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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第二十一章 一方でレガス王国も何やら企んでるっぽい

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630 フィーナシャイアの誕生日パーティー シェーラル王国

「王太子妃殿下のおかげで、想像してたようなトラブルにならなくて良かったですね」

「ええ、本当に感謝しなくては」

「うむ。しかしパーティーは始まったばかり。油断は出来ぬがな」


 確かに、あの程度の嫌味を言うためにわざわざ他国に来たりはしないだろう。

 パーティー中か、後日改めてか、必ず何か言ってくるに違いない。


 ともかく、初っ端で大きなトラブルになって、せっかくの誕生日パーティーが台無しにならなかったことだけは良かったよ。


「引きずっても意味がありません。気を取り直していきましょう」


 フィーナ姫の言う通りだな。

 本当に、パーティーも挨拶も、始まったばかりなんだし。


 ただまあ次の相手は、せっかく気を取り直しても、その出端を挫くような相手だ。

 そう、シェーラル王国の大使、リューテイン伯爵だ。


「王太女殿下、ご機嫌麗しく。本日はおめでとうございます。第一王子殿下も、久方ぶりでございます。メイワード伯爵には先日、大変世話になったな」


 一見すると(うやうや)しく、だけどどこか嘘くさい、慇懃無礼(いんぎんぶれい)な態度で最後に嫌味を乗せて、一礼する。


 こいつは以前、わざわざ俺に面会してきて、今回のシェーラル王国とガンドラルド王国との戦争で俺をいいように利用しようと、言いがかりを付けてきた。

 それも、嘘や捏造を元に、無理矢理譲歩させて言質を取ろうとしてきたんだ。

 もし俺が一歩でも引いて言質を取られてたら、俺はその戦争に駆り出されて、トロルどもと戦う羽目になってただろう。


 最悪なのは、それはつまり、不戦条約を結ぶために奔走した俺がその不戦条約を一方的に破棄してガンドラルド王国へ侵攻し、トロルどもの怒りを買って、俺との生き残りを懸けた全面戦争に発展し、マイゼル王国がその戦争に巻き込まれて甚大な被害が出たに違いないことだ。


 仮にそれでトロルどもを絶滅させ、俺とマイゼル王国が生き残ったとしても、国際社会から信用を失って、大打撃になってたのは確実。

 さらに、空白地になったガンドラルド王国の領地を巡って、周辺国が我先にと奪い合いぶつかり合う、戦乱の時代を招いてた可能性が非常に高い。

 その犠牲たるや、果たして何百万人、何千万人になったことか。

 まず間違いなく、俺とマイゼル王国の名前が悪名として歴史に刻まれたことだろう。


 それを承知の上で、このリューテイン伯爵とシェーラル王国は、自国の領土奪還と拡張のために、俺とマイゼル王国を巻き込もうとしたんだ。

 ふざけるなって話だよ。


 当然、そんなのは一蹴してやったけど、こいつは絶対にそれを逆恨みしてる。


 果たして今回は何を言い出して、何を仕掛けてくるのか。

 警戒するなって言う方が無理だろう。


「ありがとうございます、本日はようこそ大使」

「うむ、久しいな。よく来た」


 フィーナ姫もアイゼ様も、さすがそんな警戒や嫌悪感を一切感じさせない笑顔で、王族らしくにこやかに対応する。

 そこんところ、俺はどうしても顔や態度に出ちゃうんだよな。


 まあ、リューテイン伯爵も完全に隠しきってるわけじゃないし、って言うか、多分わざと見せてるんだろうし、俺もあからさまにならない程度に澄まし顔をしとくけど、完全には隠さない。


「ご存じの通り、現在我が国はガンドラルド王国と一戦交えている最中でして、貴国から食料その他を買い付けられたこと、大変助かっております」


 リューテイン伯爵が感謝の気持ちを欠片も感じない口先だけの言葉で、いきなりその話題に触れる。

 俺としては警戒レベルを引き上げざるを得ない。


 また同じような言いがかりを付けてくるか?

 トロルどもと交易して食料を売るなと文句を付けてくるか?


 何を言われても一蹴してやるつもりで、内心身構える。


 そんな俺に対して、フィーナ姫は決して笑顔を崩さない。


「我が国はガンドラルド王国と不戦条約を結んでいますから、貴国を直接支援は致しません。そして、同盟を結んでいるわけでもありませんから、妖魔陣営のガンドラルド王国へも直接支援は致しません。ですが国交は結んでいるのですから、これまで通りのお付き合いを変えることも致しませんからご安心を」


 つまりどっちに対しても、商売として、欲しい物があれば普通に買い付けるなら普通に売るし邪魔しない。でも、直接的な支援を求めてきても応じない。戦争はそっちで勝手にやってくれ、マイゼル王国(うち)は関係ない。

 そう返したわけだな。


「ええ、もちろんですとも。それが確認出来ただけで十分です。では、挨拶をしたい者達が大勢控えているでしょうから、これで」


 リューテイン伯爵は一礼すると、あっさりとその場を後にした。


 ……は?


 これで終わり?

 なんて言うか、狐につままれたような気分だ。


 だけど、すぐに気を引き締める。


「何も仕掛けてきませんでしたね……」

「ええ、私も、またエメルを利用しようと、何かしら因縁を付けてくるのかと思っていましたが……文句の一つもないとは」


 フィーナ姫もアイゼ様も、肩すかしを食らったみたいで、やっぱり違和感って言うか、不審に思ってるな。


「ですが、それが逆に不気味です」

「姉上の言う通り、内心で何を企んでいることか」


 うん、俺もそう思う。

 何しろ、聞こえてしまったからな。


「ふん。いい気になっていられるのも今の内だ」


 リューテイン伯爵が立ち去りながら、ほんの微かな声で呟いたその言葉を。


 楽団の生演奏や歓談してる人達の声でホールは賑やかだから、誰にも聞こえないって思ったんだろう。

 事実、俺以外の耳には届いてないみたいだし。

 その呟きを俺が拾えたのは、ユニに身体強化して貰ってたおかげだ。


『後日、追って指示があるようで、現状あの者は詳細を知らないようです』


 キリがそう言う以上、やっぱり何かあるのは確実みたいだ。


「あいつ、絶対に何か企んでます。警戒は怠らないようにしときましょう」

「うむ」

「ええ、そうしましょう」


 俺達は視線を交わして、小さく頷き合った。


 そしてそこからは、順調と言えば順調だった。

 友好的な国や、友好的な関係を築きたい国の大使や外務貴族達とはいい感じに。

 大国のフォレート王国やレガス王国との結びつきが強い国の大使や外務貴族達は、態度が悪かったり俺達を牽制してきたりしたけど、騒ぎを起こす真似はしなかったんで。


 まあ、友好的な関係を築きたい国の大使や外務貴族達の中には、それとなくフィーナ姫とアイゼ様に縁談を匂わせた奴がいたんで、睨み付けて牽制しといたんだけどさ。

 ちなみに、俺に対してもあったけど、そんなの当然スルーだ。


 そんな感じで挨拶を受けていき、特に大きな問題が起きることはなく、他国の要人の挨拶が終わる。


 その時点で、俺達は一旦休憩を挟むために退室。

 今回は参加国は元より、参加した大使と外務貴族の人数も多かったから、会話にはかなり気を遣わなくちゃいけなかったからな。


 そうして控え室で休憩中、軽く飲食しながら感想戦って言うか、他国の今後の出方について、軽く意見を交わす。


 総評としては、フォレート王国とシェーラル王国の今後の動向に注意と、レガス王国の王太子殿下が何を言い出すかに注意。

 それ以外の敵対的な国に対しては、すぐに何か仕掛けてくるような様子はないから今回は気にしない。

 友好的な国に対しては、交易で現状よりもう少し踏み込んだ決めごとをして良さそうなんで、後日それを検討する。

 って感じだった。


 ちなみに、話をしながらユニとキリに頼んで、肉体的、精神的疲労を回復させとくのも忘れない。


「ありがとうございますエメル様。この回復をして戴くか戴かないかで、パーティーの中盤から後半に懸けて、かなり違ってきますから」

「他国に舐められないよう、二人のビシッと凛々しい姿を見せつけてやりたいですからね」

「うむ。ではそろそろ会場に戻るとしよう」


 そうして会場に戻ってからは、今度はマイゼル王国貴族達の挨拶を受ける。


 最初にやってきたクラウレッツ公爵とアムズは、何か言いたそうな目を向けてきたけど、この場で触れるべきじゃないと思ったのか、お祝いの言葉とちょっとした雑談以外は特に何も言わず、無難に挨拶を終わらせた。

 多分、先日俺を呼び出してした話について、だったんだろうな。


 それ以外は特筆することもなく、いつもと変わらず、伯爵以上の上級貴族家の挨拶が終わる。

 そこでさらにもう一回休憩。


 そして会場に戻ってすぐ、余興としてフィーナ姫に贈られるプレゼントのお披露目が行われることになった。


 いよいよ、俺渾身のアレ(・・)のお披露目だ。



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