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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十七章 フォレート王国とシェーラル王国が動き出して面倒な事になりそう

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496 収穫祭 3

 それから、同じように招待した、俺の礼服や姫様とフィーナ姫のドレスでお世話になってる服飾関係に強いアガゼル商会の商会長。

 銅の輸送や、色々な施設の建設を任せてるドジール商会の商会長。

 安宿から高級宿まで宿の建設と経営を任せてるガジ商会の商会長。

 などなど、お世話になったり領地の発展に貢献してくれてる商会長達と、挨拶を交わす。


 中でもアガゼル商会長は、俺が教えたホックやボタン、さらにドレスのデザイン関係でかなり儲かって事業規模を拡大した上に、トロルとの交易で手に入れたジエドウサギの毛皮を独占して卸したことで、貴族達が目の色を変えて金貨を積み上げて莫大な利益を上げたらしい。

 それはもう思わず引いちゃうくらい感謝感激の雨霰で、終始笑顔が絶えなかった。


 残念ながら仕事の都合で来られなかった商会長もいるけど、そういう商会は代わりの副会長や重要な役職の商会員が、商会長が来られないことに恐縮して丁寧に挨拶してくれて、どこの商会とも今後も良好な関係を続けられそうだった。


 そんな感じでなんだかんだで、ちょっと予定より長い時間挨拶をしてたんで、後の予定も詰まってることだし、次の予定を急ぐことにする。


「待たせたな、エレーナ、モザミア」

「うん、大丈夫」

「伯爵様は休憩を挟まなくて平気ですか?」

「ああ、俺なら大丈夫」


 ユニとキリに頼んで、肉体疲労も精神疲労も回復させてしまう。

 挨拶しながらちょこちょこ摘まんで食べてたから、ちょっとお腹も膨れてるんで、そっちの消化吸収も急いで終わらせた。

 この後、まだまだ飲んで食べてと、腹がはち切れそうになるだろうからな。


「じゃあナサイグ、プラーラ、後は任せた」

「はい、行ってらっしゃいませ」

「お気を付けて」


 レドに三人で乗って、大急ぎで飛び立つ。

 目的地は、領内の各町や村だ。

 効率的に回るために、今回は重要度じゃなくて、とにかく近場から順番にぐるっと回るための進路を取る。


「伯爵様が収穫祭に顔を出してくれるとなると、きっとみんな喜ぶ」

「そうですね。小さな領地ならまだしも、ここまで大きな領地だと、なかなかそこまでする貴族はいませんよ」

「うん。もし顔を出すとしても、精々領都か、最も重要な町を一つくらい」

「そういうもんなのか? でも、せっかくの収穫祭だからな。それにこうして空を飛べばあっという間だし。それで領民が喜んでくれてこれからも頑張ってくれるなら、いくらでも顔を出すさ」


 そうして顔を出したセセジオ、ルグス、ザンドス、レグアスなどの町は、農業が主体じゃないから、町の規模は小さくてもおおよそウクザムスと同じ感じで、広場や通りに屋台が出て、行商人や旅芸人、吟遊詩人達が祭りを盛り上げてくれてた。

 もちろん、領兵やメイド、役人から希望者を募って、名物料理の屋台も出してる。


「ささ、もう一杯どうぞ。この領地は謂わば入植初年度のようなものですが、どこの町も村も大豊作で、皆喜んでおります。収穫祭でこれほどの充実ぶりと盛り上がりは、ひとえに領主様のお『力』と人徳――」


 なんて、ルグスの町長のよいしょが普段以上にすごかったけど、どこの町の町長や代官達も似たような感じで、飲め飲め食え食えで酒と料理を勧められて、大歓待だった。


 普通なら数年は赤字で、収穫祭なんて形だけだっただろうな。

 ましてや余所の領地から人を招くなんて、とてもじゃないけど無理なわけで。

 それが初年度から出来たってことは、大成功って言ってもいいはずだ。


 だから、誰も彼もがいい笑顔で楽しそうに祭りを楽しんでる。


 対して、村はどこもお祭りの規模は小さい。

 さすがに、小さな村にまで行商人や旅芸人、吟遊詩人などは訪れてくれないからな。


 だけど、目に見える大豊作に、みんなものすごいテンションだった。

 訪れたのは俺達だけだったけど、村の真ん中の広場に車座のように集まって、収穫した作物を料理した物を並べ、さらに先んじて領兵の輸送部隊に運んで貰ってた名物料理や酒を並べて振る舞ったおかげで、飲めや歌えの大騒ぎだった。


「いやぁ、こんなに美味い小麦や野菜を作れて、しかもこんなにも大豊作だなんて、農業って楽しいですね!」

「そうそう。こうして手塩にかけて育てた作物で作った料理を、みんなで美味い美味いと食って、その顔をこうして見られるなんて、やり甲斐を感じますよ!」


 そんな風に言ってくれた者達もいて、なんだか俺も嬉しくなっちゃったよ。


「だろう? 俺も元は貧乏農家の次男坊だったからさ、みんなが農業の喜びを知ってくれて嬉しいよ」


 そうして酒をついでやって、お礼に酒をついで貰って。


「そちらの秘書のお嬢様もどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

「護衛の騎士様も」

「うん、ありがたく戴く」


 領主も領民もなく、肩を並べて酒と料理を楽しむ。

 どれだけ規模が大きくなっても、こうして領民とは距離が近い、顔を合わせて話が出来る領主でいたいな。


「では、僭越ながらここで一曲」


 代官の補佐に付いてくれてた役人が笛の練習をしてたらしく、場が大いに盛り上がってきたところで演奏してくれて、それに合わせて輪の真ん中で歌ったり踊ったり、さらに空の木箱を持ち出してきて、叩いて一緒になって盛り上げてくれる者達も出て、これぞ農村の収穫祭って感じになっていった。


 まるでトトス村でも毎年やってた素朴な収穫祭みたいで、ちょっとしんみりしてしまったのは秘密ってことで。


 ただ残念なのは、一箇所に長居できないことだ。


「領主様にはもっとオレ達の作った野菜の料理を食べていって欲しいのに」

「そうそう、もっとオレの酒を飲んで貰いてぇのになぁ」

「オマエら領主様にあんまり無理言うな。他の村の奴らだって、領主様が来てくれるのを待ってんだからよ」

「それもそうだな」

「あんまり引き留めたら、そいつらに恨まれちまうなぁ」


 どの村でも、そんな風に引き留めて貰えてさ、本当に領主冥利に尽きるよ。


「ありがとうな。気持ちだけ受け取っとくよ。また視察で顔を出すからさ」


 そんな感じでほどほどで切り上げて、すぐまた次の町や村へと向かう。

 そうしてレドに乗って飛び立つと、後ろから、小さくクスッと楽しげな笑い声が聞こえた。


「伯爵様、領民達に慕われてる。みんな笑顔で嬉しそう」

「そうだな、ありがたい話だよ」

「うん。私も嬉しい」


 肩越しに振り返ると、エレーナがとても優しい顔で微笑んでて、俺も自然と笑みがこぼれる。

 そんなエレーナの後ろに乗ってるモザミアも、エレーナの横から顔を出して、満面の笑みを浮かべた。


「これまで伯爵様が一生懸命、領民のためを思って領地を発展させてきたおかげですね。惚れ直しました」

「うっ……!」


 不意打ちに思わず顔が熱くなっちゃって、それを見たモザミアがしてやったりの顔で悪戯っぽく微笑む。

 誤魔化すように前を向いて、咳払い一つ。


「早く全部の町と村を回って、王都へ急がないとな」


 今夜は王都へ飛んで、王城の借りてる館で働いてくれてる、メリザやパティーナ達、侍女やメイド、護衛や執事達を、半分、領地に連れてくる予定だ。

 そして二日目を楽しんで貰ったら、その足で王都へ送り届けて、残り半分をまた領地に連れて来て、三日目を楽しんで貰って、その足で王都へ送り届けてと、かなり慌ただしく往復するスケジュールになってる。


「みんな、伯爵様が治める領地を見たがってたから、きっと喜んでくれると思う」

「ああ、みんなには見せてやるって約束したしな。それに俺も自慢したいし」


 一度に全員連れて来られたら良かったんだけど、運べる人数の関係もあるし、館をもぬけの殻にしてしまうのは、防犯上怖いからな。


 それと、本当は姫様とフィーナ姫も連れて来て、一緒に収穫祭を楽しみたかったんだけど……。

 さすがに、王族の二人を連れてくるのは、ね。


 立場上、警備の問題もあるし、領民達と交じって屋台巡りや買い食いをするわけにもいかないし。

 何より、臣下の一人だけ特別扱いするのはあまりよろしくない、って理由が大きい。

 それがたとえ、姫様とフィーナ姫と結婚の約束をしてる俺であってもだ。


 むしろ、ここまで色々目立ってやらかしてるからこそ、そんなことをすれば他の貴族達が煩そうだし。

 本当に残念だ。



 そうして頑張って、日が暮れる頃、ようやく全ての町と村を回り終えた。

 どこもみんな喜んでくれて、回って良かったと思う。


 ただ一つ問題が。

 手を貸してレドから降ろしてやったエレーナとモザミアが、よろけながら青い顔で口元を押さえていた。


「さすがにもう食べられない……」

「ダイエットしないと……」


 苦しそうにお腹を抱えるエレーナとモザミアに、笑いを堪えるのが大変だった。



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― 新着の感想 ―
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  祭り、宴会良いですね。 早くコロナ禍が終息して欲しいものです。
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