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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十七章 フォレート王国とシェーラル王国が動き出して面倒な事になりそう

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494/741

494 収穫祭 1

 予定通り、更新再開します。

 引き続き応援よろしくお願いいたします。


 それと 471 その頃の領地の屋敷にて の後半で、一部モザミアの台詞とそれを受けてのエフメラの地の文を加筆修正しました。

 話の大筋や設定に変更はありません。



 秋も深まり、ちゃんと本来行われる時期に合わせて、領内各地および、ウクザムスの東の街道沿いに広大に広がる小麦を収穫した。


 当然、大豊作だ。

 いつも通り収穫のために雇った大勢の者達が、大歓声を上げるくらいに。


 そうして一通りの作業が終わって落ち着き、少し時期を後ろにずらして迎えた今日。

 ウクザムスの俺の屋敷、その門の前には朝礼台のようなお立ち台が設置され、その脇には、この秋に収穫した様々な作物が山と積み上げられた。


 そのお立ち台に俺が上がると、静まるように言うまでもなく、すぐに陽気なざわめきが引いて、俺に注目が集まる。


 屋敷の周りは大きな広場だ。

 そこに、ウクザムスに住むほとんど全ての住民、駐屯する領兵、役人達、それから他領から来た行商人、旅芸人、その他、およそ七百人近くが集まってる。


 領主として赴任したばかりの半年前は、領地と一緒に引き渡された奴隷達に領兵や役人達を合わせても三百人かそこらだったのに。

 この短期間で、随分と増えたもんだと思う。


 広場はトロルサイズだから、まだまだ広くガランとしてるけど、それでも冷たさの増した秋風に負けないくらいの熱気が感じられた。

 誰も彼も明るくいい顔だ。


「あ~、コホン」


 軽く咳払いをして気を引き締めると、ロクに頼んで広場中、そして大通りの方まで声が届くようにしてから話し始める。


「領主のエメル・ゼイガーだ。この領地を含む南方一帯の領地がガンドラルド王国から返還されたとき、誰もが金はおろか、仕事も、ろくな食料もなく、ボロをまとい、農地も半ば放置され荒れていた。だけど今はどうだ? まだ数は少ないが新しい家が、店が、屋台が建ち並び、住民は倍増した。町の外には広大な畑が広がって、美しい黄金の絨毯のような小麦は大豊作だった」


「「「「「おおーーー!!」」」」」

「領主様のおかげです!」

「ありがとう領主様!」


 大きな歓声が上がって、口々に俺を称えて感謝する声が上がる。


「ありがとう、ありがとう」


 応えて手を振って、まあまあ落ち着けとジェスチャーすると、波が引くように収まっていく。


「みんなは俺のおかげだって言うけど、俺だけの力じゃない。もちろん、俺もみんなのために頑張った。でも、たった半年でここまでこの町が、この領地が発展したのは、俺の頑張りに、みんなが頑張りで応えてくれたからだ」


 その場の全員をぐるっと見回して、声に力を込める。


「だからみんな、胸を張ってくれ! この町を、この領地をここまで発展させて豊かにしたのは、過去を乗り越え、種族や民族の垣根を乗り越え、みんなが手を取り合い、一丸となって頑張ったからなんだと!」


「「「「「おおーーー!!」」」」」


 歓声を上げたみんなの顔が、誇らしげに一層輝く。


「その誇りを胸に、自然の恵みに感謝し、無事に冬を乗り越えられる蓄えを得られたことに感謝しよう! 今日から三日間、祭りの間の飯代も酒代も全部俺が持つ! 俺がこの領地の名物にしたい料理の屋台も用意した! 遠慮せず、たっぷり食って、飲んで、騒いでくれ! さあ収穫祭を始めよう!!」


「「「「「うおおぉぉぉーーー!!!」」」」」


 拳を突き上げる大歓声が上がって、みんな広場や大通りへ我先にと散っていく。

 広場の東側外周と、東門に続く大通りには幾つもの屋台が並び、開店準備を済ませて俺の話を聞いてた屋台の店主達は、すぐさま威勢良く呼び込みを始めた。


 普段から立ってる屋台はもちろん、この収穫祭のために、領兵やメイド、役人から希望者を募って任せた名物料理の屋台、さらに大量に仕入れた酒を提供する屋台には特に、大勢が殺到して列を作っていく。


 その光景を見届けた後、満足感と充実感でいっぱいでお立ち台を降りた。


「伯爵様らしいご挨拶でしたね」


 お立ち台の下で待ってたモザミアは、やや苦笑交じりの笑顔だ。


「偉ぶって上から目線で長々と演説なんて、性に合わないからな。みんなが楽しんでくれればそれでいいんだよ」


 校長の長話なんて誰だって嫌いだし、ましてや俺が俺がの自画自賛を延々聞かされるのなんて苦痛だもんな。

 せっかくのお祭なんだから、何よりみんなが楽しくないと。


 改めて、モザミアに礼を言う。


「順調って報告は受けてたけど、モザミアも役人達もよく間に合わせてくれたな。ありがとう」

「はい、みんなものすごく頑張りました」


 モザミアが誇らしげに、広場で屋台の料理に舌鼓を打つ領民達を眺める。


 そこにいる者達に、もう奴隷の首輪は付いてない。

 収穫祭に先立ち、引き渡された奴隷達を奴隷の身分から解放したからだ。


 元から奴隷扱いなんてしてなかったから、一般市民と変わらない普通の生活をしてたわけだけど、やっぱり首輪が付いてると付いてないじゃ本人達の気持ちは全然違うんだろう。誰も彼もがスッキリ晴れ晴れとした顔をしてる。


 何日か掛かったけど、各町や村を回って解放した甲斐があったってもんだ。

 みんな大泣きして、先に解放されてた者達と抱き合って喜びを分かち合い、乾杯して一足先にお祭り騒ぎに突入してたからな。


 今も、領地と一緒に引き渡されたか後から引き渡されたか、そんなことは関係なく、どの屋台から回るか仲良く相談したり、肩を組んでジョッキを煽ったり、もう誰が先か後かなんて見分けが付かない。

 さらに元からマイゼル王国の国民で他領から移民してきた者達からも、改めて奴隷から解放されたことを祝福されてる。

 すごく一体感を感じる光景だ。


 ただ、残念ながら全員の奴隷の首輪が外れたわけじゃない。

 最初に逃亡した獣人を中心としたゼネガル達、俺に対して盾突いた形になる獣人のグエン達、そして種族を問わず軽犯罪を犯してその刑期の分だけ解放が延びた者達。

 そういった者達には、まだ奴隷の首輪が付いたままだ。

 そこは、自業自得だから仕方ない。


 でも、その自覚があるからだろう。

 変に拗ねたり妬んだりせず、先に解放された者達を素直に祝福してくれた者達がほとんどだった。

 いずれ時期が来れば、自分達もちゃんと解放されるって分かってるわけだし。

 拗ねて(いさか)いを起こして、さらに刑期が延びるような真似をするなんて、馬鹿らしいもんな。


「ボス~! エフメラ~!」


 呼ばれて振り向けば、ハウラが駆け寄ってきて飛び付いてくる。


「うわっぷ!?」


 慌てて抱き留めたけど、ハウラは俺より背が高いし、身体は年上だし、頭に抱き付かれたら顔がダイレクトに谷間に埋まって息が……!


「ああっ、ハウラまた!」

「ぷはっ!? ちょっ、ハウラ落ち着け、な!?」


 エフメラに引っ張られ、俺も引き剥がすようにして、ようやく谷間から顔を出す。


 見上げれば無邪気な満面の笑みだ。

 犬尻尾もバッサバッサと勢いよく振ってる。


 やっぱり、見た目やプロポーションがどうこうより、小さな女の子や大型犬に懐かれてるって感じが強いな。

 中身はまだ八歳か十歳かってくらいだから、収穫祭で普段より一層テンションが上がってるんだろう。


「ボス、エフメラ、ハウラと一緒に屋台回ろう! ハウラ、美味しいの食べたい!」


 うん、本当に無邪気な笑顔で微笑ましい。

 動き出した心が身体の年齢に追い付くには、まだまだ時間が掛かりそうだ。


「ごめんなハウラ。俺も一緒に回りたいけど、まだやらなくちゃいけない仕事が残ってるんだ」

「えぇ~~!」


 膨れっ面も可愛いけど、こればかりは仕方ない。


 それと、エフメラも唇を尖らせて拗ねるなよ。

 エフメラにはちゃんと説明しといただろう。


「あっ、いた! どこに走って行ったのかと思えば……済みませんボス(領主様)


 お、保護者の登場だ。

 グエン、それから赤ちゃんを抱えた奥さん、つまりハウラのお姉さんが連れ立ってやってくる。


「いつもいつもハウラが済みませんボス(領主様)。ちゃんと言って聞かせているんですが、なかなか理解してくれなくて」


 奥さんも恐縮して頭を下げてくれる。


「事情が事情だから構わないよ。慕われること自体は嬉しいし」

「うん、ハウラ、ボス大好き♪」

「そうかそうか、ありがとうなハウラ。俺もハウラが大好きだぞ」

「うん♪」


 心がちゃんと育って分別が付いたら、こうして無邪気に慕って貰えなくなると思うと、それはそれでちょっと寂しいけどね。


「明日なら一緒に回れるから、それまではグエンとお姉さん、それからエフメラと一緒に回っといてくれ」

「えぇ~~!」

「こらハウラ、ボス(領主様)は仕事で忙しいのに、ちゃんと約束してくれただろう? 我が侭ばっかり言ってるとボス(領主様)に嫌われるぞ」

「そうよハウラ。いい子にしないと明日の約束もなしになっちゃうわよ」

「そんなの嫌!」


 渋々俺から離れたハウラが、犬耳と尻尾をへにょっとさせて、上目遣いで俺を見てくる。


「……約束?」

「ああ、約束する」

「うん、約束! ハウラいい子で待ってる!」

「ああ、ちゃんといい子で待っててくれ」


 耳がピンと立って、尻尾もまたバッサバッサ振って、どうやらちゃんと納得してくれたみたいだな。


「エフメラ行こう! ハウラお腹ペコペコ!」


 エフメラの手を掴んだと思ったら、ハウラが猛然とダッシュする。


「ちょっとハウラ!? 速いよ!? 屋台は逃げないから!」

「美味しいの売り切れちゃう!」

「開店したばっかりだから! まだ売り切れないから!」


 引きずられそうになりながら引っ張られて行くエフメラに手を振って二人を見送る。

 グエンも奥さんも俺に一礼すると、二人を追って屋台の方へと向かった。


「いいな……」


 ふと、護衛として控えてたエレーナがポツリと呟いた。

 エレーナの目は幸せそうに歩くグエンと奥さん、そして奥さんに抱かれてる赤ちゃんに向けられてる。


 まあ、その、なんだ……いつかは、な。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんかなぁ。 段々と他の小説と似たような恋愛事情になってきた感じ。 最初はガンガン攻めてて面白かったけど最近は話しを引っ張り気味な気がする。 ハーレムとか言っても結局は姫様たちと結婚し…
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  ほっこり(*´ω`*)
[一言] いよいよ収穫祭まで出来るように…! なにもなかった頃がずいぶん前な気がします。感慨深いですね…。 ヒロイン達も可愛いですし、ハウラの成長が本当に楽しみです。 (修正ですが、前の時でも自分…
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