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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十六章 あれもこれもと領地開発を加速させる、拡大するハーレムのために

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478 特務部隊の試験と面接

 モザミアに任せた、ウクザムスと第三次侵攻部隊迎撃作戦跡地の資料館の、貴族向けと一般向けそれぞれの施設の設計と建設。

 およびそれらに必要な展示物や道具類の設計と発注。


 各町や村に温泉を引くための掘削地点の選定と、温泉施設の設計と建設。


 オリーブと胡麻、テンサイ、それぞれの搾油所と砂糖工場の設計と建設。

 それぞれを栽培するための農地の選定、農家の人員の確保と面接。

 および農家の家と農具類の設計と発注。


 天然樹脂の利用方法および加工技術の研究のための研究所の設計と建設。


 それら資料館、搾油所、研究所、砂糖工場、温泉施設で働く人員の確保と面接。


 資料館に展示する資料の内容……当時の状況を知るのは、当事者の俺と、作戦の詳細や戦況の推移を把握してるグルンバルドン公爵領軍のトップ陣だけだから、俺自身が用意、またアポを取って出向き聞き取り調査をして、資料の作成。


 資料館と温泉施設で働く人員の、日本人的おもてなしの心と、貴族相手でも対応出来る礼儀作法の修得のための教育マニュアル作成と、指導者の手配と育成。


 搾油所と砂糖工場と研究所で働く者達に、守秘義務に加えて企業コンプライアンスを徹底させるための指導要綱の作成と、指導者の手配と育成。


 そしてそれらに関する予算会議と、申請書の決済。


 進捗状況の報告書の確認と、状況に応じての追加指示。


 自分で始めたこととは言え、指折り数えるだけでうんざりする程の新しい仕事が激増した。


 現場……担当する役人達、発注先の商会および下請けの者達からは、やってもやっても次々に仕事が舞い込んできて終わらない、かといって適当に手を抜いてのんびりマイペースでやると仕事が山積みになって手に負えなくなる上、俺からの評価が下がり、今後の重要な仕事の割り振りや受注競争から弾かれて稼ぎのチャンスを失う、って悲鳴が上がってるらしい。


 つい、張り切りすぎたかも知れない……。


 これらに加えて、とても数日じゃ済まないだろう、オリーブと胡麻とテンサイの栽培実験を繰り返し行って、メイワード伯爵領に適した栽培方法を模索する作業もある。


 そうそう、秋も深まってきて、そろそろ本来の収穫の時期を迎えるし、さらに収穫祭の準備もあった。


 働き過ぎってナサイグにもプラーラにもモザミアにも、そして俺のことを一番よく知ってるエフメラにさえ心配される始末だ。


 俺には、仕事をして働き過ぎてるって意識はあんまりないんだけどね。

 内政要素が充実してる領地経営SLGや、ハーレムが売りのギャルゲーの攻略をやってるような感覚の方が強いから。


 もちろん、ユニとキリに頼んで回復魔法でがっつり疲労回復してるし、そのためのエネルギー消費が激しいから食事量も増やしてるおかげで、現状特に問題はないんだけど。


 嬉しい誤算だったのは、俺を心配したエフメラが、よく手料理を作ってくれるようになったことかな。

 メイド達と協力して腕も上げてきてるみたいで、妹の手料理には毎回ほっこりと癒されてるよ。


 そういう活力って、大事だもんな。

 褒めて撫でると照れて大喜びするし。

 それがまた可愛いから、二度癒されるし。


 それを見て、モザミアも対抗して手料理を作ってくれる機会も増えて、それはそれで照れるって言うか……ちょっと嬉しい。


 それはそれとして。


 現状、ビール工場とガラス工房の建設に着手して、着々と工事は進んでる。

 工期短縮のため要所要所で俺も手伝ってるけど、出来れば早く特務部隊を形にしてしまいたい。


 ビール工場とガラス工房の建設に間に合わないようなら、資料館、搾油所、砂糖工場、研究所の建設の手伝い、そして警備の人員として、早く稼働して貰いたいからな。


 そのためには、何を置いても科学的知識を身に着けて、様々な俺のオリジナル魔法を使えるようになって貰うこと、そして、分別の割合を高めて魔法の効率を上げ、実働時間を増やして貰うことが必要だ。


「それでこれが、特務部隊への参加希望者の履歴書か」

「はい、最新の資料です」


 新たに観光事業を担った傍ら、ちゃんと秘書としての仕事もしてくれてるモザミアが、二種類の履歴書を机の上に並べる。


 履歴書、つまりは奴隷達の調書から書き起こして、現状どんな仕事をしてるのか、および特務部隊への参加動機なんかを色々とまとめてくれた、俺が指定した履歴書形式の書類だ。

 他領から来た移民の希望者については、戸籍として取った調書から以下同文。

 その二種類だ。


 奴隷達および元奴隷達からの希望者は、マージャル族の三十人を加えて、全部で八十五人。

 移民からの希望者は、全部で百七十八人。


 現時点で信頼して採用できるのは、俺を精霊王と崇めて忠誠を誓ってくれてるマージャル族の三十人だけ。

 その三十人については、面接は免除だ。


 免除って言っても、すでにウクザムスの資料館のために周辺の建物の解体作業を見学、手伝いをさせた時、キリがまとめてチェックしてくれてて、問題なしの太鼓判を押してくれてるから、すでに終了済みってわけだな。

 不公平感をなくすために、試験だけは受けてもらうけど。


 だから後、二百三十三人の試験と面接を行う必要がある。


「早いほうがいいから、特務部隊の選抜試験と面接は四日後にしよう。希望者にはそう通達しといてくれ。ああ、マージャル族の方はいい。そっちはリジャリエラにその旨を通達して貰うから」

「分かりました」



 そうして四日後、まずは試験でふるい落として、続けて面接を行った。


 試験内容は、どれだけ精霊力をコントロール出来るのか、そしてどんな魔法を使うことが出来るのか。

 現時点の実力より将来的な成長の可能性の方を重視する、との審査基準を設けて、それを最初に通達しておいた。


『あいつより俺の方が実力は上なのに、なんで俺が不合格なんだ!?』


 って文句を受け付けないためだな。


 もちろん、それでも文句を付けてくる奴はいる。

 中にはかなり必死になって、あれやこれやと屁理屈をこね回したり、数を頼みにしたりして、自分を合格させろと迫ってきた奴らもいた。


 だから、そういう奴らには、ちょっと凄んで言ってやったんだ。


「お前らが俺より精霊魔法の実力が上で、俺より精霊力の感知とコントロールが優れてて、俺にしか分からない秘めた可能性を、俺以上に見抜けるって豪語するんだな?」


 ってさ。

 そうしたら、全員、一発で黙ったな。


 ちなみに、その審査基準、って言うか、実は試験それ自体がフェイクだ。

 試験結果にはなんの興味もない。


 だって、俺が指導すれば何倍も、それこそ十倍以上の実力を身に着けられるんだぞ?

 現時点での実力が、一.〇か、一.一か、〇.九かの違いなんて、誤差だろう?

 こだわる意味がない。


 本当の試験はキリによるチェックだ。


 俺は試験官としてリストに合否のチェックを入れながら実力を測ってると見せかけて、キリに意図を探って貰って、他国や他領の貴族、またはどこかの商会や裏組織の紐付き連中を、軒並み調べて落としていった、ってわけだ。

 つまり、試験の(てい)を取った一次面接だな。


 その一次面接を通過したのは、奴隷達、元奴隷達の五十五人から四十三人。


 落とした十二人は、この領地から帰国事業で出て行くつもりだった連中で、例えばフォレート王国やシェーラル王国の工作員と接触した形跡があって、秘伝を盗むために潜り込もうとしてた奴とか、それ以外の国の以下同文、および秘伝を手土産に他国で仕官しようって目論んでた奴とかだ。


 移民達の百七十八人からは、二十一人。


 落とした百五十七人は、全員どこかの紐付きだ。


 と言うわけで、一次面接を通過したのは、全部で六十四人だった。


 正直言って、予想より多かった。

 マージャル族を含めて九十四人が、特務部隊の候補の候補になったんだから。


 それからその六十四人と個別に面接をしたんだけど、奴隷達、元奴隷達は、俺に助けられた恩返しをしたい、生活のために今の仕事を始めたけど向いてないから別の仕事をしたい、もっと精霊魔法を使えるようになりたい、などが主な理由だった。

 移民達も、移民して仕事を始めたはいいけど、屋台はライバルが多くて売り上げが落ちてきてるから、人足や雑用じゃなくてもっとちゃんとした仕事がしたいから、って理由が多かった。

 後者はグルンバルドン公爵領からやってきたスラム出身に多い理由だったな。


 そうして試験と面接を合格した九十四人を集めて、合格おめでとう、から始まる訓示を色々として、全員をメイワード伯爵領軍の訓練に放り込んだ。

 いざ戦争になれば、即応部隊、遊撃部隊として働いて貰う必要があるし、重要な施設の警備ともなれば、侵入者との戦闘は避けられない。

 その覚悟と実力が必要だからな。


 結果、脱落者が続出した。


 人を傷つけるのが怖い、傷つけられるのが怖い、そういう者が一定数いたからだ。

 頭ではやってやるって思って希望したんだろうけど、実際にやる段になって尻込みして駄目だった、ってわけだな。

 また、特に奴隷達、元奴隷達の中に多かったけど、いざトロルと事が起きたとき、トロルに逆らうのが怖い、って者も一定数いた。


 そういう者達に無理強いはしたくないからな。


 俺も好きで慣れたわけじゃないし。

 トトス村を襲ってきた盗賊や大っぴらに所属を言えない者達の理不尽な暴力から、村や家族を守るために戦わざるを得なかった、ただそれだけだ。


 だからここで脱落した者達は、オリーブ、胡麻、テンサイ農家や、資料館、搾油所、砂糖工場、研究所で働かないか、勧誘してみた。

 概ねいい返事を貰えてるんで、きっとしっかり働いてくれることだろう。


 こうして、最終的に残ったのは、マージャル族三十人を含む奴隷達、元奴隷達から五十二人と、移民達から十一人で、全部で六十三人だった。



「思ったより大勢残ったな」

「そうですね。残った者達は、みんな士気が高いです。マージャル族のやる気の影響が大きいと思います」

「ああ、まあな……」


 精霊王様呼びとか、崇拝とか、変な影響が出ないといいけど……。


「ともかく、これで特務部隊の候補が揃った。これから本格的に領軍で精霊魔術師部隊として訓練させて、読み書きは当然、まずは一般教養程度の勉強もして貰おう。ここからはそう大勢脱落者は出ないと思うけど、それで残った連中を、特務部隊として正式に採用する」

「分かりました。そのように通達しておきます」

「ああ、頼む」


 これでしばらく、特務部隊候補が一定のレベルに達するまでは、ほとんど領軍にお任せで大丈夫だろう。


「それで勉強に関連してだけど、インブラント商会に頼んでた、読み書きや一般教養を教えられるだけの教養があって、メイワード伯爵領(うち)で私塾を開いてもいいって人は見つかったのかな?」

「オルブンさんからの連絡では、三名ほど候補がいて、現在交渉中だそうです」

「そうか。来てくれるといいな」


 普段は私塾を経営して、領内の識字率や教養レベルを少し上げて貰いたいからな。

 民主主義への移行はともかく、領民達も多少は教養を身に着けた方が、日常生活の中でより精霊魔法を効率よく、さらに自分なりの魔法を考案するのに役立つだろうし。


 そして将来的には、そうした者達の中からも役人を採用したいしな。

 現状、紐付きじゃないとは言え、他領から引っ張ってきたり、奴隷として引き渡された他国出身の者達ばかりだから、メイワード伯爵領を故郷って帰属意識を持つ役人の割合を増やしたいところだ。


「ところで伯爵様」

「ん、どうした?」

「今夜の食事はアタシが作ろうと思っていますが、リクエストはありますか?」

「そ、そうか。そうだな……ペペロンチーノで」


 オリーブオイルが手に入ったから作れるようになった、俺が考案した、ってことになってる新しい料理だ。


「はい、ペペロンチーノですね、お任せ下さい♪」


 うっ、滅茶苦茶いい笑顔だな。

 晩飯、期待出来そうだ。



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