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見境なし精霊王と呼ばれた俺の成り上がりハーレム戦記 ~力が正義で弱肉強食、戦争内政なんでもこなして惚れたお姫様はみんな俺の嫁~  作者: 浦和篤樹
第七章 戦争が終わったから精霊魔術師の育成を頑張る

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182 戦勝パレード

「「「「「王子様万歳! 王女様万歳! 救国の英雄エメル万歳!」」」」」


 沸き立つ王都の大通り。

 道の両脇にどこまでもずらっと並んだ大勢の市民が、手を振って歓声を上げてる。


 その中を、俺はユニに乗って、キリッと顔を引き締めて背筋を伸ばし、救国の英雄になりきって堂々と手を振りながら進む。


「すごい戦いぶりだったぞ!」

「あなたのおかげでみんな救われたわ!」

「エメル様ありがとう!」

「お兄ちゃん、悪い奴らをやっつけてくれてありがとう!」


 一体、どれだけの人が見に来てくれてるんだろうな。

 トロルから王都を奪還したときの帰還パレードよりも、もっとたくさんの人が通りの両脇を埋め尽くしてるよ。

 もし王都の市民が全員来てたら、それだけで十万人近くいることになるんだよな。


 でも、多分もっとたくさんいるはずだ。

 この戦勝パレードの話は早くから各地に告知してたから、きっと近隣の町や村、領地からも見に来てくれてる人がいると思う。


 そして、帰還パレードの時と違うのは人数だけじゃない。

 あの時は、トロルに支配される恐怖から解放された、安堵と解放感に、喜びと涙とトロルへの恨みが交じった、色んな感情の発散があった。

 でも今は、それだけじゃなく、自分達も抗って勝利を勝ち取った、自分達の自由と生活を守り通した、そんな自信や自負みたいなものが感じられるんだ。


 それに、もし自惚れていいなら……俺や王家への信頼って言うか、助けてくれるって信じてたって、そんな気持ちが笑顔になって現れてる、そんな気がするんだよね。

 だからさ、みんなの笑顔がすっごく誇らしい!


 しかも、胸元で日の光を浴びてキラキラと光る七つの勲章に、みんなが驚きと賞賛と羨望の眼差しを向けてくれてるのも、嬉しいやら照れ臭いやらでさ。


 ゲームやアニメで見た時は、権威を見せびらかすようにジャラジャラ付けてって、すごく無駄で嫌味に思ったけど、多分それは、そういうキャラで、そういう演出だったからなんだろうな。

 実際自分が貰って付けてみると、名誉や功績をこうして分かりやすく形にするって実は大事なんだなって、改めて思ったよ。


「みんなありがとう! これからもみんなのことは俺が守るからな!」

 なんかもうテンション上がっちゃって、拳を突き上げて声援に応えると、さらに大歓声が上がって、それも滅茶苦茶嬉しい!


 そんな戦勝パレードの先頭を行くのは、当然アイゼ様とフィーナ姫で、煌びやかな馬車の中から笑顔で手を振ってる。

 堂々と歓声に応えてる姿がやっぱり前より少し頼もしく見えるのは、俺の欲目かな?


 それに、こんなにも綺麗で可愛くて頼もしい王子様と王女様が、立て続けに訪れた国家存亡の危機を全て乗り越えたんだ、市民の人気が出ない方がおかしいわけで。

 なんでも今回の戦勝パレードに合わせて、宮内省の企画監修の下、アイゼ様とフィーナ姫の絵姿が売りに出されて、市民に大人気らしい。

 近隣から集まった人達も、こぞってお土産で買ってるそうだ。


 二人の『俺の嫁』が大人気なのは嬉しくて誇らしい反面、ちょっと複雑だけどさ。

 あと、俺の絵姿まで出回ってる……って話は、恥ずかしいからスルーで。


 で、そんな二人を先導し、また後方について護衛してる近衛騎士団も、儀礼用の立派な礼服と鎧に身を包んで、隊列を一切崩さず堂々と馬を進めてる。

 その胸には勲章が輝いてて、彼らの顔も誇らしそうだ。


 そんな近衛騎士団なんだけど、実は立て続けの戦争でかなり人数を減らしちゃったから、王族の二人が参加するパレードの護衛としては人数が相当少ないらしいんだよね。

 宮内省としてはそれをどうにかしたかったみたいだけど、数あわせで人数を増やすのは彼らの矜持が許さなくて、そして散っていった仲間に対して申し訳なくて、結局見送りになったそうだ。


 つまり、それだけアイゼ様とフィーナ姫が窮地に陥った証拠でもあると同時に、そんな戦いを乗り越えて生き残った精鋭達でもあるわけだ。

 その自負があるから、堂々とした行進は頼もしく格好良く、人数が少ないってことを感じさせずに、王家の揺るがぬ威信を見せつけるのに一役買ってると思う。


 そしてその後ろに続くのが、俺と八体の精霊達だ。

 キリが先頭で槍を掲げて俺を先導してくれてるのと、ユニに騎乗してるのは帰還パレードと同じだけど、その後ろに六体が一列になって行進する。


 第二次王都防衛戦の時にウォータースクリーンでその姿や戦いぶりを配信してたし、今回も反乱軍を町中で撃退したときも威圧も兼ねて大っぴらに姿を見せてたし、精霊達の姿を見ても、みんなビビって逃げたり叫んだりすることなく、精霊達にも手を振って労いや感謝の声をかけてくれてる。

 それどころか……。


「あんた余所から来たのかい? あのドラゴンみたいな火の精霊が吐き出した火の玉の爆発が、すげぇのなんの! 見損ねたのは一生の不覚だぜ?」

「オレはあの鳥の風の精霊に乗って、ビューンって飛んでくのを見たぜ!」

「ボクおっきくなったら、精霊魔術師になる!」

「あたしも精霊さん欲しい!」


 なんて声まで聞こえてきてさ。

 エンやデーモが笑顔で手を振り返したり、サーペやレドやロクが時折格好付けて吼えて声援に応えたり、モスだけは渋く黙々と歩を進めてるけど、とにかく精霊達はみんな嬉しそうで誇らしそうだ。


 そんな俺達の後ろには、将軍を始めとした王国軍の騎士達、それからクラウレッツ公爵派とその騎士達、王室派の貴族と騎士達、そしてグルンバルドン公爵派とその騎士達と続く。


 隊列が長くなり過ぎるんで、戦いに参加した全員じゃないけど、それでもかなり長い列になって、王都中を行進だ。

 当然、その胸には勲章が日の光を受けて輝いてる。


 将軍はデルイット伯爵の反乱をすぐさま鎮圧して取って返してきて、アーグラムン公爵領軍と戦ってくれたし、クラウレッツ公爵達は王都に何かあるたびに、すぐに兵を率いて駆け付けて王家を支えてくれるから、王家の忠臣として王都で人気が高いらしい。

 まあ、クラウレッツ公爵は今回俺より後ろなのが不服みたいだったけど。


 ちなみに、当然と言えば当然だけど、寝返ったエレーナとサランダの実家のダークムン男爵(・・)家とディエール子爵(・・)家は、戦勝パレードの参加は許されなかった。

 それについては、両家とも立場を(わきま)えて納得してたから特に問題なし。

 むしろ大変なのはこれからで、忠誠を見せて役に立ってみせないと、寝返った新参者は立場がないわけで。


 爵位を一つずつ降爵されて、さらに領地を別の土地へ転封(てんぽう)されることになったから、その準備なんかで、戦勝パレードに参加してる暇がないってのもあったみたいだけどね。


 ともかく、そんな感じで、俺達はおよそ三時間近くかけて王都中をパレードして、平和を取り戻したんだって、広く知らしめていった。



 それが今日、反乱軍鎮圧から丁度二ヶ月後のことだ。


 反乱のせいで王家の権威が大きく傷ついたから、とにかくそれを払拭したい。

 トロルとの戦争に勝利したことを大々的に宣伝して、王家の支配とこの国の平和は揺るがないってことを民に広く知らしめたい。

 ってことで、アイゼ様とフィーナ姫を始め、宮内大臣、軍務大臣、将軍、なんかが中心になって話し合って、急ピッチで準備が進められて、たった二ヶ月で戦勝パレード開催って運びになったわけだ。


 そして今日から五日間、王都ではお祭り騒ぎが開かれる。

 町の食堂や酒場、屋台で飲み食いした分は、全てタダ。

 その分は国が補償するから、後から請求してくれ、ってね。


 さらに吟遊詩人や、サーカスっぽい芸人なんかも広く集められてる。


 どうせ戦勝を祝うなら、そのくらい派手にやった方が印象に残って話題になりやすいよな。

 そうすれば、戦勝パレードを見に来たり、お祭り騒ぎに参加しに来た近隣の人達や行商人達が、きっとその様子を各地に伝えてくれるはず。

 そうなれば、迅速に王国中へ、戦争に勝ったことと、王家にはちゃんと『力』があるんだってことが伝わるはずで、知らぬ存ぜぬって態度を取ってた貴族達の耳にも入って今後の牽制になるはず。

 ってことで押し切った。


 おかげでもうね、滅茶苦茶大変だった。

 俺も意見を出して押し切った方だから、書類仕事や各部署との連絡に走り回ったよ。

 しかも収穫期も迎えてたから、直轄地の五つの農村を回ったり、収穫量の比較データを書類にまとめたり、そっちでも忙殺されたんだよね。


 で、どうせなら収穫のお祝いも兼ねて、各地に勝利を伝えるのと同時に王家から祝い酒を振る舞おうってことになって、その準備や手配でさらに仕事が積み上がっちゃって。

 いやまあ、それは俺が言い出したんで、自業自得なんだけど。


 もう、俺もアイゼ様もフィーナ姫も忙殺されてぐったりで、文官達なんか誰も彼もが死屍累々だったよ。


 でも、各地での反応はすごく良かったみたいだ。

 中でも、クラウレッツ公爵派の領地が多い西側と、トロルに蹂躙されて戦ったグルンバルドン公爵派の領地が多い南側では、実際に戦争の負担があったわけだから、かなり評判が良かった。


 対して、アーグラムン公爵派の領地が多い東側では、多くの貴族家が取り潰しになって、今後どうなるか不安に思ってる領民が多くいたみたいだ。

 それでも王家から祝い酒が振る舞われたことから、王家は領民を無体に扱うつもりはないって理解してくれたみたいで、安心したのか、思ったほどの王家への反発はなかった、って言うか、色々と『力』を示したことになって、王家への反感を多少抑えられたみたいだった。


 将軍に蹴散らされて逃げ出した貴族領軍の民兵達の一部は、盗賊化する前に捕らえられて、各領地へ無事に戻されたってのも大きかったと思う。

 それを噂で聞いて、自分達も領地に戻りたいって、自主的に王都へ戻って来た民兵もいたそうだし。


 残るもう一方、王都の北側の地方だと、実際に戦火が及んだわけでもないし、募兵(ぼへい)されて戦いに出たわけでもないし、戦争の実感はかなり薄かったみたいで、タダ酒貰えてラッキー程度くらいの話だったみたいだけど。


 ちなみにそれらの経費は、爵位、領地、財産、全てを没収されて取り潰しになったアーグラムン公爵派の貴族達の、がっつり溜め込んでたお金だ。

 それが国庫にたっぷり入ったから、それらの資金を捻出してもまだおつりが来るくらいで、大盤振る舞いしても平気ってことになったわけだ。

 それらの溜め込んでたお金を市場に流して、経済を回すって意味もあったしね。



 そんなこんなで、冬の社交シーズンを前に話題性は十分。

 きっと、どの夜会もお茶会も、この冬はこれらの話で持ちきりになるはず。


 これで、アイゼ様とフィーナ姫に表立って陰口を叩くような輩は、かなり減るだろうな。



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