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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第十一章 意趣返しは舐められないための貴族の嗜みだと思う

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312 綿花の栽培で意趣返しを 1

 予定通り、更新再開します。

 引き続き応援よろしくお願いいたします。




 フィーナ姫の王太女叙任式と祝賀パーティーが終わった翌々日。

 俺は早速、元アーグラムン公爵領で現在は王家の直轄地になってる領地へ飛んだ。


 アポなし突撃で悪いけど、代官の屋敷へ直行して、フィーナ姫が用意してくれた委任状を使って代官と役人に話を通すと、貴重な戦略物資になる、盗難や放火を免れてわずかに残った綿花の種を受け取って、さらに栽培の仕方について説明を受けると、大至急領地へと戻った。


「エメ兄ちゃん、お帰りなさい!」

「おう、ただいまエフメラ。俺の留守の間、しっかり領地を守ってくれてたか?」

「うん!」


 輝かんばかりの笑顔で飛びついてきたエフメラの頭をわしゃわしゃと撫でてから、ナサイグに顔を向ける。


「留守中、どうだった? 何か大至急対処しないといけないことってあるか?」

「はい、再開発の件でご相談が――」


 ナサイグやプラーラ、ユレース達から留守中の様子を聞いて、急ぎの案件は口頭で指示を出して、重要じゃない報告は悪いけど後回しにさせて貰う。


「エメル様、またすぐにお出かけですか?」

「ああ、至急で機密の案件だから、ちょっと明日の朝か昼まで出てくる。そこで一旦屋敷に戻るけど、すぐまた出るから、ちゃんとした帰りは明後日の夜になるかな。エフメラも明日の朝まで連れてくから、みんなにそう伝えといてくれ」


 ナサイグに後のことは任せて、エレーナに向き直る。


「そういうわけだから、今日だけでも五時間近く飛んで疲れてるだろうし、エレーナは残って休んで――」

「行く。そこは残って休んでいいじゃない。何も言わず護衛として同行させるところ」


 食い気味で言われたか。

 今更エレーナが裏切ったり情報を流したりするとは思えないから、他言無用って注意しとけばそれでいいとして。

 本当は、無理させたくないんだけど……。


「……分かった、じゃあ野営の準備をして来てくれ」

「野営?」

「ああ。野宿か徹夜になる。やっぱり残るか?」

「行く」


 と言うわけで、野営の準備を済ませたエレーナとエフメラを連れて、野良の精霊が数千体も漂う森、精霊の森と名付けたその森の西側へと飛ぶ。


「ここならウクザムスから伐採にも狩猟にも来ないし、セセジオからはもっと距離があるし、少々派手なことをしても誰にも見られないな」

「エメ兄ちゃん、何するの?」

「エレメンタリー・ミニチュアガーデンで大量生産するだけだけど、物が物だけに、誰にも見られたくないんだ」

「ふ~ん? だから、ナサイグさん達に、どこに何しに行くか言わなかったんだ」

「そういうこと」


 レドから降り立つと、エレーナがなんとなく落ち着かなそうに周囲をキョロキョロと見回す。


「どうしたエレーナ?」

「なんだか変な気配がするような気がする」

「それはもしかしたら、野良の精霊や精霊力を感知してるのかも知れないな」

「私が精霊力を? これまで見えたことも感知したこともないのに?」

「この森周辺は、大気中の精霊力の濃度が高くて、野良の精霊が数千体も漂ってるんだよ。だからじゃないかな」

「数千……そんなに……!?」


 驚いて目を凝らすけど……やがて諦めたように溜息をつく。

 どうやら全然見えなかったらしい。

 野良の精霊達は、なんとなくこっちを、エレーナを気にしてる素振りを見せてるんだけど。


「ちょっと練習すれば、エレーナも見えるようになるかも知れないな」

「それは……練習してみたい、かも」

「ああ、それなら明日の朝か昼まではここにいるから、魔物や獣の気配に気を付けるのと同時に、精霊力を感知出来るよう感覚を研ぎ澄ます練習をするといい」

「分かった、そうする」


 エレーナが精霊魔法に興味があるとは知らなかったな。


「それと、今からエレメンタリー・ミニチュアガーデンを使うけど、それで育てた物と、これから俺が見せる秘伝は他言無用で頼む。信頼してるからな?」

「……! 分かった」


 なんか滅茶苦茶嬉しそうに笑って、ちょっとドキッとしちゃったじゃないか。


「むぅ……エメ兄ちゃん、早く始めよう!」

「うおっと!? 分かった分かった、始めるか」


 腰にぶつかるように抱き付いてきたエフメラの頭を撫でて、それからもう一度エレーナに目を向ける。


「じゃあ見せるけど、驚くなよ」


 言って、全ての特殊な契約精霊達の姿を現させる。

 その数、七十二体だ。


「!? これ、は……精霊……!?」

「ああ、俺の契約精霊だ。ただちょっと特殊な種類のな。同時複数と契約出来るんで、どんどん増やしてる最中なんだ」


 ふよふよと浮いてる特殊な契約精霊達を見上げて、絶句しちゃってるな。

 まあ、無理もないけど。


 偽水晶を背負い袋から取り出して、ゴロゴロと大量に地面に転がすと、特殊な契約精霊達に精霊力を補充させる。


「伯爵様、それは偽水晶……?」

「ああ、この中に精霊力が詰まってるんだけど、特殊な契約精霊達(こいつら)はその精霊力でも精霊魔法が使えるんだ」

「それ、は……伯爵様は、これだけの精霊達を使って……魔法を無制限に使えるってことに……」

「ああ、その通りだ。短期間であれもこれもってやれてるのは、そのおかげだな」


 うん、表情筋がすごく仕事をしてる。

 ただまあ、驚きすぎて、初めて見るすごい顔になっちゃってるけど。


「このことは俺とエフメラと――」

 契約精霊に精霊力を与えて準備してるエフメラの注意が逸れてる間に、エレーナにこそっと伝える。

「――姫様とフィーナ姫の四人しか知らないことだ。エレーナは五人目だ。だから絶対に内緒だぞ?」


 くっ! 花が綻ぶみたいに頬を染めて滅茶苦茶嬉しそうに微笑むなんて、ちょっと反則だろう!?


「分かった。伯爵様の信頼に全力で応える。命に懸けて、誰にも言わない」

「まあ、いずれバレるかバラすかすると思うから、その時まででいいんで、よろしく頼むよ」

「うん」


 いつまでも赤い顔してドキドキしてたらエフメラに余計な勘ぐりされそうなんで、深呼吸して落ち着かないと。


「エメ兄ちゃん、それで、どんな土壌にするの?」

「ああ、ややアルカリ性で、水捌けがいい土で頼む。森の中に堆積した落葉で腐葉土が出来てるから、それを肥料代わりに、ざっくり半々くらいになるよう混ぜよう」

「うん、分かった」


 と言うわけで、大量の腐葉土をグラビティフィールドでまとめて運んで来て、エフメラに混ぜ合わせて貰いながら土壌改良して貰って、二人の契約精霊および特殊な契約精霊総出で一気に種を蒔く。

 土の精霊達に一気に穴を空けさせ、他の精霊達の編隊飛行で次々に種を落とさせ、また土の精霊に一気に土を被せさせて穴を埋めるだけの、超簡単種蒔きだな。


 それから、エレメンタリー・ミニチュアガーデンだ。

 蒔いた種から芽が出て、すくすく伸びて、およそ一時間、つまり二ヶ月程が経過した時点で、高さが一メートル程になったんで、ワイドエアカッターで上をすっぱり剪定してしまう。

 こうすると、枝が上じゃなく横に広がって、花の数が増えるそうだ。

 そして支柱を立てた方がいいらしいんで、土の精霊達に石の支柱を立てさせる。


 ここからは、ざんざか雨を降らせてたっぷり水をやるのも忘れない。


 そこからさらに三十分、つまり一ヶ月程で枝が横に広がっていってたくさんの花が咲いてくれた。

 しっかり受粉させて、ちゃんと実が付くようにして、実が育っていくのを確認しながらさらに三十分強、つまり一ヶ月半程で実が割れて開いてコットンボールが、白い綿が出来上がりだ。


 この時に雨に濡れると綿が固くなったり形が崩れたりするらしいんで、もう雨は降らせない。


「さあ、出来たぞ。後は収穫だ」


 畑一面に広がる、白くふわふわのコットンボールが実に美しい。

 その光景を見て、エレーナが絶句する。


「伯爵様、これって……!」

「ああ。見ての通り、綿だ」



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