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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十四章 奴隷達が引き渡されてトロルと交易を始める

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426 難民キャンプ視察

 すぐさま乗り込むと獣人達を調子に乗らせるからってモザミアが主張するんで、少し日を置いてから難民キャンプの視察を行った。

 報告は受けてたけど、やっぱり自分の目で見て確かめることも必要だからな。


「伯爵様、視察お疲れ様です」

「ああ、ユレース、悪いけど案内を頼むよ」

「お任せを」


 すでに一部の農民や鉱夫や職人達、および屋台や露店なんかの商売をしたい者達は、領内の各地の町や村へ割り振られて、代官の指導の下、新しい生活を始めてる。


 酒造り職人やガラス職人のように、施設から建設しないと駄目な業種の希望者は、報告が上がってくる都度、許可不許可を出しといたから、身の振り方を決めてもすぐに仕事を始められた者達ばかりじゃないけど。


「他に、ガジ商会から、高級宿で働けるだけの教養があって立ち居振る舞い出来る者がいたら従業員として欲しいとの相談を受けたので、さすがに他種族ばかりになりましたけど、かつて貴族家で侍女をしていたとか、城仕えの経験があるとか、そういった者達の中から前向きな者達を紹介しました」

「それはいいな。奴隷達を雇用して貰えるのは助かるし、もし他国の大商会や貴族が来て宿泊する際、その国出身の従業員がいれば接客を期待出来る。その上でガジ商会には、他国や他種族のやり方で良いところは取り込みながら、マイゼル王国の流儀に合った教育をしっかりするよう言っといてくれ」


 他国の客相手のことも考えとくべきだけど、一番多いのは間違いなくマイゼル王国出身の客だ。

 色々と常識やマナーが違うだろうから、従業員がしっかりマナーを守って丁寧に接客したつもりでも、客側がそう受け取れなかったら困るわけで。

 そういったトラブルの目は、事前に潰しておくに限る。


「それと本格的に営業を始める前に、奴隷の首輪をどうするか相談するように、とも」

「分かりました。従業員が奴隷だと、馬鹿な貴族達が無茶をする可能性がありますからね」

「そういうことだ」


 また、帰国希望者と、領民として残る希望者もあらかた分かれて、去就を決めかねてる奴は随分と減ってきたようだ。

 ここは急かすつもりはないから、文官達に相談しながらじっくり決めて欲しい。


 そして帰国希望者達も、当然道中の路銀は必要なわけだから、日雇い労働者のように、建築現場での人足なんかの仕事を始めてる奴もいて、難民キャンプに張られてるテントの数は、目に見えて減っていた。


「最初はお湯で身体を洗う習慣がある者達はほとんどいなくて、かなり戸惑いが大きかったみたいですけど、夏場ってこともありますし、汗を流してさっぱり出来るのが受けたようで、日に日に愛好者が増えています」


 トイレやシャワーも頻繁に使われ、また綺麗に清掃されてて、衛生面での問題は特になさそうだ。


 何しろ、夏の真っ盛りで暑いからな。

 身綺麗にして、設備は清潔に使って欲しい。


「別の町や村に移動した者達から、シャワーが欲しいとの陳情もあって、そこは伯爵様の精霊魔法のおかげだから、伯爵様と相談してからになる、と返答していますが……」

「うーん、そうだなぁ……」


 ここで配置してる特殊な契約精霊達を、そのまま各町や村に移動させて、そのまま使えばいいと言えばいいんだけど……。


「……ちょっとあちこち調査して、温泉でも掘り当ててみるか?」


 東京でも、何百メートルか何千メートルか掘れば温泉が出てたんだ。

 ここらは火山帯じゃないけど、地下深くなら、地熱で温められた地下水があるはず。


 何しろこの山脈は、どうやら地下水が豊富みたいだからな。

 探し当てて試掘するだけなら、モスとサーペに協力して貰えばすぐだろう。


 後は、掘る場所と、その上に建てる施設をどうするかだな。

 ただ、今すぐそれをするには、ちょっと仕事が立て込んでる。


「今すぐ対処は難しけど、何かしら検討してみるから、しばらく待つように言っといてくれ」

「えっ!? なんとかなるんですか!?」

「確約は出来ないけど、当てはあるんで試してみてからな」


 最悪、水の精霊と火の精霊と契約出来た者達をお湯出し係として雇って、小さな銭湯みたいな公衆浴場を開設するんでもいいだろう。

 俺も普段は自分でそうして風呂に入ってるしな。


 さらに、倉庫を見て回って、物資に不足はないか、輸送計画に問題はないか、担当者に話を聞いて、問題があれば解消出来るよう指示を出す。


 そうしてユレースに案内されてると、奴隷達の中には、俺を見て頭を下げたり感謝の言葉をかけてくれる者達がそれなりにいた。

 キリが気持ちを前向きにしてくれたおかげか、全体的な雰囲気は、引き渡された当日より明るく活気がある気がする。


 まあ、俺が人間だってことや、まだ十五歳の若造ってことで、反発したり、反感を抱いたりしてる連中が一部、いないわけじゃないけど。

 そういう連中は、無理にこの領地に残らず、他の領地や他国に出て行って貰って構わないんで、早々に身の振り方を決めて、そのための行動を起こして欲しいもんだ。


 それから、牢屋に放り込まれた馬鹿者どもを説教して脅して、改心するならよし、そうでないなら鉱山送りか、最悪ガンドラルド王国へ追放だって、改めて俺から最後通牒を突きつける。


 さらに、実務に当たってくれてる、俺の領地で雇用してる役人達や、王家から借りた役人達を(ねぎら)ったり、話を聞いたりする。


「いやはや、メイワード伯爵の考案された事務処理は、実に画期的でしたな。一部の処理方法や書類は、是非王城でも採用したいのですが、ご許可を戴けませんか?」


 王家から借りた役人達は、調書のチェックシートやそのファイリング方法、そして一部の書類の書式について、いたく感動したみたいだ。

 俺が社会人になってて事務職の経験があれば、もっといい物が作れたんだろうけど。


 それでも、部署ごとに違う書式が当たり前だった役人達にとっては、画期的に思えたんだろうな。


「ああ、別に構わないぞ。それで仕事が捗るなら、是非そうしてくれ」

「おお、寛大なお言葉、感謝します」


 そう改まって礼を言われる程のことじゃない。

 だって俺が王様になったとき、役人達の仕事がスムーズに行われることは、俺にもメリットがあることだしな。


「ご領地の役人達も、最初は女なんかに務まるものかと思っていましたが、いやはやどうして、手際よく的確で驚きました。女と言うだけでは侮れぬもの。メイワード伯爵の先見の明には驚くばかりです」


 さらに、女性の役人達も、無事に受け入れられたみたいだ。


「肉体的な男女の差は仕方ないとしても、事務仕事なんかは個人の資質や才能の問題であって、性別の問題じゃない。少しでも偏見が解消してくれたなら良かったよ」

「確かに、言われてみればその通りですな。考えを改めてみます」


 まあ、全員が全員そう考えてくれたわけじゃなくて、そういう見解を持ってくれたのは一部の若い連中に留まってたけど。

 特に年寄り連中は、どうしても女なんてって考え方から脱却できないみたいだ。


 それでも、これで女性への偏見が少しでも解消されて、女性も多く社会進出を果たせば、労働力が増えて活気も出るだろう。


「視察の予定は以上です。他に何か見ておきたい場所などありますか?」

「いや、十分だ。ユレース、案内助かった」

「いえ、これも僕の仕事の一環ですから」


 最初、俺の領地で採用して欲しいって言って来た時は、正直ジターブル侯爵家との距離について、どうしようかと悩んだんだけど。

 なんだかんだ、よくやってくれて助かるよ。


「よし、それじゃあ視察はこのくらいにして」

「はい、それではこちらへ」


 そうした諸々の視察を終えた後、ユレースに案内されて難民キャンプのとある一角へと足を運んだ。

 そこには、五百人か、六百人か、それ以上の獣人達が集まってて、俺がやってくるのを待っていた。

 どうやら、本当に一つのグループに統一されたみたいだな。


 こうして見ると、その数はなかなか迫力があって脅威でもある。

 俺の護衛として同行したエレーナ、それから何故か護衛を志願したジェラッド達、元グルンバルドン公爵領軍の騎士と兵士達若干名は、その数と迫力に、かなり緊張してるみたいだ。


 もっとも、俺に言わせれば、二万を越えるトロルの軍勢と比べれば、その迫力も脅威もあってないようなもんだけど。

 まあ、身も蓋もないから、そんなことは言わないけどさ。


 そうして集まってる獣人達から、警戒や敵意、そこまでじゃなくても値踏みするような、そんな数百の視線を向けられてる。


 以前の俺なら、内心ちょっとビビったり気後れしたりしてたかも知れない。

 だけど、議会や会議で貴族どもとやり合ったり、トロル相手に戦ったり、精霊魔法を指導したり、領兵や移民の前で挨拶や演説したり、なんだかんだで大勢の前で話をしたり敵意を向けられたりする機会がたくさんあったから、こういう状況にもすっかり慣れちゃったよ。


 おかげで、なんら気負うことなく、前へと進み出る。


 すると、灰色がかった青い髪とふさふさの尻尾、そしてイヌ科の耳の四十代後半くらいに見える男が、それに合わせて進み出てきた。


 すらりと背が高く、しかも体格が良くて筋肉質で、いかにも格闘戦が強そうだ。

 いぶし銀のイケオヤジって感じで、野生の狼を彷彿させる。

 報告に聞いてた通り、狼型の獣人で間違いなさそうだ。

 しかも歩き方や纏う雰囲気が一般人とは違って、正規の戦闘訓練を受けてるのは間違いない。


「改めて自己紹介する必要はあるか?」

「いや、必要ない」


 リーダーの狼型獣人は首を横に振ると、ビシッと自分自身を親指で指さした。


「オレはグエン・ガランド。ザレリア王国王国軍第三騎士団所属騎士――だったが、すでに祖国はなく、今はしがない一匹の獣人。こいつらのボスだ」


 調書にあった通り、戦闘のプロってわけだ。

 グエンは俺を真っ直ぐに見つめて、獰猛に笑った。



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