの妹は本当に可愛いな。


「ん? エフメラどうした?」

 俺に抱き付いたまま、ちょっと顔を赤くしてモジモジしてる。

 エフメラは呼びかけた俺を見上げると、にぱっと満面の笑みを見せた。


「エフねぇ、おっきくなったらエメ兄ちゃんのお嫁さんになる♪」


 おおっ、遂に念願の『お兄ちゃんのお嫁さんになる』キターーー!!


「そっかそっか、お兄ちゃんのお嫁さんになってくれるんだ♪」

「うん♪」


 ああもう、本当に妹って可愛すぎ!

 お兄ちゃんのお嫁さんになりたいなんて、まさに理想の妹!

 これまで格好いいお兄ちゃんを目指していっぱい頑張って、エフメラのこともたっぷり可愛がって溺愛して育ててきた甲斐があったってもんだよ!


 俺は決意したね。一生、何があってもエフメラを溺愛し続けるって。


「そうだ、プリメラとお母さんの花冠も作ってプレゼントしてあげようか。エフメラも作るの手伝ってくれるか?」

「うん、エフも花冠つくる!」

 お兄ちゃんが大好きな妹と春の穏やかなひととき、ああ幸せだなぁ。



 目先の生活のための食糧事情改善や、お母さんや妹達を喜ばせるのもいいけど、男としてはオーバーテクノロジーにも挑戦してみたい。

 というわけで、電気を作る実験をしてみた。


 うちの村には錆びてない十分な量の鉄や磁石なんて便利な物はないし、ましてや銅線なんて文明の利器は存在もしてないんで、モーターは断念。


 代わりに、雷を真似して、氷の小さな粒を高速でぶつけて静電気を発生させる。

 さらにエジソンがしたみたいに、竹はなかったから適当な木を炭化させて真空で包んで、発生させた静電気を流してみた。


 結果、一瞬光って、木炭が崩れ落ちておしまい……。


「上手くいったら腰を据えて発電機を作ってみようと思ってたけど、よくよく考えればバッテリーもないし、そもそも単発で電気を発生させても現状利用方法がないか……」

 文明がそこまで進歩してなくて、断念。



「エメ兄ちゃんまたなんかよく分かんない実験してるの? すごいなぁ。契約精霊さんがいたら、エフもエメ兄ちゃんみたいにすごいことできるかなぁ?」

 妹の、キラキラした羨望と尊敬の眼差しが気持ちいい!


「精霊と契約するのはエフメラにはまだ早いけど、代わりに兄ちゃんの知ってる叡智をエフメラにも教えてやろうか?」

「本当!? エフもエメ兄ちゃんみたいに、よく分かんないすごい実験ができるようになりたい!」

「そっかそっか、兄ちゃんみたいになりたいか♪」

 抱き付いて頬擦りしてくるエフメラをギュッと抱き締めて、わちゃわちゃと頭を撫でまくる。


「じゃあまずは読み書き算数からやるか」

「うん♪」


 もうエフメラが可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて、元日本人の知識を本格的に教えまくってみた。



 それと、これは実験じゃないんだけど……。


 兄ちゃんと村の近くの森まで狩りに出た時、低級妖魔のゴブリンを見付けた。

 あと、うちの村の野菜の評判を聞いたのか、盗賊達までやってきた。


 ゴブリンは言葉が通じないし、盗賊は話が通じないし、どっちも『奪え、犯せ、殺せ』で同じだったから、兄ちゃんと一緒にサクッと全滅させて埋めてやったけどね。


 それ以来、俺と兄ちゃんは定期的に村の周辺の見回りをするようになった。

 まあ盗賊なんて、年に一度も見かけない程度だったけど。


 それでも兄ちゃんと一緒に村の自警団してるみたいで、途中から二人してちょっと楽しんでたかな。

 二人でアイデアを出し合って攻撃魔法とかトラップとか考えて、その実験にむしろ盗賊来ないかなくらいに思ってたし。



 そんな感じで好奇心に任せて、あれもこれもって、野良の精霊のままだと出来なかった実験をやりまくって、一年が経った頃。

 気付いたら、契約精霊達はバスケットボールよりさらにもう一回り大きいサイズにまで成長していた。

 ついでに、ディテールも少し細かくなってきた。


 このペースで行くと、どこまで大きくなるのやら。

 でも、自重はしない。


 だって、楽しいから!



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