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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十五章 領地経営が順調でどんどん身の回りが騒がしくなる

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448 領民精霊魔術師育成計画は次の段階へ

 日を改めて、主だった者達を執務室に集める。

 領民達を精霊魔術師として育成するのに、新しいシステムを導入するためだ。


「新しいシステムって言っても何も難しいことをしようってわけじゃない。まず一つ目は、五日に一度の勉強会で、主に俺とエフメラとモザミアが担ってる指導役を一緒に務めてくれる人材を確保して、十分な指導が行き渡るようにしたいんだ」


 理由はモザミアが言ってた通り、参加者が増えすぎて、俺達だけでは目が届かなくなってきてることが一番に上げられる。

 家族や仲間同士で教え合うにしても、限界があるからな。


 それら説明が終わると、ウルファーが最初に手を挙げる。


「閣下、質問をよろしいでしょうか。それは指導役として雇用するのですか? もしそうである場合、勉強会以外の時間での仕事はどのようなものになるのでしょう?」


 給与が関係するからか、いい質問をしてきたな。


「正規雇用って言うより、勉強会の時に限ったアルバイトだな。ボランティアでもいいんだけど、責任を持って指導して欲しいから、能力に応じて給与は出そうと思う。だから、普段は本業をして貰って、勉強会の時だけ副業で手伝って貰うって感じになる」


 普段の生活や商売に影響が出ないよう、勉強会の時間は三十分程度だから、時給で考えれば、その半分の額ってことになる。


「お小遣い程度の額にしかならないけど、俺やエフメラレベルでの本格指導をして貰うわけじゃないんだから、その程度で十分だろう。それに資格が必要な仕事じゃないから、最初に指導方法の研修をちょっと受けて貰えば、誰でも十分にこなせるはずだ」


 それから月ごとの契約にして、それぞれ月末に本人の意思を確認して、もし辞めたいなら一ヶ月前にはそれを伝えて貰えれば、人数の把握もしやすい。

 もちろん、不測の事態で続けられなくなることもあるだろうから、そこは融通を利かせるってことで。

 そして一度辞めても、またやりたくなったら、改めて契約してやって貰えばいい。


 うん、こういうルールを決めると、本当に五日に一度の短時間バイトって感じだな。

 それらを語って聞かせるとみんな納得してくれたみたいだ。


「だとすると、これまでの閣下、妹君、ククード(モザミア)様のこれまでの働きに対する報酬はどうなさいますか? 同様に副業として給与が発生すべきかと思いますが」

「ああ、それもちゃんと考えてる。俺については別にいい。領主の俺が領民の生活向上の政策として始めたわけだからな。高貴なる者に(ノブレス・)は義務がある(オブリージュ)ってことで、特権を貰う代わりに領民へ還元する義務の一環って扱いでいい。だけど、モザミアとエフメラに対しては、遡って労働した日数分、給与を払ってくれ。他に指導を手伝ってくれた者達にもな」


 でないと、これから頼む連中に、副業として給与を出せなくなってしまう。

 ルールは可能な限り厳正に適用しないと。


「伯爵様、それでしたらアタシも給与は結構です。しがない男爵家の娘とは言え、これでも貴族の端くれですから。伯爵様には十分なお給料を戴いていますし、アタシも貴族の義務として、領民に還元します」

「いいのか?」

「はい」


 迷いなく、貴族として義務を果たせることが誇らしげな、実に堂々とした態度だ。

 貴族がみんなモザミアくらい貴族の義務を果たすことに誇りを感じてくれてるなら、世の中もっと暮らしやすくなるだろうに。

 実際には、大半が真逆の連中ばかりだ。


「分かった。モザミアのその気持ち、領主として嬉しいよ」

「いえ、貴族の娘として当然です」


 こういう清廉潔白なところ、気持ち的にも実務上でも、本当に助かってるよ。


「ただまあ、こうして文句も言わずにしっかり手伝ってくれるから、ついモザミアなら手伝ってくれて当然みたいに考えちゃって、甘えて頼っちゃうんだよね。おかげで勉強会も、なあなあで手伝わせちゃってたし」

「えっ、伯爵様……アタシに甘えて頼ってくれていたんですか……!?」


 ぱあっと顔を輝かせて、ピョンピョン飛び跳ねて、嬉しそうに笑いながらドレスを翻してクルクル舞い踊る。

 で、俺達の視線に気付くと顔を真っ赤にして、慌てて咳払いして取り繕った。


「コホン、失礼しました。嬉しさの余り、つい」


 うん、思わず素が出ちゃったって感じだったな。

 そんなリアクションされて喜ばれると、俺としてはちょっと気恥ずかしいんだけど。


「と、ともかく、伯爵様のお手伝いをするのがアタシの使命で望みですから、これからいくらでも甘えて頼ってくれて構いません」

「ああ、ありがとう。これからもよろしく頼むよ」


 素が出ちゃったのは見なかったことにして、そう頷いておく。

 さて、気を取り直して話を先に……ってその前に。


「エフメラの給与は本人に直接渡すんじゃなくて、俺が一時預かるから。多分、なんだかんだで結構な額になるだろうし、エフメラに大金を持たせるのはまだ早い」

「分かりました、ではそのように」


 ウルファーがクスクス笑いながら頷いて、みんなも妙に生温かい目で俺を見てくる。

 だって仕方ないだろう、お兄ちゃんなんだから。


 軽く咳払いして誤魔化してから話を先に進める。


「指導役の条件は、実力があって、俺が教えたことをちゃんと理解してて、真面目にこなしてくれて、教え方が上手なこと。実力の基準は、契約精霊持ちであること、かな」

「人数はどのくらいにしますか?」

「そうだな……まずは試しにウクザムス限定で十人から十数人ってところかな」


 なんだかんだで、これまで勉強会を続けてきたおかげで、チラホラと精霊と契約出来た者が目に付くようになってきた。

 全体の人数が増えてるだけに、割合としてはそれほど多くないけど、ウクザムスだけでも三十人弱くらいにはなってる。

 他の町や村も合わせれば、優にその倍以上はいるだろう。


「他の町や村についてはその結果を踏まえて導入することにして、人数が少ない村は現状でも回せてるから無理には必要ないけど、足並を揃える意味で一人とか二人とか、人数が多い町は参加者の規模を考えて数人から十人程度ってところで」

「分かりました」


 大枠としてはこんな感じだろう。


「土壌改良やグラビティフィールドみたいな科学的知識が必要な魔法は、これまで通り俺とエフメラで希望者を集めて別途指導する必要があるから、その間の全体の統制は、そのままモザミアに頼む。モザミアは個別に指導するより、指導役の監督って意味合いが強くなるかな」

「はい、分かりました」


 なんだかんだでモザミアは、精霊と契約出来てから一年も経たないけど、こっちに来てからもちょくちょく質問してくるし、勉強会が始まってからは、人に教えることで自分の勉強になってるみたいで、腕を上げてきてるからな。

 さすがにまだ一流の精霊魔術師って呼べるほどじゃないけど、いい感じで育ってきてくれてると思う。


「勉強会について、他に何か質問はあるか?」


 特になさそうだ。

 これで一つ目は大丈夫かな。


「じゃあ、次に二つ目だけど」


 そこで一旦言葉を切って、それから改まった口調で切り出す。


「一つ目の指導役とは別に有能で信頼出来る人材を募集して、勉強会とはまた別枠で精鋭精霊魔術師として訓練しようと思う」

「っ!? それは王国軍の精霊魔術師部隊で指導したのと同じように、伯爵様の秘伝を教えて指導するんですか!?」


 モザミアが目を丸くして驚くと、他の全員がどよめいた。


「ああ、そのつもりだ」


 俺が頷くと、どよめきが大きくなる。


「もちろん、実技と面接で審査は厳重に行って、実力は元より、何より信頼出来る者を厳選して、その上でマインドロックをかけて秘伝の内容が漏れないようにする。これは、精鋭精霊魔術師として正規に雇用するんで、今やってる仕事は辞めて貰うことになる」

「つまり精霊魔術師部隊として領軍に所属することになるわけですね?」


 ユレースの確認に、頷きを返す。


「ただ、領軍に所属するって言っても、役目に応じて部隊は二つに分ける。一つは、従来の領地防衛や戦闘を仕事にする、精鋭精霊魔術師部隊だ。こっちは俺が育てた王国軍の精鋭精霊魔術師部隊と同じだな」


 ここまでは、みんなも頷く。

 俺が王国軍の精鋭精霊魔術師部隊を育てたことで、その実力が普通の人間の十倍を超える程になってるって話は、かなり広まってる有名な話だし、この領地で公職に就いてる者で知らない者はいないだろう。


「もう一つは、俺直属の特務部隊にする」


 これには、さらにみんな大きくどよめいた。


「あ、俺直属の特務部隊って言うとちょっと大げさに聞こえるけど、俺の手足となって臨機応変にあれこれ働いてくれる、俺の権限で自由に動かせる部隊って意味だ」


 特務部隊って言い方をするとなんかすごい精鋭部隊に聞こえるけど、実態は、便利な何でも屋の雑用係だな。

 誤解されないようにその辺りを説明してから、具体的な任務について説明する。


「俺の手足となってやって貰うことは、多分かなり多岐に渡ると思う。今のところ俺が想定してるのは、例えばビール工場やガラス工房その他、俺が興した重要な産業に関わる建物や公共施設なんかの急いで建てる必要がある建物の建設、トンネルや街道なんかのインフラ整備工事、その手の仕事で俺とエフメラを手伝うとか施設を警備をするとか、そういったことだな」

「情報の秘匿が必要な作業や、エメル様が秘密裏に進めたい作業に従事させると言うことですね?」

「ああ、ナサイグの言う通りだ」


 何より、俺が考えてるアレ(・・)の生産が始まったら、その施設は当然、作業に関わる職人達の護衛兼監視を徹底して厳重にして貰わないといけないからな。

 アレ(・・)が世に出たら、敵味方、国内外問わず、ちょっかいをかけてくる連中が掃いて捨てるほど湧いてくるのは確実だ。


「他にも、俺が思いつきでやり始めたことに、人手として参加して貰うことになる」


 一部で、うわぁ、って嫌そうな、または同情するような顔をした奴がいるけど、多分、実態はそんな感じになると思う。

 俺の無茶ぶりに振り回される、ある意味で貧乏くじを引く連中の集まりだ。


「それに加えて大事なのが、もし万が一災害が起きたら、その対処や復旧作業にも従事して貰うことだ。そして戦争ともなれば、即応部隊としての出撃や、遊撃部隊として危険な任務に就いて貰うこともあるかも知れない」


 所属は領軍になるから、他の部隊と連携して、自衛隊の災害救助みたいな活動や、領地防衛にも従事して貰うことになる。


「後から他にも仕事を思い付くと思うけど、そんな感じに俺の要望に応えてくれる、個人的に動かせる精鋭精霊魔術師の部下が欲しいわけだ」

「それはそれで、なんでも高いレベルでオールマイティにこなせるすごい部隊になりそうですね」


 ナサイグが感心したように、しみじみと頷く。


「俺も、出来ればそうなって欲しいかな」


 そしてその部隊の中核は、主にマージャル族に担って貰うつもりだ。

 内包する精霊力、忠誠心、さらなる庇護の対価と、色々都合がいいからな。


「概要は分かりました、部隊と予算を組めるように準備しておきます」

「ああ、ユレース頼んだ」


 これで、大体話しておきたいことは話したかな。


「以上、みんなもそのつもりで頼む」

「「「「「はい」」」」」


 会議を終えて、みんな執務室を出て行く。

 特にユレースとウルファーは、部隊の編成と予算をどうするかを話し合いながら、急ぎ足だ。

 二人にはまた仕事を増やしちゃうけど、よろしく頼みたい。


「さて――」


 今日の書類でも処理しようかと執務机に向かおうとしたところで、ふと視線を感じて振り返る。


「――モザミア?」


 さっきまでの上機嫌から一転して、すごく不服そうな顔で、きつい視線を俺に向けてきていた。



 いつも読んで戴き、また評価、感想を戴きありがとうございます。


 また、誤字脱字報告ありがとうございます。

 ただ、単純な誤字脱字は修正していますが、キャラの口調、言い回し、表現上の問題などは全てを対応出来るとは限りません。

 特に、第一話からずっと使っている口調や表現を、唐突に一部だけ修正するわけにもいきませんので。

 そこはご理解とご了承戴きますよう、よろしくお願いいたします。


 励みになりますので、よろしければブックマーク、評価、感想など、よろしくお願いいたします。


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