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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第七章 戦争が終わったから精霊魔術師の育成を頑張る

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210 エレーナが望む罰

 ダークムン男爵を見送った後、エレーナとみんなをリビングに集めて報告する。


「そういうことになったから……これからもよろしく」

 やや照れ臭そうに、みんなに頭を下げるエレーナ。


「ほっとしました……エレーナさんがしたことは悪いことですけど、心を入れ替えられていたのですから」

「自分も、同じ王室派の仲間になった以上、無体な判決が出なくて安心した」

 パティーナは胸を撫で下ろして微笑んで、リリアナはなんかそっぽを向いてぶっきらぼうに……ツンデレか?


「甘々なご主人で良かったじゃない。罰が軽くて納得いかないなら、それが罰だって思っとけば?」

 アイジェーンはあっさり軽く。


「そうですわ。賠償金の支払いだけで済んで儲けものではありませんの」

 サランダはもっと軽く。


 みんなでエレーナに声をかけてやる。


 敵対する派閥のご令嬢もいるけど、ここで処刑されればよかったのに、みたいなことを考えたり言ったりするような人はいなくて、同じ職場の仲間意識をちゃんと持っててくれてちょっと安心したよ。


「エメル様に拾われた命です。その命を賭けて、誠心誠意エメル様にお仕えしなさい」

「はい」

 最後に、メリザの厳しくも温かい言葉に、エレーナは一礼した。


「よし、これでこの件は全部おしまいだ。それぞれ仕事に戻ってくれ。解散」


 エレーナも、警備の三人と一緒に詰め所に移動して、改めて警備シフトを組み直すみたいだ。

 これで完全に日常が戻ったな。



 日常に戻ったって言っても、通常業務に、いずれ伯爵として領地を治めないといけないからその勉強までのしかかってきてるわけだから、毎日疲労が半端ない。

 姫様とフィーナ姫達の精霊魔法の練習から戻って来た後、今日はいつもより疲れたんで早々に寝室へ引っ込む。


 伯爵になるんだったらもっとそれらしく振る舞えるようにならないと駄目だ、って、メリザやパティーナが一層気合いを入れて俺の身の回りの世話をするようになって、それも気疲れの原因なんだよな。


 今日も今日とて、寝間着に着替えるのすら手伝われて、明かりを消してベッドに潜り込む。


 そうして、うとうと……ってしかけたところで、ドアがノックされた。


「男爵様、夜分遅くにごめんなさい。まだ起きてる?」

「……ん? エレーナ?」

 明かりを付けてドアを開けると、そこには寝間着姿のエレーナが立っていた。


「失礼します」

「え? ちょっと?」

 どうぞとも言ってないのに、俺を部屋に押し戻すようにしながら部屋に入ってきて、後ろ手にドアを閉めてしまう。


「えっと……エレーナ?」


 エレーナがこんな夜になんだ?

 しかも寝間着って、ちょっと不味いんじゃないか?

 誰かに気付かれたり見られたりしたら、変な誤解をされてしまいそうだし、早く用を済ませて帰って貰った方がいいよな。


「こんな時間にどうしたんだ? 何か用があるなら、明日の朝一でも聞くぞ?」


 少しでも言い訳が立つよう、後ろに下がって距離を取ると、その分エレーナが前に出て距離を詰めてくる。

 しかも無言で、それも俯き気味で。


 一体エレーナは何がしたいんだ?


 寝間着の裾を握り締めて、不意に顔を上げると、ずいと大きく踏み込んできた。


「男爵様、私を抱いて欲しい」

「はあぁっ!?」


 思わず大きな声が出ちゃって、慌てて両手で口を塞ぐ。

 って言うか、いきなり何を言い出してるんだ!?


「なんの冗談――」

「冗談じゃない」

「いや、でも――」

「私は本気」


 ずいずいと踏み込んできて、その分後ろに下がって――


「――うわっ!?」


 ベッドに足を引っかけて、ベッドの上に仰向けに倒れ込んでしまう。


 そんな俺にエレーナが覆い被さるように俺の両脇に両手をついて、俺を逃げられなくする。


「ちょ、待った! 落ち着け!」

「落ち着いてる。覚悟は決めてきた」


 ずり上がるように逃げると、その分エレーナがベッドに上がってきて逃げられない。


「いやだから、なんでそんな覚悟を決めないと駄目なんだ!?」

「犯罪奴隷は事実上の死刑宣告。だから犯罪奴隷にはどんな真似をしても、誰も文句は言わない。だから若い女の犯罪奴隷を買って、寝所に連れ込んで、奴隷らしく(・・・・・)強制労働させる(・・・・・・・)貴族や商人も少なくない」


 それって……!


「いやいやいやいや! 俺はそんな真似はしないし、させるつもりもないからな!?」

「分かってる。優しい男爵様がそんな真似をするなんて、欠片も思ってない」

「なら――」

「だからこれは言い訳。私が勇気を振り絞るための建前」


 ランプの仄かな明かりに照らされたエレーナの顔は、ランプの明かり以上に赤らんでて、目も潤んでて……思わず生唾を飲み込んでしまう。


「なんで急にこんな……」

「私だって女。『力』を持つ殿方を射止めたいと思って当然。私はこの一連の事件の中で、男爵様ほど優しく、それでいて比類ない『力』を持ち、好ましいと思える殿方は他にいないと確信した」

「っ!?」

 そんな風に言われたら……。


 いやいや、ちょっと待て!


「えっと、その……エレーナはゲーオルカのことを好きだったんじゃ?」

「ゲーオルカ様?」

 え、なんでそんな不思議そうに首を傾げるんだ?


「ゲーオルカ様は違う。男として見ていたわけでも、女として見て欲しかったわけでもない。騎士として、仕えるべき主人として、尊敬していただけ。でもそれも、男爵様と出会って、色々な話をして、すっかり色褪せてしまった。騎士としても、女としても、私は男爵様がいい」

「うぐっ……!」


 そんな真っ直ぐな目で真っ直ぐに言われたら……心がぐらついてしまう!


「でも俺には姫様とフィーナ姫がいるんだ、二人は裏切れない!」

「分かってる。だから私は側室でも、なんなら愛人でもいい。男爵様の寵愛を貰えるなら、立場にはこだわらない」


 やばい、それってハードルが思いっ切り下がっちゃうじゃないか!


「こんなこと、ダークムン男爵が知ったら――」

「きっと父は喜ぶ」

「――はあ!?」

「今、最も『力』と勢いがあって、伯爵にもなろうという男爵様とそういう仲(・・・・・)になれたと知ったら、むしろ父は応援してくれる。これで私が男爵様の赤ちゃんを産めば、ダークムン男爵家は安泰。父が喜ばないわけがない」


 くっ、これだから貴族って!


「だからなんの問題もない。男爵様が望むのなら、犯罪奴隷として、どんなプレイも性癖も受け止める覚悟がある」

「いやいや、俺に変な趣味があるみたいに言わないでくれ!」

「男爵様、往生際が悪い」

「そういう問題じゃないから!」


 ずり上がって逃げる俺に、エレーナはすっかりベッドに上がり込んでしまって……このままじゃ俺、貞操の危機!?


三つ年上まで(フィーナシャイア殿下)は良くても、四つ年上()はもう守備範囲外?」

「いや、そんなことにこだわるつもりはないけど、だけど――」


 言い訳を探す俺を潤んだ瞳で見つめながら、初めて見る大人びた女性の顔で、そして今まで一度も聞いたことがない甘い声で囁いて、誘うように小首を傾げる。


「じゃあ、私じゃ……お姉さんじゃ駄目?」


 ぐはぁっ!?


 ちょ、やばい……エレーナ、滅茶苦茶可愛いんだけど!?

 ありかなしかで言われたら、全然ありなんだけど!?


「私だって女。『力』ある殿方の、男爵様の赤ちゃんが欲しい」

「ぐはぁっ!?」


 ぐらつく!

 このままでは間違いを犯してしまう!


「っ…………駄目だ駄目だ! やっぱり駄目だ!」

 エレーナの肩を掴んで、グイと押し退ける。


「どうして? 男爵様の身体は駄目って言ってない」

「ちょ!? どこ見て!?」

 エレーナの目線が下を向いてたから、慌てて前を隠す。


「と、とにかく! 俺の初めては姫様とフィーナ姫に捧げるって決めてるの! 二人と結婚するまで、他の子とそういうことするわけにはいかないの!」

「……そう」


 分かってくれたか?


 エレーナがゆっくりと身体を引く。

 でも、ベッドから降りない。


「分かった。それなら私が協力する」

「……は?」


「男爵様が殿下方と結婚出来るように協力する」

「……いいのか?」


「もちろん。だからその後で、私を抱いてくれればいい」

「いやいや、分かってないよな!?」

「大丈夫。そもそも殿下方が相手なら、身分的に正妻は無理。良くて側室、普通ならただの愛人。だから私は立場にこだわるつもりはない」


 そうだった、さっきもそんなこと言ってた……。


 エレーナが協力してくれるって言うのはありがたいけど……。

 姫様とフィーナ姫に、エレーナを側室か愛人にしてもいいですかって聞けと!?


「その時が楽しみ」


 普段表情筋がろくに仕事をしてないエレーナの、心からの笑顔の破壊力ときたらもう……!


 俺は一体どうすれば!?



 今回で第七章終了です。

 次回から第八章を投稿していきます。


 いつも読んで戴き、また評価、感想を戴きありがとうございます。


 今回は戦争と内乱の影響についてや、農政改革の規模の拡大も含めた精霊魔術師の育成という感じの話でした。

 次は、陞爵して領地を貰うことになったために発生するあれやこれやや、領主になるための準備の準備、そしてそれに絡んでの、冬の社交シーズンに入るため、延び延びになって作者の私も忘れかけてたエメルの叙爵、陞爵を祝うパーティーなんかの話になる予定です。


 それと、申し訳ありませんが、五日ほど更新をお休みします。


 十月から十一月にかけて一ヶ月半ほど、家の改装工事、身内の祝い事、親戚の不幸などなど立て続けにプライベートでバタバタしてて、十分に執筆時間が取れずにストックをどんどん削られ、なんとか毎日アップ出来るよう頑張ってきましたが、遂に執筆が間に合わなくなりました。

 戦争は勢いで書き進められたんですけど、内政になったら色々考え悩むことが増えてしまって。


 第八章はすでに幾らかは書いています。

 ただ、まだ上手く整理ができていなくて、このままお見せするわけにはいかない、という判断です。

 なので申し訳ありませんが、更新再開は来週の月曜日21日予定になります。

 加えて、第八章が終わり第九章の開始前に、また何日か更新をお休みするかも知れません。

 ご了承下さい。


 励みになりますので、よろしければブックマーク、評価、感想など、よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
敵対した子が奴隷からハーレム要員へって、まあ定番よね
[一言] なんかいらん奴が出てきた。
[一言] 奴隷とはいえ今までと変わらない生活でよかったエレーナが今度は誘惑ですか。 主人公の言う事を全然聞かないしもう処刑でよかったなこりゃ。
感想一覧
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