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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十六章 あれもこれもと領地開発を加速させる、拡大するハーレムのために

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492 エフメラの嫁ぎ先問題 2

「伯爵様。エフメラ様が可愛いのは分かりましたけど、目を逸らさず、もう少し現実的に今後のことを考えましょう」


 気付きたくなかった現実に気付いて思わず唸ってしまった俺に、プラーラがパンと手を叩いて仕切り直す。


「……現実的にって言っても、何をどう考えるんだよ」

「あらあら伯爵様、嫌だからと言って分からない振りをするのはどうかと思いますよ。ここは、伯爵様のお気持ちは一旦脇に置いておいて、メイワード伯爵家としてエフメラ様の婚姻問題をどうすべきか、その方針を考えましょう」

「ぐっ……」


 プラーラにはバレバレ……いや、全員にバレバレだったのか。

 またしてもジト目が痛い。


「ご主人がエレーナと結婚するつもりでいて、サランダの立場が曖昧だとしても、同じ派閥の貴族家に妹ちゃんを嫁に出す意味はないね」


 サランダが俺を見て一瞬言葉に詰まって、目線を逸らして、それから溜息を吐いて、気を取り直したように俺にまた目を向ける。


「わたくしのことはともかく、現状、伯爵に擦り寄ってきている貴族家と政略結婚させる意義はありませんわね」

「本当なら、グルンバルドン公爵派のどこかと婚姻させて、ご主人を派閥に引っ張り込むよう動くべきなんだけど、あんなことを聞かされたら、それはちょっとやりたくないかな」

「他派閥に取り込まれる危険より、相手をこちらに取り込むチャンスでもあるのですけどね」


 苦笑して肩を竦めるアイジェーンに同意するように、サランダがまたしても溜息を吐く。

 まるで俺の不用意な発言のせいで、エフメラの嫁ぎ先候補が一気に減ったと言わんばかりだ。


 いやまあ、事実そうだけど。


「もし伯爵が、殿下にドレスを着せて妻にするなどと言っていなければ、殿下の妃候補にするのが一番メイワード伯爵家に利益がある嫁ぎ先のはずですわ」

「そうですね。エフメラ様をまずどこかの下級貴族家……王室派よりクラウレッツ公爵派の貴族家がいいでしょうか。そこの養女にして貴族令嬢として一度しっかり教育をして、それからクラウレッツ公爵家の養女にして、殿下のお妃にする。そうすれば、王室派、クラウレッツ公爵派、メイワード伯爵派の結束が強くなりましたね」

「それをされたら、グルンバルドン公爵もさすがに困っただろうね。グルンバルドン公爵も養女を取って殿下の妃にしようとするか、妹ちゃんを自派閥に取り込もうとするか、横槍は絶対に入れるはず」


「そんなの絶対に駄目だからな。姫様は『俺の嫁』だ」


 そんなこと言われなくても分かってるって言わんばかりに、また溜息を吐かれてしまった。


「こう言っては不敬ですけれど、殿下が王太子の座を譲られて王位継承権を返上されてしまった以上、政略結婚相手としての価値は大きく下がってしまわれましたし、伯爵と結婚の流れは、もはや止めようがありませんものね」


 その通りだ。

 余計な口を挟まれたり横槍を入れられたりしないよう、これまで立ち回ってきたんだからな。


「現状、国内のどの貴族家も難しいとなれば、他国の貴族でしょうか?」

「ちょ!? モザミア!?」

「そうですわね。国内の貴族とはまた違ったメリットがありますわね。マイゼル王国全体はもちろん、とりわけメイワード伯爵領の輸入品目で最も有益な品を特産としている国と地方の貴族と婚姻関係を結べれば、政略結婚としては大成功になりますわ」

「おいおいサランダまで! 余所の国に嫁に出すとか冗談じゃないからな!」


 エフメラがそんな異国の地に嫁いだなんてことになったら、心配で心配で心配で心配で、仕事なんかなんにも手に付かなくなるに決まってる!

 って言うか、毎日でも様子を見に行かないと落ち着かない!

 いやそれ以前に、エフメラをそんなところに嫁にやるわけないだろう!


「あらあら伯爵様、落ち着かれて下さい。例えばの話ですよ」


 いやまあ、そうだけど……。


「そんなに余所へ嫁に出すのが嫌でしたら、身近な方ではいかがですか?」

「身近な方?」


 プラーラが頷いて別の意味で爆弾発言をしてくれる。


「例えばナサイグさんやユレース様、ウルファーさんも良い候補でしょう」

「はあ!?」


 でも、驚いたのは俺だけだったらしい。


「あ~確かに。ご主人には悪いけど、ユレース様ならジターブル侯爵家って『力』と王室派のしっかりした後ろ盾があるし、三男ならメイワード伯爵派に引っ張り込むのも容易そうだね」

「そうですわね。その三人の中では一番の候補先かと。殿下方とジターブル侯爵家へ働きかけて、ユレース様を子爵……下のお兄様が子爵に叙爵されていましたわね。ジターブル侯爵家ばかりといらぬ嫉妬を買ってかなり難しそうですが、男爵に叙爵されるよう手を回し、新しい貴族家を興して、メイワード伯爵領に隣接したいずれかの領地を(たまわ)れるようにすれば、他家や他派閥との政略結婚と比べればメリットは控え目ながら、メイワード伯爵派にとって大きなメリットになりますわ」


 確かにそれなら、毎日だってひとっ飛びで様子を見に行ける距離だけど、あの、どこか軽い調子のあるユレースにエフメラを取られるなんて、納得がいかない!

 って言うか、顔が見えない他の貴族や他国の馬の骨に比べて、具体的に想像出来る分だけ滅茶苦茶嫌だ!


 ユレースが悪いんじゃない。

 結構仕事は出来るし、エレーナとの件では相談に乗って貰って感謝もしてる。

 でも、そういう問題じゃない!


「ナサイグさんも元は伯爵家の方ですし、実家は反乱を起こして取り潰しになりましたけど、それ以前にその怪しい動きを報告して、伯爵様の、ひいては王家の側に付いたわけですよね。その経歴で色々と横槍を入れてくる貴族もいるかと思いますけど、男爵位か騎士爵位を王家から(たまわ)れば、王家は許している、伯爵様も自身の右腕として信頼していると、太鼓判を押したようなものですよね」

「確かに、そういう意味ではナサイグ君はユレース様以上に、問題なくそのままご主人の派閥の貴族家になれるね」


 確かにナサイグには色々助けて貰ってるし、いい奴で信頼出来るし、ナサイグが功績を挙げる、って言うか、その働きぶりが認められれば、いずれ男爵位か騎士爵位を与えて新しい貴族家を興してもいいって話は、俺の執事として俺の保護下に入る時に、姫様や軍部からも上がった話だ。

 俺の妹のエフメラとの結婚を認めるってことは、それだけ信頼が置ける、いつ爵位を与えても問題ないって、俺が太鼓判を押したことにもなる。


 ナサイグにとってはいい話かも知れないけど……。

 やっぱりそういう問題じゃない!


「ウルファーさんは元から平民の出で、伯爵の妹とはいえ平民のエフメラさんと結婚したとしても、爵位を(たまわ)ることはありませんわ。その三人の中では、一番候補としては弱いですわね」

「貴族家を興す、他派閥から取り込む、って方法でメイワード伯爵派を大きくするって意味ではサランダの言う通りだね。でも、メイワード伯爵領の財政のほぼ全てを預かっているから、領地の安定を考えると、妹ちゃんと結婚して、絶対に裏切る心配がないって保障が出来るのは大きいかな」


 この言い草、アイジェーンもウルファーがいつか俺を裏切るって見てるわけか。

 ウルファーに今すぐそれをする兆候はないけど、今の内に鎖で繋いどけば安心だって言いたいんだろう。


「ウルファーさん、ものすごく優秀ですからね。伯爵様が次々に領地開発の計画を立ち上げて、その予算をひねり出す無茶な仕事を毎日のようにさせられて、よくこの領地は破綻しないものだって、正直かなり感心して見ていますから」

「うっ……」


 モザミアの同情する溜息が、チクリと刺さってくる。

 俺の秘書兼文官としてウルファーとも予算案でやり合う仲だろうから、その込められた実感が半端ない。


「確かにそれは認めますわ。このたった半年程度で、一体何十年分の開発をしているのかと、内心呆れていますもの。させる方もさせる方なら、なんとかしてしまう方もしてしまう方ですわ」


 確かに、俺がここまで領地開発を一気に進められたのも、ウルファーの存在が大きいだろう。

 それは認めるところだ。

 だから、出来れば裏切らず、このまま俺の領地で働き続けて欲しい。


 でも、そんなことのためにエフメラとの結婚は認められない!

 本当にもう、そういう問題じゃない!


「本来でしたら、どれも良縁のはずですが……伯爵様は、どなたもお気に召さないようですね」


 プラーラは方針が決まらないって困ったように微笑むけど、だってしょうがないだろう。

 エフメラを他の男なんかにやれるわけがない!


 腕組みして、断固拒否の態勢を取った俺に、モザミアがずいと一歩迫ってくる。


「じゃあ、どうするんですか? このままだと、エフメラ様は一生結婚出来ませんよ。それとも本当に、伯爵様と兄妹で結婚するんですか?」

「うっ……それは……」



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[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  もう、主人公氏は腹をくくるしかないですね!(*´・ω-)b
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