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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十九章 覚悟を決めてあの子もこの子もその子も『俺の嫁』にしてご挨拶

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580 説得開始

 応接室へ入ると、予定通り、姫様とフィーナ姫、エレーナとモザミア、リジャリエラとエフメラの六人が揃って待ってた。


 今日の顔合わせのために、大きめのソファーをいくつも運び込んで並びを変えてあり、ローテーブルの円卓を囲むように五角形の配置だ。


 普段なら上座になる位置に配置されたソファーには、今日も綺麗に着飾ったフィーナ姫と、ちゃんとドレスを着て女の子の恰好をしてくれた姫様が座ってる。

 そして、この二人から見て向かって右側にエレーナとモザミアが、向かって左側にリジャリエラとエフメラが座り、対面の二つは空席のままだ。


 俺に続いて家族のみんなが応接室に入ってくると、座ってたお嫁さんのみんなが立ち上がる。


「ようこそお越し下さいました」


 代表してフィーナ姫が微笑んで歓迎すると、途端に家族みんな、茫然とフィーナ姫に見とれて立ち止まってしまった。


 まあ、無理もない。


 元から滅茶苦茶美少女だったのが、最近とみにその美しさに磨きが掛かってきたからな。

 加えて、透き通るような綺麗な声だし、聞き惚れてもしまうだろう。


 それに、見とれる相手はフィーナ姫だけじゃない。


 フィーナ姫そっくりの姫様に加えて、貴族令嬢の凛々しい美人のエレーナと可愛い美少女のモザミア、黒髪と褐色の肌ってマイゼル王国では珍しい色彩のエキゾチックな美少女のリジャリエラまでいるんだ。

 エフメラだって、例のワンピースを着て裕福な大商会のお嬢様然としてるし。


 しかも平民向けの応接室とはいえ、そこは王族が住まう館の部屋だから、当然、調度品の質はいいし趣味もいい。

 田舎の農村暮らしの、村から一度も出たことがない農民達にとっては、本当に別世界みたいな空間だろう。


 ともかく、茫然としたまま動かない家族達を、お父さんから順番に紹介することに。


「この人が俺の父です」


 紹介して、茫然とフィーナ姫に見とれたまま動かないお父さんを肘でつついた。


「ほら、お父さん、フィーナ姫やみんなに挨拶して」

「ぇ? えっ? あ、そ、そうか!」


 俺が紹介してたのも気付いてなかったみたいで、ようやく我に返ったお父さんが、微笑みながら待ってくれてるフィーナ姫に向かって口を開いて、口をパクパクさせた後、俺を振り返った。


「な、なんて言えばいいんだ!? 作法とか挨拶とか、俺は知らないぞ!?」

「その辺りはみんな承知の上だから大丈夫。ただの農民に貴族みたいな畏まった礼儀は求められてないから。ただ失礼にならないようにだけ気を付けて挨拶して」

「そ、そういうものなのか? じゃ、じゃあ」


 改めて畏まるとガチガチになって、まるで出来の悪いロボットみたいに、ギクシャクと頭を下げる。


「は、はじっ、初めましてっ! エメルの父、です!」


 うん、お父さん、よく頑張った。

 それからも同様にみんなを紹介して、それぞれ似たり寄ったりだったけど一通り挨拶を済ませた後、改めて俺が紹介しながらお嫁さん達に挨拶して貰う。


「こちら、この国の王女様」

「エメル様のご家族にこうしてお会いできて光栄です。王太女、フィーナシャイア・ジブリミダリア・マイゼガントと申します」


 改めての王女様からの挨拶に、家族みんな緊張で一層ガチガチになる。


「それで、こちらがこの国の王子様」

「お、お初にお目にかかる。第一王子、アイゼスオート・ジブリミダル・マイゼガントだ」

「「「「「えっ!? 王子様!?」」」」」


 途端に家族みんな驚きの声を上げた。


「ぜんっぜん男に見えねぇ……」


 兄ちゃんが思わずって感じに唖然と呟くけど、無理もない。


「あっ、お、王子様に対してスミマセン!」


 ハンナちゃんに失礼なこと言うなって叩かれて、慌てて頭を下げて謝ったけど。


「う、うむ。気にせずとも良い」


 姫様は、ちょっと恥ずかしそうな、複雑そうな顔だな。

 男と男の娘の間を行ったり来たりする、複雑な男の娘心なんだろう。


 続けてエレーナ、モザミア、リジャリエラと順番に紹介していく。


「伯爵様の護衛を務めています、メイワード伯爵領軍守護騎士団団長、ダークムン男爵家三女、エレーナ・ラグドラです」

「お、お義父様、お義母様、皆様、は、初めまして。伯爵様の秘書兼文官を務めています、ユーグ男爵家長女、モザミア・ククード、です」


 エレーナはやっぱり表情が変わってないように見えるけど、緊張のせいかいつもより表情が硬いな。

 モザミアは緊張してるのが丸分かりで、笑顔も声も硬くてぎこちない。


「初めてご挨拶致しマス。旧アランジャラ王国マーラルジャル自治区に住まっておりまシタ、マージャル族ガ族長の娘、巫女姫の要職にありマス、リジャリエラ・リュー・デオ・マージャルと申しマス。現在ハご領主様(精霊王様)のご領地にて庇護ヲ(たまわ)り、特務部隊の特別相談役ヲ拝命しておりマス」


 リジャリエラは巫女姫然としていつも通りだけど、笑顔が三割増しだ。

 素顔の女の子モードだったら、あわあわとモザミアより緊張しまくってたかも知れないな。


 やっぱり、相手の家族に挨拶するのって、身分関係なく緊張するよな。

 すごくよく分かるよ。


 家族のみんなも、お貴族様のお嬢様の丁寧な挨拶を受けて、フィーナ姫や姫様の時と同様に驚いたり狼狽えたり、いちいち反応が忙しかった。

 リジャリエラの場合は同じ平民だけど、色彩が違う異国の美少女ってことで戸惑いの方が大きかったみたいだ。


 そして。


「最後に、紹介の必要はないけど、一応流れとして。エフメラもこっち側に座って貰ってるから」

「「「「「えっ!? エフメラ!?」」」」」


 またしても家族みんな驚きの声を上げて……って、みんな信じられないって顔でエフメラをマジマジと見てる。


「もしかしてみんな、エフメラに気付いてなかった?」

「当たり前だろう! まるでいい所のお嬢さんみたいじゃないか!」

「知らないお嬢さん達ばかりで、エフメラがいないのは変ね、数が合わないけどあれからもう一人お嫁さんにしたい人が増えたのかしら、と思っていたわよ!」


 実の親のお父さんとお母さんのこの驚きよう。

 本気で気付いてなかったみたいだな。


「エフメラちゃん、いつの間にそんな……」

「おいおいエフメラが、本気でお嬢様みたいになって……変われば変わるもんだな」

「えへへ、どうハンナちゃん、バメ兄ちゃん? お貴族様になったエメ兄ちゃんのお嫁さんに相応しくなれるよう、領地のお屋敷のみんなに協力してもらって、礼儀作法のお勉強してるんだよ」


 腰に手を当てて、えへんと胸を張ったら、肝心の礼儀作法とせっかくのお嬢様っぽいワンピースやアクセサリーが台無しだけど、自慢したくなるのもよく分かるよ。

 実の家族に気付かれないくらい、お上品に変身出来てたわけだからな。


「エフ姉ちゃん、綺麗……」

「うん! エフねえちゃんきれー!」

「えへへ、ありがとうプリメラ、リエル♪」


 プリメラとリエルの憧れるようなキラキラした眼差しに、さらにご満悦だ。


 ともかく、全員の自己紹介はこれで終わった。


「じゃあお父さん、お母さん、プリメラはこっちに。兄ちゃんとハンナちゃんとリエルはこっちに座って」


 姫様とフィーナ姫の対面の、エフメラ達が座ってるソファーに近い方にお父さん達、エレーナ達が座ってるソファーに近い方に兄ちゃん達に座って貰う。

 そして俺はエフメラの隣、お父さん達に近い方に座った。


 全員座ったのを見届けてから、クレアとレミーが全員にお茶を淹れてくれる。

 二人はお茶と一緒に、お茶請けのクッキーや果物など、農民でも手を伸ばしやすいよう敢えて大皿から取り分けるんじゃなくて最初から小皿でそれぞれに配ると、そのまま部屋の隅に控えた。


「皆様、お茶とお菓子をどうぞ。礼儀作法など気にせず、遠慮も無用です。まずは道中の疲れを癒して下さい」


 本来なら、一番地位が高いフィーナ姫と姫様が口を付けるまで、他の誰も口を付けちゃいけないのが貴族社会のマナーだけど、今回はそういうのはなしでいこうってことになってる。

 農民にそれに従えってのは、無茶ぶりだからな。


 お父さんとお母さんが『本当にいいのか』って顔で俺を見るから、頷く。


「みんな遠慮しないで飲んで食べていいよ」

「で、では、いただきます」

「いただきます」


 驚き疲れたのと緊張しすぎて喉が渇いてたんだろう、俺が先にお茶に口を付けてエフメラがクッキーを頬張ってみせると、すぐに家族みんなお茶に手を伸ばして勢いよくゴクゴクと飲む。

 プリメラやリエルはクッキーと果物に目を輝かせて、早速頬張っては『美味しい!』って大興奮だ。


 クレアとレミーがお茶のお代わりと追加のお菓子まで配ってくれて、美味しいお茶とお菓子に少しは緊張がほぐれたのか、ほっと一息吐いた空気が流れた。


 そのタイミングを見計らってフィーナ姫へ目を向けると、フィーナ姫が頷く。


「改めて、ようこそお越しくださいました。エメル様のご家族の皆様にお会いできることを、わたし達一同、心より楽しみにしていました。すでにエメル様からお聞きしていると思いますが、わたし達は皆、エメル様と婚姻を結び、妻になることを望んでいます。平民は一夫一婦が普通ですから、突然六人も妻候補が現れて大変驚かれたことでしょう」


 実に堂々とした話しぶりだ。


 でも、おへその下辺りで組んだ手をギュッと握り締めてて、フィーナ姫も実は緊張してたらしい。

 表情も声音も全くそれを感じさせないのは、さすが王太女様だな。


「ですが、エメル様はすでに叙爵され、マイゼル王国貴族の身分を得ています。一度に六人もとなると、さすがに貴族としてもいささか多くはありますが、それは取りも直さず、『救国の英雄』と名高いエメル様であればこそ。元平民でありながら、王族のわたし達との婚姻が許されるのも、それだけのお『力』と比類なき功績が、我がマイゼル王国への貢献があるからこそと、ご承知おき下さい」


 家族みんなが改めて驚いたように俺を見る。

 これまで色々話して聞かせたけど、やっぱり他人から、それも王女様からこんな風に言われたことで、本当にそれだけすごいことをやってきたんだって、ようやく少しは実感してくれたんだろうな。


「前置きが長くなってしまいましたが、本日はご家族の皆様にご挨拶と、結婚のご許可を戴きたいこと、そしてエメル様と妹君のエフメラ様との結婚に反対されていると伺いまして、それについてわたし達の見解をお話をさせて戴きたいと思い、お招き致しました」


 お父さんもお母さんも、どうリアクションしていいのか分からないみたいで、お互いに顔を見合わせて戸惑ってる。

 それから助けを求めるように俺を見てきた。


「さっきも言ったけど、失礼にならないようにだけ気を付けてくれれば大丈夫だから」


 俺の言葉に、またお父さんとお母さんが顔を見合わせて、意を決したようにフィーナ姫に顔を向けた。


「そ、その、突然のことで驚きましたが、エメルに嫁が来てくれることは大歓迎です。村の娘達は、エメルの魔法のすごさに気後れして、嫁のなり手がなかったので」

「そ、その通りです。いきなりこんなにたくさん、それも、異国のお嬢さんや、お貴族様のお嬢様達、さらに王女様や王子様までだなんて、驚きすぎて、どうすればいいか分からないですが。は、母として、息子を見初めてくれたことには、感謝の言葉しかありません」

「ただ……」


 お父さんとお母さんが、エフメラに目を向ける。


「さすがにエフメラのことは、いくら王女様に言われても……」

「ええ、兄妹で結婚なんて……許されないことでしょう?」


 恐れながらって感じだけど、やっぱりそう簡単には許して貰えないか。



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