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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十九章 覚悟を決めてあの子もこの子もその子も『俺の嫁』にしてご挨拶

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566 共有出来る価値観

 姫様はまだ恥ずかしさもあるんだろうけど、自分だけが男の娘だからなのか、一歩引いた感じで、フィーナ姫に場を仕切るのを譲ったみたいだ。

 フィーナ姫が微笑みを絶やさず、だけど偽りを口にすることは許さないって圧を感じる笑顔で、ぐるりと俺以外の四人を見回した。


「まず始めに確認をしておきたいのですが、皆様は一人の女性としてエメル様を愛している、これに間違いはありませんね?」

「ちょ、いきなりそんな確認を!?」


 しかも(本人)の目の前で!?

 それって滅茶苦茶恥ずかしいんだけど!?


「もちろんです。これはとても大切なことですから」


 至極真面目な顔で頷くフィーナ姫。


「うん、もちろんだよ!」


 それに、真っ先に反応したのがエフメラだった。

 俺が何かを言うより早く、埋めてた顔を上げるとフィーナ姫と姫様の方へ振り返って、お姫様としては負けても俺への気持ちだけは負けないって言わんばかりに、フンスと鼻息を荒くする。


「妹だからエメ兄ちゃんを愛したらダメなんて言わせないもん!」


 フィーナ姫に真っ直ぐ見つめられても、エフメラは決して目を逸らさない。

 恥ずかしさから立ち直ったって言うか、すっかり普段の調子を取り戻したみたいで、安心した反面、滅茶苦茶不安なんだけど。

 駄目って言われたら即座に契約精霊達を展開しそうで、見ててハラハラさせられる。

 言ってくれた言葉は、素直に嬉しいけどさ。


 だけど、そんなエフメラに動じた様子もなく、フィーナ姫は微笑みを絶やさない。


「言いませんよ、そんなことは」

「……へ?」

「兄妹で結婚する文化を持つ者がいるのでしょう? でしたら、わたしは……わたし達は、常識や文化が違うからと言って、頭ごなしに安易な否定はしません。何より、エメル様が選ばれた方ですから」


 そんな風に言われるなんて予想もしてなかったのか、エフメラが目を丸くしてる。


 俺も、ちょっと驚いた。

 フィーナ姫はもう一度エフメラに微笑みかけると、他の三人にも目を向けた。


「もちろんです。私の身も心も、全て伯爵様に捧げています」

「ハイ。わたくしの全てヲ懸けて、愛するご領主様(精霊王様)に尽くすと誓っていマス」


 それに負けじと、続けてエレーナとリジャリエラが頷いた。


「ア、アタシだってそうです。もう伯爵様しか見えませんから」


 モザミアはまだ緊張が解けないのか、急いでコクコクと頷いてから、慌てて言葉にして言い直した。


「それを聞いて安心しました。もちろんわたしも、他の殿方のことなど考えられないくらい、エメル様のことを心よりお慕い申し上げています」


 フィーナ姫が嬉しそうに、そして誇らしそうに微笑んで、それから姫様へと目を向けた。

 それに釣られるように、全員の視線が姫様に向けられる。


「うっ……」


 あっという間に姫様の顔が真っ赤になって、チラッとフィーナ姫を見て、フィーナ姫が当然って顔で頷くと、頭から湯気が立ち上りそうな程、耳まで真っ赤になって俯いてしまった。


「い……言うまでもなく、私も、だ……でなければ、エメルの想いを受け入れ……エメルが望むまま、このようにドレスを着て同席などしていない」


 ああもう、こういうときの姫様はいちいち可愛いな!

 こんな可愛いお姫様を、どこの誰が本当は男だって思う!?


 そう思ったのは、みんなもらしい。


「王子様のはずなのに……本当の女の子みたい……可愛い……」


 エフメラが思わずって感じにポツリと呟いて、他のみんなもそれぞれの言葉やリアクションで同意する。

 おかげで姫様はさらに真っ赤だ。


 でも次のフィーナ姫の一言で、俺も同じくらい真っ赤になってしまった。


「ふふ、エメル様は皆にとても愛されていますね」

「うっ……それは、その……」


 本当は王太子って言うマイゼル王国の未来にとって重要な立場にあったのに、女の子だって勘違いした俺の気持ちを受け止めてくれて、俺のためにドレスを着て女の子になってくれた、誰よりもこの国の未来のことを考えてる、男の娘の姫様。


 俺と姫様の気持ちと関係を知りながらも、それでも俺に恋い焦がれてくれて、そしてだからこそ姫様を立てて一歩引いた位置に身を置いて、時に俺と姫様を支え、時に代わりに前に出てくれる、王太女のフィーナ姫。


 一度は俺を暗殺しようとするも、それもこの国の未来のためを思ってのことで、その後は俺を守り支えることこそこの国の未来のためだと信じて付いてきてくれる、騎士としての矜持を持つ、女騎士のエレーナ。


 素顔はちょっとお転婆で、大胆な行動力と押しの強さがあるけど、TPOを(わきま)えて淑女としても振る舞えるし、実家でも、俺の領地でも、領地を発展させることに真面目に取り組み、なおかつ楽しみながら仕事をしてくれる、秘書兼文官のモザミア。


 俺に信仰心を抱いてるのはちょっとあれだけど、幼い頃から国の汚い部分を見せられながらも、族長の娘としてマージャル族の繁栄のため、精霊を(まつ)り、矜持を忘れず、真っ直ぐな気持ちを失わない、巫女姫のリジャリエラ。


 ただの貧乏農家の娘なのに、俺の教える知識を全て吸収して、俺に次ぐ実力者にまで育った、まだまだ幼くて甘えん坊な一面がありながらも、実は精神的にずっと俺を支えてくれてた、血が繋がった実の妹のエフメラ。


 改めて、こんなにも可愛い六人もの女の子達に愛されて、結婚してずっと一緒にいたいと想い合ってるなんて、なんて贅沢で幸せなことなんだろう。

 そんな女の子達から、笑顔と俺を好きだって気持ちを向けられると、なんかもう、くすぐったいやら照れ臭いやら。


「みんなありがとう、俺もちゃんとみんなのこと、あ、あ……愛してるから」


 改めてこう言うと、滅茶苦茶照れるな!


 でも、そんな照れながらの言葉でも、みんな嬉しそうに、そして照れ臭そうにはにかんでくれる。

 やっぱり、こうして気持ちを言葉にするって大事だな。


 最初はなんでそんな恥ずかしいことをって思ったけど、やって良かったよ。

 これもフィーナ姫のおかげだな。


「皆の気持ちを聞けて嬉しく思います。エメル様は愛し愛されることを望んでいます。エメル様が選んだ方の中に、愛情を持たず政治的な思惑や打算だけで近づいた者がいなくて安心しました」


 そんなフィーナ姫の言葉に、姫様も頷く。


「うむ、姉上の言う通りだ。エメルが貴族となった以上、そして私達も王家、貴族家に生まれた以上、政治的な思惑や打算とは無縁ではいられぬだろう。だからそれを持つなとは言わぬ。しかし、それだけを目的として、エメルを傷つける真似は許さぬ」


 その気持ちだけで、もう嬉しくてたまらないよ。

 みんなも、フィーナ姫と姫様の気持ちを聞けて安心したみたいだ。

 自分達と同じだったんだって。


「それにわたし達には、エメル様へのお気持ちの他に、もう一つ、価値観を共有出来る物があります」

「もう一つ、価値観を共有出来る物?」


 俺の疑問に、フィーナ姫は頷く。


 これですとばかりに見せてくれたのは、水属性の契約精霊だった。

 続けて、姫様も風属性の契約精霊の姿を現させる。


 なるほど、それのことか。


「普段から公務が忙しく、精霊力を使いすぎると朦朧として仕事にならないため、なかなか大きく育てられていませんが」

「私も姉上と同じだが、それでもエメルのおかげで契約出来たのだ。可能な限り育てるようにしている」


 二人とも、言う通りに忙しいから、ピンポン球サイズの野良の精霊と比べると、ようやく一回り大きくなった程度だけど、着実に育ててくれてる。


「殿下方も、精霊と契約されていたのですね」


 驚きながらも、ぱっと顔を輝かせたモザミアが自分も土属性の契約精霊を見せた。

 モザミアも内政の仕事に追われて、五日に一度の勉強会の時くらいしか集中して育てられないみたいだけど、野良の精霊の二回り程の大きさに育ってる。


「私も、先日ようやく」


 続けて、嬉しくてたまらなそうに、エレーナも自分の風属性の契約精霊を見せた。

 新しい騎士の戦い方の模索をしながら色々試した結果、エレーナが選んだのは風属性の精霊だった。

 やっぱり普段から俺の護衛、騎士としての訓練と忙しくて、なかなか集中して魔法の練習が出来ないけど。

 それでも遂に、契約出来るだけの精霊力のコントロールを身に着けた。


「わたくしも先日契約したばかりで、まだそれほど育ってはいまセン。ですガ、ご領主様(精霊王様)のおかげで、全ての属性と契約出来ました」


 リジャリエラが八属性の契約精霊を見せると、さすがに姫様とフィーナ姫が驚きの声を上げる。


「エメル以外で八属性の契約精霊を持つ者を初めて見た……」

「さすが、巫女姫なだけはありますね」


 大きさはモザミアと大差ない、まだピンポン球を二回り大きくしたくらいだけど、精霊魔法を使うことが仕事の一環だし、これからドンドン育ってくれると思う。


「エフも、全部の精霊を持ってるよ」


 そして、満を持してと言わんばかりに、ドヤ顔になってエフメラが八属性の契約精霊達を見せた。


「おお!?」

「なんて大きさでしょう……!」


 姫様とフィーナ姫の驚きに、大満足って顔だな。


「ずっと小さい頃からエメ兄ちゃんに鍛えられてきたからね!」

「さすがと言うべきか。エメルでなくとも、ここまで育てられるのだな」

「これほどの『力』……確かに、おいそれと外には出せませんね」

「そうなんですよね。たとえそれにどんなメリットがあったとしても、デメリットの方が遥かに大きいですから」

「うむ、よく分かる話だ」

「ええ、本当に」


 内心で二人がどう思ってたか分からないけど、これでたとえ妹でもエフメラを他の男になんて渡せないって俺が思ってる理由は理解して貰えたと思う。


「わたし達は、互いに仲良くやっていけると思いませんか?」


 フィーナ姫の言葉に、みんながお互いの顔を見て、そしてお互いの契約精霊を見て、頷き合う。


 俺に精霊魔法の手ほどきを受けて『力』を付け、契約精霊を得るに至った。

 その共通点があることで、心の距離がグッと近くなったのを感じたんだろう。


 俺も、改めてこうしてみんなが契約精霊を出してるところを見て、みんなのことをこれまで以上に身近に感じられたからな。



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